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3-14


町中で突如として現れた土の馬は町の外に作られた

簡易式のバリケードをぶち破り、

月明りしかない夜道を颯爽と駆け抜ける。


この先の見えない道をこのスピードで進むというのは

どれほどやっても慣れる気がしない。


その向かう先がどこなのかわからないとなれば

なおの事だろう。


お嬢を助けに向かっているとなれば

おのずとダンジョンであることは違いない。


だが、どこにあるのか調べてすらいなかったため

今向かっている先に

本当にダンジョンがあるのかはわからない。


そう、どこかまだこの『レガ』と名乗る

このフルプレートを信用しきることが出来ないのだ。


もしやこの人はどこかの特殊工作員で、

お爺さんが召喚した秘めたる力を持つ私を

さらおうという悪の手先なのではないのだろうか?



否めない。実に否めない。



そうでなければわざわざ私に絡んでくる必要性が

まったく見いだせないのだ。


お嬢を助けられる実力があるのならば

私にかまわず、単独で助ければいい話。


改めてゆっくりと考えるにつれて

不安な要素が増してくる。



どうしよう・・・。



考えれば考えるほどに不安が増してくる。


だが、いまさら『さっきのはなしで!』

とは言えないし、言ったところでここから戻る町は

遥か後方の闇の中で、その光は見つけられない。


悩みつつ月明りに照らされるくらい夜道を

見える範囲でたどってしばらくすると。



「・・・着いたよ。」



そういって馬から飛び降りるフルプレート。



着いた?



小脇に抱えられながらも、あたりを見渡すが、

ダンジョンらしきものは見当たらない。


それどころか、ダンジョン入り口を封鎖している

冒険者たちや明かりの類すら見当たらない。



ど、どういうことだ!?



理解できない状況に先ほど展開していたの悪い想像が

次々と脳裏をよぎる。



やはり危険人物だったのか!?



追い詰められていたからとは言え、

こんな得体の知れない奴を信じた自分が情けない。


せめてもの抵抗で私を持つ手をガシガシと叩くが

まったくと言っていいほどダメージがない。


まるで高密度の岩石を叩いている様だ。


ハサミをぶつけた相手の鎧は振動音すら響かせない。



一体どんな素材でできているんだこの鎧。


そしてそんな鎧を着て難なく動ける

この危険人物は何なんだ?



「・・・ここでいいかな?」



これから何が始まるのか、

行動を封じられた私はただ見ているだけしかできない。


ゆっくりと地面に片膝をついて空いている

もう片方の手を地面につける。


するとどうしたことだろうか?


手を当てた先の地面がゆっくりと陥没して

自ずから地中への道を作ってゆく。



まさか、このままダンジョンに潜り込む気か?



お爺さんから教えてもらった知識を思い出すが、

そんな魔法や技術は聞かなかった。


じゃあ、私が目の前で見ているこれは

一体どういうことなのだろうか?



考えてもわからない。


だが、この先に待ち受けているものが何かで

こいつの正体がはっきりするのかもしれない。







地上からの月明りの完全に届かない地下深く。


完全な暗闇の中で感じるのは下へとくだってゆく

その感覚のみである。


もう、いまさらどうにもならない状況ではあるが、

せめて何が起きても耐えられるよう

心の準備をしていると。


不意に下へ掘り進むスピードが止まる。



「・・・あれ?」



突如気になるつぶやきをするフルプレート。



「・・・もしもーし」



地面に向けて話しかけているのか?


既に光源が失せているため様子がわからないが、

地面をノックするような音がする。



「・・・」



そうして完全に挙動の止まるフルプレート。



え?え!?どうなったの?



私がこの極限状況でパニックを起こしかけたその時。



「・・・おじゃましまーす」



尋常ならざる衝撃と共に何か固い物が砕け散り、

その残骸がゴロゴロと転がる音がする。



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