表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/76

4-1


「はぁ!?私に馬を担いで街に行けっての!?」



晴れ渡る草原の中でどこまでも届きそうな

怒声をあげるお嬢。



『だってお嬢がこんなにしちゃったんでしょ!?』



私は地面に泡を吹いて倒れた馬を指して黒板を叩く。


そう、お嬢の無茶な旅路についてこれなかった馬が

街まであと少しのところでついに泡を吹いて倒れた。



「私のせいにする気?いい度胸じゃない!

そもそもあんたが気持ち悪いスピードで

後ろをついてくるのが悪いんでしょ!?」


『んな無茶苦茶な!!!』



ミネアの街からこれまでの道のり、

無理かと思いきや馬に追従できてしまった私。


人間、いや体はヤドカリだが頑張れば意外と

どうにかなるものである。


ただ限度を超えた努力というのは

はた目から見て決して見栄えの良い物ではない。


樽ほどの大きさのヤドカリが高速で足をばたつかせて

馬に追いすがる姿はどうやったて美しさにかける。



だからって気持ち悪いって!


気持ち悪いって何ですか!?


あまつさえスピード上げて自爆した責任まで

私にかぶせないでくださいよ!!!



色々と出かけた反論だが、

あまりお嬢の失敗を指摘してもよいことがない。


ましてや現状が解決するわけでもないので

建設的な話題へとシフトする。



『とにかくこれからどうするんですか?』



馬を見つめて考え込むお嬢。



「街まで持っていけないなら解体して

格納魔法の袋に詰めるわ。

ここに置いておいても街へ行って戻ってくるまでに

野生の動物に殺されるか野たれ死ぬかどうかだし」



ちょ!!!


お嬢愛用の近接武器である小型のハンドアックスを

取り出し振りかぶろうとするのを制止する。



『何を物騒なこと言ってるんですか!?』


「だってもったいないでしょ!

どうせ後で私に請求が来るんだから

少しでも元を取れるようにしておかないと」


『だったら馬をそのまま魔法の袋に入れれば』


「は?大きさ的に袋の口に入りきらないわよ。

それにあの中ほとんど空気何てないわよ」



あ、そうなんだ。


いつもお嬢が道具を取り出す魔法の袋。


さすがファンタジーと感動していたが

ゲームレベルでなんでも都合よく格納できるわけでは

ないらしい。



「だったらあんたが運べば良いじゃない。

このあたりからだったらもうすぐ穀倉地帯が見えるから

その中の道沿いに行けば街につくわよ」



え?それって私を置いて先に行くって言ってません?



「当たり前でしょ。あんたの我がままにいちいち

私を巻き込むんじゃないわよ。

ただでさえ時間が足りないのに

馬ごときで無駄足踏んでられないのよ!」



そう言い切るお嬢。


どうやらあまり時間に余裕がないらしい。



だったら馬を解体している時間なんてと

思わないことも無いのだが・・・。


そうして色々と考えて私が出した結論は。



『わかりました。私が引っ張っていきます!』


「わかったわ。

ギルドに伝言ぐらいは残しておいてあげる。

後はあんたで何とかしなさい」



そういうと私の宿殻をパンパンと叩くお嬢。



「スラ子ちゃん。カニ太郎はやることがあるから

先に街に向かうわよ」



え?え!?ちょっと!



『スラ子は私と一緒じゃないんですか!?』


「なんでスラ子ちゃんがあんたとセットになるのよ」


『スラ子は頼りになるのでいてくれると』


「はぁ゛?我を通そうとしているのに

他人を当てにするなんていい度胸じゃない!」



お嬢の怒りのボルテージが一段階上がりかけたその時。



「な?」



スラ子が宿殻の中から現れる。



「スラ子ちゃん。こいつ馬の面倒見るらしいから

私たちは先に街に行っていましょう」



お嬢の説明を受けて私に振り返るスラ子。



ごめんなスラ子。


ちょっとお馬さんが心配でついていてあげたいんだ。



私がそういうと馬を確認したスラ子が

そそくさと宿殻の中へと戻ってゆく。



おぉ!これは私と一緒に居たいということか!?



『お嬢見ましたか!?

スラ子は私と一緒に居たいらしいですよ!?!?』



スラ子の心優しい判断についついテンションが

上がってしまう。


ふふ、お嬢には悪いですが一人で先に・・・。



私がそう黒板に文字を書きかけたその時。



「な!」



宿殻の中から何やら青々とした葉っぱを

大量に持ってきたスラ子。



ちょっとそんなものいつの間に宿殻の中に!?



そう、私がツッコミを入れる前に

突如倒れた馬の顔に葉っぱをかぶせるスラ子。



「っな!っな!」



そういって飛び跳ねると

即座にお嬢の胸へ飛び込んでゆく。



「ふふ、お馬さんにご飯あげたの?偉いわね」


「な!」



お嬢に褒められて喜ぶスラ子。


え?あれ?じゃあ私と一緒には?



「じゃあ、私たちは先に行ってるから」


「な!」



そういって去ってゆくお嬢とスラ子を

私はしっくりこない感じで見送るのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ