52. 南草津
20時20分、草津駅に到着。草津市だ。
残すところ、あと2駅になった。52番目の下車駅は、南草津。
長崎出身・東京在住の身としては「草津」と言えば群馬県の温泉地を思い浮かべてしまうのだが、滋賀県にも「草津」がある。残念ながら落選してしまったがこの南草津の1つ手前が草津駅だった。
ここで早朝散歩をすることにしてホテルを予約したのだが、そこそこ栄えている。「南」プラス自治体名の駅なので日の出が見れるのではないかという期待もあったのだが、やはりホテルがあるだけのことはある。どうなるか分からないが、早朝散歩は試みようと思う。
まず駅で地図を取得。西口のそばに大きめの公園があるのと、北の方に川がある。どこかで日の出を見られると良いが。
今日はとにかく早く寝て、明日の朝にも、余裕をもって起きて地図検索をしてみよう。日の出時刻を調べたところ、滋賀県は7時ごろ。5時、5時5分、5時10分の3段構えで目覚ましをセットし、就寝。
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1月3日、起床。
時計を見る。5時52分。こういう時に限って窓はすりガラスだが、暗い。飛び起きて、外に出た。良かった、まだ夜と変わらぬ暗さだ。
西口そばの公園からだとすぐ東に駅があるので日の出は見えそうにない。それとやはり、建物が多い。想像以上に栄えていた南草津で、日の出は見られるのか。
北の方にある川へ向かう。すぐに着くも、やはり周囲に建物は多い。ここで線路の先に行けることも期待していたのだが、無理なようなので一旦駅の方へ。
ちょうど、米原行きの電車が発車するところだった。1月3日のこの時間でも、それなりに人が乗っている。駅の手前の道で線路をくぐった後、最初の信号で左折し川へ。
川に到着するも、やはり建物は多いので、東に向かって前進。空が明るくなってきた。これまで何度も夕方に外にいたので分かるが、こうなると一気に空は変わっていく。
その後も見晴らしが良くなることがないまま、大通りに到着。久々の再開となった、国道1号だ。自分も何日もかけて東京から進んできたが、この道もずっと続いてきたのだな。
高い建物は減ってきたものの、まだ日の出が見えるような景色ではない。ここの1号線は南北に走っているので、横断し、さらに東へ。空がオレンジ色になっていく中、日の出を見る場所を求めて進み続けた。
続いてまた大きな通りに到着。「京滋バイパス」というらしい。空が明るくなってきたことに焦りを感じつつも、東へ。
なかなか良い場所が見つからない中、新幹線路の先で広めの場所を発見。すぐ左の道へ入り、その場所へ行ってみるも、入れないようだった。
前方遠くには山が見え、雲は多いが、ちょうど山の上部には隙間があり、光っている。まだ山の下に太陽がありそうな光り方だ。これまで歩いて来た道もこの土地に沿っているようだったので、そちらへ行くことに。
進んでみるも、比較的近い左前方には森。右には階段と、1段高い位置に道。とりあえず上がってみるも、大して変わらなかった。
ここでネットの地図検索を実施。辺りは住宅街、左前方のものは大きな公園のようだ。公園の先には企業の工場があるようなので、突破しても景色は望めそうにない。住宅地に入って行く坂道を発見したので、よりよい場所を求めて進む。
しかし、特にこれといった場所も見つからないまま、7時を過ぎてしまった。さらに、雲が山の方に下りてきてしまい、山の輪郭にそってオレンジに光る線が見えるも、太陽は拝めそうにない。周囲ももう、完全に明るくなってしまった。ここまでか。
この辺り一帯では先ほどの工事現場が良さそうなので、一旦戻る。雲がかかり、もはや太陽がどこあるか分からない状態で、まだオレンジの残る東の空を眺めた。
せっかくなので、1号線からもこれを見ようと思う。雲に隠れているのか山に隠れているのか分からない太陽を背に、西へ。時折り振り返って東の空を見るも、山ぎわはオレンジ色ながらも太陽の姿はない。
まずは京滋バイパス。なぜか地図サイトではここも1号と表示されているが、現場の道路標識でこの先の道が1号だと書いてあるので、横断し、1号線を目指す。
1号線に到着。太陽が昇る前にも来た、「野路町」交差点。まず横断し、1号線も視界に入る状態で東の空を見る。まだ少しだけオレンジ掛かっているが、もうすっかり明るくなってしまった。今回は、巡り合わせが悪かったか。これもまた、旅には付きものだ。
今の景色を写真に収めたが、ど真ん中に信号機があるので南側へ横断。左手にある東の空を見ながら渡っていると、強い光が目に飛び込んできた。
雲の隙間から、太陽が出てきた。
すっかり諦めていたが、まさかここで見ることができるとは。わずかに見える山や、近くにある3階建てほどの建物の少し上であり、日の出と呼べるものではなくなってしまっいるが、ようやく、年が明けて初めて朝日を見た。
日の出を見逃した後に、自分と同じく東京からやって来ている国道1号という場所で見ることができるとは、これもまた1つの巡り合わせである。また少し雲がかかってきたが、カメラで拡大すると太陽の丸い輪郭がくっきりと見えた。
思ったより栄えていて、雲が下りてきたこともあり日の出の瞬間を見逃してしまった南草津。しかしこれはこれで、自分にとっては思い入れのできるものとなった。拡大状態のままカメラを向け続けて、雲の中に消えていく太陽を見送った。
さあ、朝食にして次の駅へと向かおう。
いよいよ、最後の寄り道だ。




