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お嬢からの伝言でだいたいの状況は察せる。
私が気絶した後、結局精霊とは折り合いがつかず、
お嬢の冒険者としてのプライドに火が付いた
といったところだろう。
私としてはお嬢預かりになったこの件に
下手に関わるつもりはない。
何かいい案が思いつけば話は別だが、
下手にしゃしゃり出て邪魔でもした日には
本気でばらばらに解体されかねない。
願わくばお嬢も、精霊さんも
最良の結果にたどり着いてくれることを
祈るばかりである。
さて。
改めて室内を見渡すと、食事らしきものはない。
朝からずっとあわただしくしていたせいで
お腹が空いている。
何か夕食になりそうなものは・・・。
食べ物を探して部屋を出ると、
廊下の窓から顔を出し切った太陽が昇ってゆく
風景が見て取れた。
え?スラ子?私昨日からずっと寝ていたの?
「な!」
どうやら予想外にダメージが深かったらしい。
それにこの黒板に書かれた内容が
昨日の時点のものなのか、今日の時点のものなのかで
今私が置かれている状況が大分違ってくる。
スラ子がいるということは私を置いて
お嬢一人で旅立ったという可能性は低そうだが。
果たしてお嬢は大丈夫なのだろうか?
真剣に状況を考察しようと私の頭に血を回そうとするが
空腹がそれを邪魔する。
お腹減ったなぁー。
空を流れてゆく雲を眺めてぼーっとしてしまう。
っは!
意識が持っていかれそうになるのを気力で引き戻す。
お嬢が仕事をしている最中に
空腹に負けてだれている場合じゃない。
そもそも私が実力が足りないから
置いてきぼりを食らうのだ。
お嬢に頼ってもらえるためにもまずは・・・。
っは!!!
危ない。もう半分寝てってしまっていた。
これはもう、体を動かしていないと。
軽く体を伸ばすが、特に不調を感じるところはない。
それだったらこれを機に。
宿殻から一度出ると、近場の布をお腹に巻いて
宿殻の掃除を始める。
ミネアの街で私と一緒にさらに大きくなった宿殻。
この殻自体が生きているということは
ないとは思うのだが、だったらなんで私と一緒に
大きくなるのか不思議で仕方がない。
爪や髪の毛と一緒で生体の一部なのだろうか?
疑問符を浮かべながら、
表面についていた灰やら砂やらを落としてゆく。
そうして宿殻の表面の清掃を終えると
大事な事に気が付いた。
あ、そういえば宿殻が大きくなってから
宿殻の奥って掃除していなかったな。
ミネアの街からここまで急行軍であったため
掃除の機会を失っていたことに気が付く。
馬の件でスラ子が葉っぱやら何やらを持ち込んで
いる可能性もあるし、
一度確認はしておかないとな。
狭いながらも頭を突っ込み触覚を伸ばす私。
元々見た目より奥行きのある不思議な構造だったが
今回の成長でこの空間もより不合理性を増したらしい。
私の触覚がまだまだ先があることを伝えてくる。
あれ?
一度宿殻を出て殻の大きさを確認してみるのだが、
どうやってもそんなスペースが
存在出来るはずがないことを確認する。
どうなってるんだこれ?
身近すぎるミステリースポットの発見に
思考停止に陥りかける私。
スラ子ー?スラ子いるかー?
宿殻の奥を知るスラ子にどうなっているのかを
聞こうと宿殻を叩いてみるが、
私の看病を終えて宿殻に入ってからは
その気配を感じさせていない。
一体この奥はどうなっているんだ?
宿殻の中の光の届かない奥を眺め
考えをまとめようとする私。
・・・っは!!!
動きが止まっていた事により
もう寝ていたといっても過言でなかった私。
いや、もうこれは夢なのかもしれない。
だったら何も怖がることはないだろう。
眠気で慎重さを失った私は、
通常存在し得ない空間へと足を踏み入れるのだった。
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