3-18
今は一体何時なのだろうか?
目が覚めてから空を見上げた感じでは
もうお昼に差し掛かっている。
まぁ、夜通しでダンジョンの最深部へ
ショートカットして戻ってきたのだから
多少寝すぎてしまうのも無理はない。
寝起きでしっくりこない体を奮い立たせて
お嬢を待つためにギルドの中へと入ってい行く。
ギルド内は昨日にもましてあわただしく、
今までに見たことのない風体の人たちが増えている。
見た目からして冒険者というより兵士風の人たちが
ギルド内の一角を占めている。
そんなあわただしい人の間を潜り抜け、
受付へとたどり着くとそこにはお嬢と訪れた際に
対応してくれたソラナさんが座っていた。
まだ昼間だが、目の下に隈を作り眠たそうに
書類を見つめている。
『大丈夫ですか?一度寝た方が良いのでは?』
黒板に書いた文字をソラナさんに見せる。
「えぇ・・・お気遣いあり・・・・・・え?」
私に気が付いたソラナさん、
何やら難しい顔をしている。
「たしか・・・」
『カニ太郎です』
まぁ、いろいろドタバタしていたし
さすがの受付嬢といってもヤドカリの名前を
覚えているはずもない。
名前を思い出し、シスターに頼んでいた
伝言を思い出したの引き出しから新しい
従魔の印を取り出して渡してくれる。
「ごめんなさいね?リサちゃんはまだ・・・」
俯きながら心配で今にも泣きだしそうな顔を
必死でこらえながら現状を教えてくれるソラナさん。
『大丈夫。お嬢なら必ず帰ってきますよ!』
そんなソラナさんを励ますかのように文字を見せる。
「そうよね!リサちゃんならきっと!
・・・ふふ、でもさすがリサちゃんの従魔さんね。
こんなにリサちゃんのことを信頼してるなんて」
ふふ。
私を見る目に尊敬の意を感じる。
今私に対するソラナさんの評価がうなぎのぼり。
若干、ダンジョンに行って確認してきたという
裏技を使用した気まずさがないわけではない。
だが、それも忠義に厚い故の事なので問題はないはず。
ここぞとばかりに私の人間性を発揮して
ソラナさんの好感度を上げていると。
ギルドの外から歓声が聞こえてくる。
もしや!?
そう思いギルドの入り口を見ると勢いよく開かれた
ギルドの扉からお嬢が現れる。
お嬢!!!
ギルドの面々が立ち上がりそう叫びながら
あるものは男泣き、あるものは祈りをささげる。
何てドラマティックな場面なのだろうか?
普段から沈着冷静な私も
ついつい場の空気に流されてしまう。
そうしてこっちを見つめてまっすぐに歩いてくるお嬢。
あぁ、お嬢。
やっぱりご無事だったんですね!
ずっと、ずっと心配して待っていたんですよ!
こんな時ぐらい、あぁ・・・こんな時ぐらい
甘えちゃっても大丈夫ですよね?
物語のヒロインの様に帰還したお嬢の胸へと
華麗なる跳躍をきめる私。
おじょーーーーーーーーーーーー!!!
慣れ親しんだ感触。
そう、お嬢と過ごした日々が私を出迎える。
その感触はまさに鋼。
魔法によって強化された筋力から発生する力が
これまた魔法によって硬化された杖を通じて
私の顔面にインパクトする。
普段なら心構えをしてから飛び込む分、
いくらかの衝撃と痛みには耐えられる。
だが、ちょっと空気に流されて
そんな事を想定していなかった私は
ノーガードでお嬢の攻撃を受けてしまう。
おぼぁ!!!
凄まじい力の奔流にて抵抗する間もなく
真横へと薙ぎ払われると、
私を受け止めてくれたギルドの壁の一部と化す私。
そしてそのまま何事もなかったかのように
ソラナさんへ任務完了の報告をすると、
どこからともなく勝どきが上がる。
「「「オォーーーーーー!!!」」」
何という一体感。
これこそまさに一つになるということだろう。
感動のせいか、あふれ出す涙が止まらない。
ってかどうしよう?
色々と一体感がありすぎて
もうどうして良いのかわからない私であった。




