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4-11


よーし、それじゃ

ヤドカリさんと良いところに行こうか?


「良いところ?!行くよ!」



ハサミの中で足をばたつかせて喜ぶ精霊。



何だろう。誘拐犯になった気分だ。


いや、もう誘拐犯との違いなんて

ないのかも知れないが、この際一旦目をつむろう。



遊び道具を段ボールに詰めると宿殻へ押し込み

火の玉の発生源に向かう。


定期的に空へと打ちあがる火の玉は

よく見ると空を飛ぶ鳩に向けて放たれている。



あの鳩ってもしかして・・・。



なんだか嫌な予感がしつつ、

ある程度まで近づいてくるとお嬢の声が聞こえる。



「ちんたら飛んでんじゃないわよ!!!」



そういってまた鳩に向けて火の玉を放つ。



さっさと逃げればいいのに。



そう、思いはするのだが、よくよく見れば

鳩の足に紐が結び付けられている。



お嬢は・・・ホントそのうち動物愛護団体に

訴えられるのではなかろうか?



私のハサミの中ではしゃいでいた精霊も

かなりテンションの下がった声で。



「あれは酷いよ?」


そうだね。あれはちょっとひどいね。



お嬢のもとへ向かう足取りが重くなる。



なんか機嫌悪そうだし、また今度にしようか?


「よ?」



私が踵を返そうとしたとき、

不機嫌そうに空を見つめていたお嬢の目が

ぎょろりと私に対して焦点を当ててきた。



「・・・」



無言でたたずみ何やら頭をフル回転させているお嬢。


どうやらお嬢は私が精霊を捕まえている

という状況を理解するのに時間がかかっているらしい。


仕方ない、もう見つかってしまったことだし

ここは私の勲功を示すためにも掴んだ精霊を掲げて。



お嬢!精霊さんみつけましたそぉおーーーい!!!



そう、私がお嬢に報告しようとした際の

もうお嬢の予備動作で体が勝手に反応する。



無意識下で横っ飛びを行うと宿殻の中に隠れる。


そこまでしてやっと私の思考が行動に追いついてきた。



「こ、殺される!!!」



数秒にも満たない空中で必死に身の安全を祈ると

私のいたであろう場所で爆発が巻き起こり

宿殻に退避した私を宿殻ごと吹き飛ばす。



なんで?なんでなん?



起きた不条理極まりない事態に動転しつつも、

恐る恐る宿殻を出て爆心地を確認すると、

真っ赤に変色した地面から煙が立ち上っている。



・・・・・・・・・。



今までに見たことのない威力の一撃に

閉口して呆然と赤色かした地面を見つめる私。



いや、いやいやいや!ぼーっとしている場合じゃない!


ここは逃げるよ精霊さん!!!



お嬢との交渉の余地なしと判断した私は

生き残りをかけた撤退戦を決意したその時である。


先ほどまで私のハサミに挟まっていた精霊の

姿が見当たらない。



え?え?


まさか力んだ拍子に断ち切っちゃったりしてないよね?



慌ててあたりを探そうと見渡したその時。


一番危険な場所から精霊の声が聞こえてくる。



「魔法をぶつけちゃダメなんだよ!痛いんだよ!」


お、おぉう、そうなんだけど。そうなんだけれども!



お嬢と対峙する精霊。


よくあの距離で、機嫌の悪いお嬢に意見できる。


正直見ているだけで私の心臓が緊張で

張り裂けそうなほど脈打っている。



「悪いことしたらごめんなさいだよ!」


えぇ、それお前が言うのか?



冷や汗をかきつつそっとツッコミを入れる私。


それにしても微動だにせずに

無言を貫くお嬢が怖すぎる。



いったい何なんだ?


必殺ゲージでも溜めているのか?



私が恐る恐る近づいていくとふとお嬢が動いた。



ひぃああ!!!



思わずスプラッターな場面を想像してしまい

急いで目を伏せる私。


だが、そんな私の想像はいい形で裏切られる。



「そう、悪かったわね」



そう、素直にお嬢が謝ったのだ。



え?あれだけキレてたのに?


え?お嬢どうしたんですか?


もしかして偽物とかじゃないですよね?



頭中から疑問符が次々に湧き出てくる。



「ほら、ヤドカリさんにもごめんなさいだよ!」



そうしてまたもやお嬢を叱る精霊。



え!?いやいや!


気を使ってもらえるのは嬉しいけれ・・・。


出来れば今私の存在をそのやり取りの中に

絡めないでいただきたい。


とはいえ名前が出てきてしまったので

恐る恐るお嬢の顔を見やる私。


するとどうだろうか?


まさにといった作り笑顔の下から悪鬼の様な

表情が自分を押し込めようとする鉄仮面を突き破ろうと

激しく暴れまわる様子が見て取れる。



終わってわはいない。


そう、まだ何も終わってはいない。



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