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「こちらなんですが・・・」
そういってシスターに案内されたのは書斎。
そしてその小さな一室の端に置かれた机の上に、
書きかけの薄い本が置いてある。
『これは?』
「ふふ、星教の教えを子供向けの
絵本にしたものなんですよ」
なるほど、布教と教育をセットにすることで
下地を作ってゆく作戦ということかな?
出来かけの本をぱらぱらとめくると、
なんとも幻想的な挿絵に単語がふってある。
犬・・・。え?犬?
説明文と挿絵を何度も見返すが、
文章的な間違いは見当たらない。
この説明の通りなら亜人種創造の下りらしいが、
神様が頭おの割けた四足獣に食べられかけている
様にしか見えない。
「ねぇねぇ、どうかしら?
最初よりだいぶうまく書けるようになったのよ」
嬉しそうに感想を求めてくるシスター。
一先ず比べてみようと最初のページをめくると。
『宇宙の始まり』
おぉ・・・すげぇ。
如何にも原初の始まりといったカオスがそこにある。
このカオスな感じは狙っても書けませんわ。
そこから鳥が・・・。
えぇ!?
説明文では鳥となっているが、
原初の宇宙から刃物が生えた何かが出てきている。
そして次のページでは突然に四本の足が生え。
さらにその次のページではなんの脈絡もなく
先ほどの犬に置き換わっている。
『え?この鳥は?』
「ふふ、鳥は書きずらかったの」
作っちゃったよ!
この人神話作っちゃったよ!!!
とりあえず出来ている部分を読み上げると
言いしれない達成感に包まれる。
よくぞこのツッコミどころの塊を
自分の中に押しとどめたと。
よくやった私。偉いぞ私。
そっと本を閉じて、
偽りない私の感想をシスターへと伝える。
『とても芸術性が高いと思います。』
「あらあら、うれしいわ」
別に嘘は言っていない、
湧き上がった感想からマイナスを取り除いただけだ。
「でもね、子供たちには評判が悪くて。
感想を聞こうとすると泣き出すのよ!」
まぁ、こんな宇宙の原初を引きずった犬を見たら
私もちょっと悪夢を見そうだ。
ちびっ子たちの被った災難に苦笑しつつ、
シスターの話の続きを聞く。
「それでカニ太郎さんには
この本の複製を頼みたいの。
出来る限りでいいからお願いできるかしら?」
そういって分厚い原本を私に渡してくる。
『え?子供向けの原本は?』
「その・・・お金に困ったときに売ってしまって」
わぁ。なかなかにハードルが高い。
でもまぁこれなら私でも役に立てるだろう。
『任せてください!仕上げて見せます。』
こうして私の本づくりの作業が始まった。




