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ピコピコとフーシェがマッキーをしばく音が響く中、
私は目の前のコソドロ2号を見据えて座っている。
こいつの扱いは一体どうすればいいのだろうか?
フーシェが持ってきた洗濯物を握りしめて
何食わぬ顔で私の目の前に正座する変質者。
これがただの変質者であればあらゆる手段を講じて
下着を取り上げてふんじばるのだが。
この変質者はそんじょそこらの変質者とは格が違う。
私の考えつく手段をその圧倒的な
パワーで無力化してくるとても厄介な変質者だ。
「どうしたものか・・・」
実力行使に光明が見いだせず
しばし思考を巡らしているとアイディアが浮かぶ。
一先ず代わりの物を渡して下着を取り上げて
段ボールの中に梱包すれば
こいつの手から守れるんじゃね?
早くも精霊と交わした約束が役に立つ事態に
希望と落胆を感じつつ、
一先ず趣向を探るためにそれとなく探りを入れる。
「なんでそんなに下着が好きなの?」
こんな下着メーカーの社員でもないのに
こんな質問をするとは思わなかった。
だが、こいつの趣向を把握して
代用品を用意するためにも大切なことだ。
「・・・好きだって気持ちに理由なんて」
何かで聞いたことの在りそうな良いセリフ。
だけども所詮下着を握りしめた変態の戯言である。
「・・・カニ太郎も好きだよ?」
「あ゛?」
なんの脈絡もなく、告白される私。
ってかなんで下着の話をしているのに私の話になるの?
え?もしかして同列に扱われている?
ただでさえこいつの奇行にいら立っている上に、
突然背後から後頭部を叩かれたような
あまりにも常軌を逸した発言にキレかける私。
「私と下着どっちが好きなんだよ!?」
「・・・そんなの・・・・・・選べないよ!!!」
異常性に触れるということはかくも
正常な思考を狂わせるもので、
落ち着いてみれば私の返しもどうかと思う。
どうかと思うのだが言ってしまったものは仕方ない。
そうして、フルプレートの変質者に対して感情的に
なってしまった私は。
「レガさんのバカ!」
恐らくどこかで見たドラマでも脳裏をよぎったのだろう。
古いヒロイン役のごとく家を飛び出そうとするが
それを察したフルプレートの変質者に
腕を掴まれて止められる。
「・・・どこに行くつもり?」
「レガさんにいつまでもかまっているほど、
私も暇じゃないんだよ!
早くこの街のギルドに行って
お嬢に会うための算段をつけなきゃいけないんだから」
「・・・ダメだよ」
「なんで!?」
もう完全にヒロイン役になり切っている私は
つかまれた手を振りほどいて駆け出そうとするが、
私を掴んだ変質者の腕は
私がどんなに力を入れても微動だにしない。
「ちょ、は・な・せ!」
関節などの可動部への割とガチな攻撃に対しても
微動だにせず首を横に振るフルプレートの変態。
改めてこの得体の知れない塊に対して
圧倒的な力の差を思い知らされる。
「っくそ!なんでだよ」
私が一通り脱出の手段を試み、
最終的に諦めてへたり込むと。
「・・・だってリサちゃんまだついてないから」
「はあ゛!?」
こいつの異常性と私の悪乗りで始まった茶番劇が
記憶の片隅にも残らないようなカミングアウトを
そっと差し込んでくる。
「な、な、なな、なんで!?」
「・・・ふふ、スラ子みたいだね」
「だぁーーーーーーーーー!!!」
混乱した思考、疲弊した身体、
そんなマイナス要素をすべて吹き飛ばすような
ニトログリセリンの様な挑発に対して
ただただ湧き上がる感情を雄叫びへと
変換するほかない私であった。




