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2-8

そう、何を怖がっていたのだろうか。


お爺さんの授業を思い出す私。


亜人である鬼種のゴブリンは一般的な知性を持ち、

一概に『人類の敵』ということではないらしい。


ただ、野党になるのも多いので

安心できる種族というわけでもないらしい。



そのあたりは人間と一緒だなぁ・・・。



しみじみそんな感想を抱きながら

目の前の存在と対峙する。


黒板や身振り手振りで話を聞く限り、

どうやらこのゴブリンは町へ行きたいらしい。


ただ、ゴブリン伝手の話だったため

正確な場所はわからず

もしわかるのならば教えて欲しいとのこと。



なるほどな。


しかしこれは好都合かもしれない。


お嬢たちも最終的には町にたどり着くわけだから、

このゴブリンさんと一緒に行けば

最悪町でお嬢たちと合流出来るはず。


さらにゴブリンさんは夜目が利くらしく、

私の不確かな方位を頼りに

夜間進行してくれるとの事。


そう、お嬢たちだって夜間は止まるはず。


さらに言えば獣よけに火を焚いているのは必至!


これだけの条件がそろえば

なんとも見つけられそうではないだろうか?



「善は急げゴブ」



そういって私を持ち上げると

思いの外軽快な走りで夜の草原を駆けるゴブリン。


ある程度雲がかかっており、

星の明かりも少ないこの状態でこのスピードは

少々怖いのだが、ゴブリンさんが

しっかりと持ってくれているおかげで何とかなる。



あぁ、それにしても私のファースト抱っこは

ゴブリンさんに取られちゃったな。


願わくばお嬢と好感度を上げて、

スラ子と同等の扱いを・・・。



恐らく日中の全力疾走とはぐれてからの精神疲労で

疲れていたのだろう私の脳みそが

想いを馳せたお嬢とスラ子の面影から

得体の知れない観念を生成していると。



「ヤドカリさん、火の匂いがするゴブ」



本当ですかゴブリンさん!?


想いが通じたのであろう。


ゴブリンさんの指し示す方向に確かに

星明りとは違う光が見受けられる。



あそこに!あそこにお嬢が!!!



言葉にできない思いをハサミに乗せて指し示す。



「任せるゴブ!」



私のはやる気持ちを受けたのか、

ゴブリンさんのスピードも上がってゆく。



「なな!」



目指していた光の傍からスラ子の声が聞こえる。


あの独特な鳴き声は間違いない。スラ子だ!


あんなに必死に飛び跳ねちゃって、

スラ子には心配をかけてしまったな。



今までに見たことのない挙動に苦笑しつつ。


感動の再会に打ち震え、目に涙がこみ上げる。



「ななーーー!!!」



スラ子の鳴き声を頼りに、

生い茂る草むらを抜け出したその時である。



「ゴブ!?」



開けた地面にゴブリンさんの足が

触れると同人地面に光が駆けてたかと思うと

次の瞬間には足元から大量の光と熱量を感じる。



「ゴブーーー!!!」



わずかに聞こえた断末魔も一瞬。


全身を震わせるような爆音に聴覚を持っていかれ、

その衝撃でゴブリンさんの手から吹き飛ばされる私。


訳も分からず地面に転がり落ちる私の目には

あたり一帯を照らし出す炎の柱が映っていた。


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