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「・・・自分たちで作れば?」
もっともな発言をするフルプレートに
ない首を振るモザーグ。
そのあたりで伸びている子分モグラを指しながら。
「あいつらに任せると全部食っちまうんだよ!!!
まぁ、こんだけ上手いんだから仕方ないんだがな。」
そういって地面をまさぐると
地面から巨大なキノコ付きミミズを取り出した。
地中を突き進むための先端がキノコに接げ変わった
巨大なミミズがモグラの手の中でのたうちまわっている。
なんて、なんて卑猥なミミズなんだ。
しかもあれを人間に育てさせる?
いや、もっと正確に言えばお嬢に!?
頭の中で広がる妄想が止まらない。
っは!
私の妄想を中断させたのは、
ダンジョン内に重く響き渡る振動だった。
「っち!悪あがきか!!!」
私たちと相対していたモザーグは
急いで水晶の柱に戻ると何やら手をかざしている。
遠目から見ると先ほど映し出された映像の一部が
拡大されている。
お嬢だ!!!
お嬢がダンジョンの壁に向けて魔法を放っている。
ということは先ほどの振動もお嬢が?
「っへっへっへ!ダンジョン内でそんな魔法が」
そういって何やら水晶に向かって操作をするモザーグ。
やはりこいつはお嬢の敵。
これ以上お嬢が危険にさらされないように、
こちらとしても何か手を打たないと。
・・・。
色々と作戦を考えてはみるものの、
体重だけでも決定的な差がある私とモザーグ。
一瞬の隙を作りだせるかどうかもわからない。
それどころか攻撃しようとした時点で、
即座に八つ裂きにされる可能性だってある。
こんな大事な場面で人任せというのは
なんとも情けないのだが、
ここはひとつこのフルプレートに頼むしか。
ちらっ。
あくまでフルプレートの自主性に任せる形で
フルプレートを見上げてみる。
お嬢を助けるためにここまで来てくれたんだよね?
ほら!
何かここで一つアクションを起こすべきでは!?
そんな私の気持ちのこもった視線に
ぼーっと突っ立っているフルプレート。
あれ?石像じゃないよね?
一見しただけでは何も読み取れない。
いや、むしろ何も読み取れなさすぎる。
本来生きていれば多少でさえ動くだろう
体のふらつきさえもこいつからは感じられない。
心配になって軽く鎧を叩いてみる。
「・・・・・・ん?帰る?」
え!?なんで!?
『お嬢を助けに来たんでしょ!?』
黒板に書き込んだ文字を叩いて見せる。
「・・・いや、大丈夫そうだし。」
どこが!?
これから激戦が始まるところじゃないの!?
あまりに状況にそぐわない発言に驚く私に。
「・・・それに私説明苦手。」
あ、それは・・・。
ここまで慌てて飛び出してきてから
お嬢の安否を確認できて落ち着いた私の思考が、
ここにきて現状の複雑さに思い至る。
冒険者ギルドで待機しているはずの私が、
お嬢が目指すダンジョンの最深部で
得体の知れないフルプレートと待ち受けている。
なるほど、これは非常に厄介だ。
だって私でさえどうやってこんなところに
来れているのかもわからない。
わかっているのはこのフルプレートなのだが、
先ほどのモザーグとのやり取りとこいつの自己申告を
鑑みるにお嬢を納得させることが出来るとは思えない。
ヤバい、ヤッッッバい!!!
殺される!お嬢に殺される!!!
フルプレートの言う通りで
お嬢が問題なくここまでたどり着くことが出来、
なおかつモザーグよりお嬢が圧倒的に強い場合、
モザーグもろとも私も討伐される可能性がある。
そう考えるとないはずの膚が
一気に鳥肌になるような感覚に私の体を包み込む。
お嬢に会う前にここから脱出しなければ!
来て早々、特に何もせずにこんな結論を出す私。
情けないんじゃないか?私?
だって、だってお嬢が心配だったんだもの。
自分に対してよくわからない弁明を繰り返しながら、
それでも得体の知れないフルプレートに連れられて
ここまで来たリスクに対して何かしらの意味を
残そうと思案する。
「・・・そうだね。ちょっといたずらしちゃおっか」
え?
私が考えていると突如フルプレートが喋った。
私は何も黒板に書いていないのに何を突然?
いや、そういえば・・・。
今に至るまで自然なコミュニケーションが
取れていたことで失念していた新たな事実に気が付く。
貴方は一体?
そう、問いかけようとしたところで
フルプレートは地面に手をついてつぶやいた。
「・・・アースニードル」




