3-15
突き抜けたのは壁だったのだろうか?
先には広い空洞の様な場所のようだが
薄明りしかなくあたりが周りが良く見えない。
また、キィキィと騒がしい音がしており
少なくない数の生き物がこの空洞にいるらしい。
何か光源はないものか・・・。
あたりを見回していると。
「・・・あぁ。今明るくするね」
フルプレートがそう言うやいなや、
薄く暗く輝いていた光が、
真昼の様な明るさに切り替わる。
ギィーーー!!!
耳障りな歯ぎしりの様な音があたりに響き渡る。
私も突如の発光で目がくらんだが、
目が慣れるにつれて音の正体が判明する。
茶色い体毛に覆われ、鋭い爪をもつモグラだ。
大小さまざまではあるが平均すると着ぐるみ大の
モグラたちが目を押さえてのたうちまわっている。
「ちくしょう!
こんなえげつねぇ事するたぁどこの穴のモグラだ!」
空洞の中央、巨大なクリスタルの柱にいる
ひときわ大きなモグラが手で目を隠しつつ
鼻をひくひくさせながらこちらの方にやってくる。
「この仕業はてめぇか!!!」
フルプレートの頭部へ自分の頭を
ぐいぐいこすりつけてくるモグラ。
どうしよう・・・。若干可愛い。
「随分な挨拶してくれるじゃねぇか」
「・・・あぁ。こんにちわ」
「ちげぇよ!そうじゃねよ!!!」
「・・・!こんばんわ!」
「だーーー!!!」
頭を掻きむしりながら、可愛い目のマークがついた
アイマスクを取り出し装着するモグラ。
「あぁあ!?てめぇモグラじゃねぇな!
精霊の類か!?」
モグラがそういうとコクリとうなずくフルプレート。
え?コイツ精霊なの?
お爺さんから聞いていた精霊のイメージとは
大分かけ離れている。
「おぅおぅおぅおぅ、ここを地中の竜たる
土竜モザーグ様のダンジョンと知っての狼藉か?」
土竜って日本語だとモグラと読むんだが、
やはりこちらの世界では違うのかな?
そんな土竜モザーグさんの自己紹介に対して。
「・・・うん。・・・・・・リサちゃんいます?」
「あ゛ぁ!?こっちが名乗ってやってるのに
挨拶もなしとはいい度胸じゃねぇか!!!」
「・・・!こんばんわ!!!」
「っちっげぇよぉーーー!!!」
このフルプレートもとい精霊さんはどうやら
私の直観通り相当ヤバいやつのようだ。
「まぁどうせ名無しの中級なりたてか?
てめぇどこ産だ?」
「・・・は?」
「あなたの!お生まれは!どこですか!?」
「・・・大陸産?」
「は!いるいる!ちょっといい依代見つけたからって
調子に乗っちゃう雑魚い三下の精霊が」
「・・・は゛?」
「は?・・・じゃっあねぇよ!
俺っちのダンジョンに穴開けやがって!
どうしてくれるんですかー?」
モザーグさんがそういうと、
すぐに私たちの入ってきた穴に石柱がそそり立ち
空いていた穴は見る影もなくなくなってしまった。
「や、やるじゃねぇか」
「・・・リサちゃんいますか?」
「は?そんなモグラはいねぇよ」
「・・・冒険者」
「・・・は゛!?
てめぇら人間に肩入れするのはご法度だろ?」
そう言われて首を振るフルプレート。
小脇に掲げていた私を前に突き出す。
「は!?コイツに?
相変わらず狂ったことばかりしやがる」
「・・・リサちゃん」
「はいはい。どうせあいつらのうちの誰かだろう」
そうモグラがクリスタルを指し示すと、
クリスタルの中から光が投影され、
何組ものパーティの姿が映し出される。
・・・あ!お嬢だ!お嬢がいる!!!
複数ある映像の中から確かに杖を構えて
立っているお嬢の姿が見て取れる。
良かった!お嬢!無事だったんですね!!!
勢いでここまで来てしまったが、
お嬢の無事が確認できて、
今までの不安が一気に吹き飛ばされる。
「・・・返してあげて?」
「は!無理だね!アイツらには
俺っちの地下帝国建国のため
食料生産に貢献してもらうんだからよ」
そういって悪態をつくモザーグ。
だが、パッチリ二重のアイマスクは
にこやかなまなざしを私たちに向けていた。




