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2-10

町で仕事をするために旅に出たというゴブリンさん。



「何か希望の仕事は?」



というお嬢の問いに対して。



「この可愛さを生かせる仕事がしたいゴブ!」



そう微笑む笑顔からは渋みしか伝わらない。


ゴブリン界隈ではあれが可愛いのだろうか?


いや。


そんなことは私にはわからない。


私にわかるとすればお嬢から放たれる私への殺気が

加速度的に増加しているということだけだ。


そんな『野垂れ死ねば良かったのに』みたいな目で

私の事を見るのはやめてもらえませんか?


そもそもお嬢がいきなり走り出すのが悪いんでしょ!


そんな横暴なことばかりやってると

そのうちしっぺ返しがありますよ!



さすがにいつもならば耐え忍ぶかもしれないが、

今回に至ってはよそ様へ被害が出ているため

強気に出る私。


ただどちらにせよ口に出せないので

結果は変わらないのだけれども。



「まぁ、いいわ。紹介だけならしてあげる」


「ホントゴブか!?」


「紹介するだけよ?

働けるかどうかはあなた次第だからね?」


「十分ゴブ!ありがとうゴブ!!!」



こうして町へと続く道すがらゴブリンさんが加わり、

私たちは塔を出てから三日目の早朝に目的地の

町『ミネア』にたどり着いた。







遥か前方、まだ距離があるはずなのに

遠くに白い壁が見えてくる。


うっすらと壁の上に掲げられた旗は国旗だろうか?


その周辺には人が人らしき影が小さく動いている。


あの町から私の伝説が始まるんですねお嬢!


ウキウキが足に伝わり自然と足が軽くなる。



「あの町からゴブの伝説が始まるゴブね!」



おっとぉ、おっとおっとー。


私と似たような考えをするゴブリンがいたぞ。


私を助けてくれたとても良いゴブリンさんゆえに

成功を願わないわけではないのだが、

もしゴブリンさんの念願がかなってしまった場合、

どんな世界になってしまうのかについて

深く思い悩んでしまう。



人の幸せって難しいんだなスラ子。


な!



わかっているのかいないのか。


いつも通り返事をしてくれるスラ子と一緒に

ゲートを通り町の中へ入ってゆく私たち。



人気のない方から来たためか入ったばかりの内部は

余り人気のない印象ではあるが、

新築らしき石造りの家がちらほらと見て取れる。



「最初にゴブリンさんの用事を済ませるわよ」



そういって人気はないのだが綺麗にまとまった

街路地を進んでゆく私たち。


ところどころの植木には小さいながらも

草花が咲いていて清楚な印象を受ける。


そんな街路地を抜けると開けた場所に

一件の喫茶店が現れる。



わぁ、綺麗な場所じゃ・・・。



色とりどりの花に囲われ、

石造りが主流の町中に現れた木造の喫茶店。


とても雰囲気のある佇まいには歴史と美学を感じる。



だが、一点がおかしい箇所がある。


掲げられた看板に違和感を感じる。


お爺さんに教えてもらった文字では

表現しきれない熟語の類なのだろうか?



混乱する私の常識をそっと胸の奥にしまって

書いてあるままの文字を読み上げる。



『プロレス喫茶☆ムキムキロマンティック』



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