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4-15


上空を旋回しつつお嬢の戦闘を見守る私たち。


紙一重で竜巻の力場から逃げつつ

爆発で竜巻の勢いを殺してゆくお嬢。


その点だけ見ればいい勝負をしているのかもしれない。


だが、決着をつけるための決定打が見えない以上

この戦いは泥沼の持久戦。


そんな戦いの中であんなギリギリの戦いを

お嬢がどこまで続けられるのだろうか?


大局を見据えれば負けが確定しているこの戦い。


私に出来ることといえばお嬢が一秒でも

長くこの状況を耐え抜くことと、

精霊がこの陽動にかかってくれることを祈るのみだ。



大丈夫か?スラ子?


「ピィー!」



笛を吹きながら返事をするスラ子。


空を飛びながら笛を吹き続けるという

このなんとも珍妙な状況。



あの精霊だったら絶対にくいつくと

思ったんだけどなぁ。



先ほどからずっと観察している

竜巻の挙動に一切変化は見られない。



こうなれば痛む足を我慢してでも

レガさんを呼んでくるべきなのでは?



私が足の具合を確かめて覚悟を決めて

宿殻の中へ戻ろうとしたその時である。



「わぁーーー!」



聞きたかったその声が耳元に届く。



「何これ!?何それ!?すごいよ!!!」



空を飛行する私たちがまるで止まっているかの如く

私たちの周りをくるくる飛び回り

スラ子の笛にくぎ付けになる精霊。



良し!これでお嬢の方に隙が・・・!



想定していた方向に事が動いたことに

ガッツポーズを取りお嬢を再度確認する。



え?なんで?



想定していなかった事態に愕然とする。



変わっていない・・・。



精霊の気がそれたのだから、

精霊が操っているであろうあの竜巻も

霧散するなり動きが止まるなり

するのかと思った。


だが、私のそんな予想は大きく外れたようだ。


依然小さな竜巻は生まれ、

お嬢に狙いを定めた巨大な竜巻がゆっくりと

その距離を詰めている。



え?え?あれ?



精霊と竜巻を何度も繰り返し私が見やると

スラ子から笛を受け取った精霊が。



「ピィーーー!ピ、ピィー?」


あ、すみません。笛外してもらえますか?


「ヤドカリさん!どうしたの?」


え、あの、あれは?



私が指さす竜巻を見て。


「あれはねー。竜巻だよ!」


そう!そうなんだけれどもぉーーー!!!


そういうんじゃなくってぇーーー!!!



想定を外れた事態に大分いっぱいいっぱいな私。



落ち着けー。


落ち着け私ぃーーー!


「そうだよ!落ち着いた方が良いよ!!!」


くそ、何だ!?


煽ってんのかこいつ!?



笛を吹きながらご機嫌に飛び回る精霊。


その笛の音が私の精神への追撃となるが

日ごろ鍛えた精神力でねじふせる。



そう、ちょっと予想外だっただけ、

落ち着いて考えれば一部想定していなかっただけで

今この状況は間違っているとは言い切れない。


だってこの状況を作り出した原因が

今この場にいるのだから。


失敗さえしなければ、

失敗さえしなければこの状況にけりが付く。


私は自分のハサミを見やり、

ありったけの気持ちと力を込めて握りしめる。




頼む――――――
















その笛あげるからあの竜巻やめてください!!!



「良いの!?」



いいよー。


もう、そんなのでよければいくらでもあげちゃうよー。


何なら別のやつも中にあるよー。



「わぁーーー!わかったよ!!!じゃあ―――」


あ!ちょっと待って!!!



何かの挙動に入ろうとした精霊を制止する。



あの、出来ればあの竜巻一つにして

お嬢が大きな魔法を放ったタイミングで

消してもらっていいですか?


なんかおっきなモンスターが倒される

みたいな感じで。


「モンスターごっこ!?やるよ!任せてよ!!!」



もう完全にノリノリな精霊。


嬉々として集中し始めると、

お嬢の周辺をただふらついていた竜巻が

ゆっくりと近づいていた竜巻に合体して行く。



うぁ・・・。



ただただ口を開けるしかない巨大な竜巻に、

精霊が全く本気でなかったことを知る。



あんなのお嬢がどうにか・・・。



竜巻を眼前にしたお嬢。


遠目ではよくわからないが

一切後ろに引かずに竜巻と相対している。



何か奥の手が。



固唾をのんで見守ると、

お嬢と竜巻の間にいくつもの魔法陣が展開され、

光のフープが作られる。


そしてそのフープに向かってお嬢が手にした杖を

槍の投擲の様に投げ込む。


すると、お嬢の杖が生成された魔法陣を取り込みつつ

竜巻へ向けて一直線に加速し明滅したかと思うと。



――――――!



竜巻を取り込むほどの大きな光の球体が一瞬あらわれ、

竜巻を形成する風そのものを削り取って消えていった。



お゛ー。


お嬢あんな危険な技持ってたんだ。


ってかあんな危険物で私の事殴ってたんだ。



いろんな意味で恐怖する私であった。



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