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3-17


ニードルと言うにはあまりに太い形状の石柱が

水晶を目の前にしたモザーグに襲い掛かる。


一瞬しか見えなかったが、

それなりの長さの石柱がモザーグの体を穿ち、

その体を地面から数ミリ持ち上げている。



「ッモ゛」



一瞬遅れてくる機械的な声が、

この空間内にひっそりと響き渡ると

モザーグを穿っていた石柱が

ゆっくりと地面の中へと戻ってゆく。



うわぁ・・・え?そんなに!?



詳しくは言及しないが今目の前で起こった

事態にドン引きする私。


また、そんな不意を突かれてなお

仁王立ちでその体を直立させるモザーグ。



「テ・・・テメェ」



何かこちらに訴えかけてくるモザーグではあるが、

震えて立ち尽くすだけでこちらに向き直るような

そぶりは見せない。



っくっそ!



余りにも痛々しくて目を背けてしまう。


だが、そんな事お構いなしに先ほどより大きな振動が

この空間に響き渡る。



「っおぅふ」



体勢を維持できなかったモザーグが

弱々しい悲鳴をあげながらなんとか目の前の

水晶の柱へとへばりつく。



「・・・これでいい?」



いや!良くは・・・!


いや、でも・・・。



何か適切な状態を想定していたわけではない。


だが、確実に目の前の光景を望んでいたわけでもない。


あれ?ってかこれは私がやらせたみたいになってない?



複雑に絡み合った因果関係に困惑する私。



すると再度、空間内に大きな振動が起こる。


もうこれはお嬢たちが

すぐ近くまで来ているということだろうか?



私の問いかけに応えるかのように

フルプレートが壁に駆け寄ると

振りかぶった拳で大きな穴をあける。



「て、テメェら!お、おぼえとけ」



何とか先ほどより力を取り戻してきたモザーグが

私たちに向けて必死のメッセージを飛ばしてくる。


何だか予想とは違う結末でどこか申し訳ない気が、

しないでもない。


だが、これもお嬢に害を為そうとした報いということで

割り切り、モザーグにそっと手を合わせる私。


そうしてフルプレートが空けた穴に入ると

来る時とは逆の流れでダンジョンの壁が塞がってゆき

地面が上へ上へと押し上げてくる。



あぁ、これでお嬢が無事に帰ってこれますように。


私がお嬢の無事を祈願したその時である。



塞ぎかけたわずかな隙間から、

向かい側のダンジョンの壁が爆発する様子が見えた。



「モ゛ーーーグーーーラ゛ァーーーーーー!!!」



爆炎の中からお嬢の怒声が響き渡る。



あー、これは祈るまでもないな。



完全に心配のなくなった私は

フルプレートに抱きかかえられながら

無事にダンジョンを脱出すると、

一安心したせいなのか不意に訪れた睡魔に逆らえず

そのまま寝てしまっていた。







「な!な!」


スラ子の声で気が付くと私は冒険者ギルドの傍にいた。


日もすっかり上り、あれから大分時間が経ったようだ。



いつの間に・・・。



あたりを見回すがあのフルプレートの姿はない。



「な!」



そういってスラ子が背中にかけられた黒板を見せると。



『またね。byレガ』



そう私の知らない筆跡で文字が書かれていた。



そっか、行っちゃったんだ。



途轍もなく不思議で謎だらけの奴だったが、

あのフルプレートのおかげで今回は助かったんだよな。



あれ?・・・助かったのか?



黒板を見ながらじっくり考えてみるが、

モザーグにアースニードルを放ったぐらいで

別にお嬢だけでも大丈夫だったような。



ってか私だってじっと待っていればよかった

だけの様な・・・。



改めてことの顛末を整理して俯瞰してみると、

色々と疑問符が浮かぶ今回の騒動。



いや!いやいや!


結果じゃなくてね。


行動するってことが大事だと私は思うよ!


ね!スラ子?!



「な!」



自分とスラ子に言い聞かせながら改めて黒板を見る。


『またね』って書いてあるし、

今度会った時にちゃんとあのフルプレートには・・・。


いや、レガさんにはお礼を言わないとな。


若干再会するのが怖くもあるが、

また会ってしまったらちゃんとお礼をしようと

心に誓う私であった。



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