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4-16


上空からお嬢を観察する私たち。


地面に膝をついて雄たけびをあげているお嬢は

とても達成感に満ちている。


ただし、この状況の全容を知る私としては

その達成感がいかほどのものかを知っているため

なんとも形容しがたい複雑な心中である。



「竜巻さんやられちゃったよ」



そう、驚くようにつぶやく精霊。



精霊もまさかお嬢が

あんな一撃を放つとは思っていなかったらしく

とても驚いている。



「今度はあの人にモンスター役やってもらおうよ!」


おっと!それはダメだぞ。


本当のモンスターになっちゃうからな?


「よ?」


ほら!それよりも宿殻の中の紙の箱に

おもちゃが入ってるから、遊んでていいぞ。


「ホントだよ!?」


ホント、ホント、ただしあのお姉ちゃんに

見つからないようにね?


「わかったよ!!!」



そういって宿殻の中へ入ってゆく精霊。


こっちの方は一先ずはこれでいいだろう。



スラ子に指示を出してお嬢の下へと降り立つ私たち。


私たちが駆け寄ってゆくと膝をついて

両手を掲げていたお嬢がゆっくりと地面に横になる。



お嬢!?



慌てて駆け寄ってゆくと半目を開けて

今にも意識を手放そうとしているお嬢。



「あら・・・。生きてたんだ。

あんたもやるわね。」



疲れているせいか、達成感に浸っているせいか

いつになく上機嫌なお嬢。



『お見事でした!お嬢』


「ふふ、そうね。私としてもなかなかだったわ」



そういって目をつぶるお嬢。



「寝るから宿まで・・・」



そう言いかけたところで完全に眠りにつく。


こんなところでとも思ったのだが、

あれだけの戦いを繰り広げたのだから無理もない。


幸せそうに眠るお嬢。



ふふ、お疲れさまでした。



そういってお嬢の頬っぺたにハサミを伸ばす私。



いや、別にやましい気持ちがあったわけではない。


普段見られないお嬢の幸せそうな寝顔と、

柔らかそうな頬っぺたがあれば

誰しもそこに導かれるものだろう?


私はそんな自然の摂理に従っただけだった。



お嬢の寝息がハサミに触れるか否かのタイミングで、

お嬢の腕のみが私のハサミへと襲い掛かる。



っふぉあ!?



真横に180度ひねられた私のハサミが関節に

明確なダメージを与えつつ私の体をひっくり返す。


予想だにしていない攻撃による負傷によって

私の制御下から外れるをハサミを

無事な方のハサミで抑えつつ体勢を立て直す私。


立ち直ったその場から見る限りお嬢は

未だに静かな吐息をたてて寝ている。



え、えぇ・・・。


これどうやって宿まで運べばいいんですか?










場所は変わって街の宿。


結局、お嬢はスラ子が運ぶに至った。


スラ子においては近づくどころか触れても

お嬢は一切反応しなかった。



不思議だよね?寝たふりとかではないんですよね?


え?生理的に無理とかそういう話ですか?



自分で滑って痛めた足の痛みや、

お嬢にやられたハサミの痛みよりも

今落ち着いて自分の中で出つつある結論に

何よりも苦痛を感じている私。



というか何だろうか?


戦ってないのに何でこんなに負傷しているんだろう?



これ以上の分析は心身の余裕が必要だと感じた私は

一先ず私の事は横においておいて

宿の窓から見える外の景色を確認する。


そこからは先ほどお嬢と精霊が戦った余波である黒煙が

うっすらと空へと立ち上っている様子が見て取れる。


最初に発生した竜巻によって田畑が荒れ果てた為、

お嬢の炎によって大きな火災には発展していないが

街の損害はかなりのものだろう。



この街大丈夫かな?



何か、漠然とした嫌なものを感じつつ

お嬢の寝顔をしっかり目に焼き付けてから、

残っている問題を片付けるため宿殻の中に

潜ってゆく私であった。

いつも閲覧ありがとうございます。


ゴールデンウィーク中は更新が止まるかと思われます。

新作を待たれている方は

ちょくちょく書いたものを連休の最後の方に上げるので

その時を楽しみにしていただければと。

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