表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/76

4-19


「じゃあ決まったことを確認するからね?」



そういってみんなで話し合った内容をまとめた

箇条書きの文章を確認する。



『家の中の物品は私の許可なく利用しない』



正直記憶がないためこういった宣言をするのも

どうかと思うのだが、

レガさんが言うには所有権は私にあるらしく

そう言うことであれば安全もかねて

ここで厳しく制限させてもらった。


扱い方を間違えれば危険なものもあるだろうし、

レガさんを含めたメンツも意外に素直に賛成した。


驚きである。



『お嬢に私たちの関係を知られない事』



ここはとても大事な部分でかなり揉めた。


私としてはもう完膚なきまでに厳密に明文化を

しておきたかったのだが。


お嬢の交友関係が不明なため

巡り巡って知られる可能性があり、

そのせいで想定以上の制限がかかるとの

レガさんからの異議申し立てがあった。


どこか浮世離れした頭の持ち主だと思っていたのだが

思いのほか鋭い指摘に私も納得してしまい

最善努力という形でこういう約束となった。



『困ったときは助け合いましょう』



もう、子供向けのスローガンと言っていい約束。


この空間で同じ時間を過ごしてゆく上で

大切な心掛けだよね?


ということで付け加えた。




無論それは建前で、面倒ごとを察した時点で

難癖をペナルティを発生させようという算段である。


そんな難癖で精霊が言うことを聞くのか?


そう思われるかもしれないが最後の締めが重要だ。



『この約束を破った場合、約束を破られた者は

約束を破った者への強制命令権を得る』



素晴らしい。


実に素晴らしい一文だ。



精霊の『嘘をつかない』という性質。


これは『交わされた約束は順守する』

ということでもある。


この契約がある限り私はお嬢さえ苦戦した

精霊への命令権を持つチャンスを得られたのだ。


しかもこれだけ私に有利な条件で。


描かれた文面を再度確認するが

思わず笑みが顔からこぼれてしまう。



「じゃあこれで決まりということで・・・」



そう私が締めくくろうとしたその時である。



「・・・まって」



レガさんが待ったをかける。



「・・・最後の約束だけど」



そういって一番最後の約束を指すレガさん。


やはりそこは私に有利すぎたかな?


そう思いながらレガさんの主張を聞く。



「・・・この判定はマッキーに任せてもいい?」


「マッキーって誰?」



突然出てきた知らない名前に今まで出会った人たちの

名前を一から思い出そうとする私。


そんな頭を傾げている私に対しレガさんは

ここに来る前からずっと正座をしていた方向を示す。


そこには段ボールに隠れてわかりずらかったが、

小屋の外からも見えた樹の幹が柱のように立っていた。



「あれがマッキー?」



私の質問に対してうなずくレガさん。


何だろうか、とてもいやな予感がする。



ちゃぶ台から立ち上がると恐る恐る木の幹に近づく私。


するとどうだろうか。


私の手を触れようとした位置に人間の顔の様なものが

ゆっくりと浮かび上がる。


まるで心霊現象の様な演出に硬直する私。


だが、見くびらないでいただきたい。


既に幾度となく死線を乗り越えてきた私。


この程度でいちいち取り乱したりはしない。



「貴方がマッキー?」



特に頷くでも、返事をするでもない顔。


ただつぶらな瞳がそういっている様に感じる。



「・・・ね?いいでしょ?」


「あ・・・・・・・・・うん」



レガさんの返答に反射的に返事をしてしまう私。


別に、取り乱していたわけではない。


そう、混乱していただけなのだ。


違いが判らないって?


ふふ、私ももう何が何だか・・・。



ゆっくりと出していた手を引いて、

静かにちゃぶ台に座りなおす私。


落ち着け私。


もうだいぶ落ち着いているはずなのだか

まだ、落ち着けるはずだ。



ゆっくりとした息遣いをさらに押し殺し、

私が状況を冷静に見つめなおそうとする最中。



「・・・ではこれにて契約の成立とします。拍手」



ぴちゃぴちゃとスラ子の触手が打ち合う音。


もう、風の音にしか聞こえない精霊の拍手。


何よりも重厚な音を響かせるレガさんの拍手につられ

乾いた拍手をする私であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ