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向かい風を体に受けると不意に体が上昇する。
それも一時的なものではない、
しっかりと体が風を受けて気流に乗ったのだ。
ふぁ!?
まさか、ここでもファンタジーな力に目覚めて!?
や、やったぞスラ子!!!
ガッツポーズで後ろを振り返ると飛行機の翼のように
その体を変形させて宿殻にとりついたスラ子がいた。
こ、これは・・・。
実に航空力学的な形状のスライムは
ファンタジーに分類されるのか?
それとも科学に分類されるのか?
一瞬リアクションに困ったが、
今はそれどころではない。
凄いぞスラ子!やっぱりお前は出来る子だ!!!
「な!」
体は大丈夫そうか?
「っな!っな!」
どこから声を出しているのか不思議でならないが
一先ず問題はないらしい。
吹き荒れる風を利用して高度を維持しつつ、
旋回してお嬢の様子を確認する。
飛ばされたのでお嬢との距離が大分開いてしまったが
現在も継続されている竜巻との戦闘は
その規模をさらに増している。
もう、あそこだけ切り取ったら地獄でも、
この世の終わりでも言って通せる風景だ。
何とかして治めないと・・・。
現状、飛べるだけで相変わらず私たちの出来ることは
これと言って思い浮かばない。
上空を飛行しつつ思案する中、
辺りに漂っていた竜巻が徐々に合わさり、
巨大なハリケーンへと変貌する姿が目に入る。
まずい、あんなのいくらお嬢でも!
必殺級の大技が迫る中、
お嬢は目の前の対処で手いっぱいの様子で
とてもじゃないがあれに対抗できるとは思えない。
となればお嬢の安全確保が最優先か。
少なくともお嬢だってこれ以上自分が打てる手段が
ないことはわかったはず。
隙さえ作れば逃げてくれるだろう。
スラ子もそう思うよな?
「なーーー・・・」
何やら返事が弾まない。
その返答を聞いてイメージするならば
その一瞬の隙に賭けて特攻をきめる可能性を
懸念しているのだろうか?
あ、なんかお嬢ならそれぐらいやりそう・・・。
色々と不確定な状況下、
何が最善となるのか全く分からない。
そう、私たちが悩んでいるうちに
お嬢の状況はさらに不利になってゆく。
くそ!もう何か手を打たないと!!!
そう、なんでもいい。
少なくともあの精霊の注意を
こちらに引きつけさえすれば時間は稼げるだろう。
頭をさらにフル回転させると、
私の脳裏に一人の不審者の姿が思い浮かぶ。
あぁ!レガさんが・・・。
思い浮かんだはいいものの、
この状況下でさらなる不確定要素を投入して・・・。
「なな!!!」
再び考え込み始めた私をスラ子がせっつく。
そ、そうだな!もう考えている場合じゃないな!
スラ子、待っててくれよ!
そういうと急いで宿殻の中へ戻り
あの小屋へ走りだそうとしたその時である。
「っふぉぁ!!!?」
足元にあった箱に足を突っ込んで盛大にこける私。
「いっつぅーーー!誰がこんなものを」
地面に転げながら悪態をつくが、
よくよく考えれば置いたのは私でした。
「オノレ!私ぃーーーーーー!!!」
地面に転げながらひねった足を押さえる私。
どうやら人間状態の足首を綺麗に捻挫したらしい。
これではもう、小屋まで行って事情を説明するだけでも
かなり時間がかかってしまう。
「こんな凡ミスでお嬢が!お嬢がぁ!!!」
地面に向かってやり場のない怒りをぶつけると、
不意に私に箱に入っていた中身の一つが目に入る。
「これならあるいは・・・!」
希望を手につかむと横回転ロールで宿殻内の空間から
飛びだし手にしたものをスラ子に渡す。
スラ子、それを思いっきり吹いてくれ!
「ピィーーーーーーーーー!」
人間の肺活量を無視した長く大きな笛の音が
強風吹き荒れる上空の中に混じってゆく。
そう、私が手にしたのは
おもちゃセットの中に入っていた安物の笛のおもちゃ。
正直こんな風が吹き荒れる中で
音がどこまで届くかわからないが
あの精霊が気が付けば何かしらのアクションは
取ってくるはず。
いつまでも鳴り続ける笛の音に耳が痛くなりつつも
些細な状況の変化を見逃すまいと
お嬢と、お嬢に迫りつつあるハリケーンに目をやる。
だめ・・・なのか?
どれだけ音が鳴り響いても、
私の視界は状況の変化を捉えることが出来なかった。
4/18 21:00
結果は4/20ですが、現行24ポイントなので
ゴールデンウィーク中はお休みになるかもしれません。
4章はそれまでに完結する予定。
※詳細は小説トップの説明文にて




