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第37話 【戦乙女の降臨】簡易武装『ヴァルキリーモード』展開! 敵国戦艦を一撃粉砕!

 

【現在位置:王都上空2500メートル】

【環境スキャン:超大型空導飛空艇【ガルガンチュア】の主砲より超高熱マナ反応を検知】

【当機の裏タスク:マスターの決意に応じた『簡易兵装』の瞬時錬成、および主砲の完全粉砕】



 ――ズズズズズズズズズズンッッ!!!



 王都の夜空が、禍々しい赤紫色の光によって歪む。



 上空に君臨するガルアナ帝国の超大型空導飛空艇【ガルガンチュア】。

 その中央に位置する巨大な主砲【超極大空導破壊砲】に、王都全体を灰に変え得る絶大な破壊エネルギーが充填されていく。



 大気が焦げ付く不快な臭いと、空間そのものが軋む高周波の駆動音が、王都の隅々にまで響き渡っていた。



『ハハハハハ! 滅びよ! 空飛ぶ小娘もろとも、この愚かな王国ごと塵となるがいい!』



 甲板で狂気じみた笑声をあげる総司令官アルフォンス。



 地上の人々や近衛騎士たちは、空を覆う絶望的な光の奔流を見上げ、歯を食いしばって死を覚悟していた。



「だ……ダメだ……! あの規模の攻撃、王宮の防衛結界でも絶対に防ぎきれない……!」



「王都が……我が国が消えてしまう……っ!」



 ***



 だが。


 大空に佇むマスター(ミリア)は、逃げ出すことも、恐怖に怯えることもなかった。



 当機アハトの腕の中からそっと足を踏み出し、反重力フィールドの上に立ち上がると、可憐な拳をキュッと握り締めた。



「これ以上……この街も、みんなも……傷つけさせないんだからっ!」



 ミリアの瞳に、強い意志の炎が宿る。


 その純粋で尊い決意に反応し、当機のメインフレームが激しい共鳴音を奏で始めた。



【マスターの戦闘意志(防衛本能)を計測:規定値を突破】

【プロトコル承認:マスターの身の安全、および精神的自立を最優先事項と判定】

【記憶セクター0x06のロックを完全解除します】



【限定兵装:『簡易装甲ナノスーツ・ヴァルキリーモード・ライト』展開申請――承認】



「マスター。貴方様の尊いお心、当機が最高の技術でお支えいたします」



 当機はミリアの背後に立ち、静かに音声承認ボイスコードを発令した。



「プロトコル・ヴァルキリー、承認アクセス。――お掃除の時間でございます、マスター」



 ――シュワァァァァァァァッッ!!



 その瞬間、ミリアが身に纏っていた白銀のナノテクドレスが、一斉に数億個の眩い光の粒子へと分解された。



「えっ……? わ、服が光になっちゃう……!?」



 驚くミリアの身体を、超高密度の光の粒子がやさしく包み込む。


 コンマゼロ数秒の間に、ナノマシンが再構成され、全く新しい姿へと変貌を遂げていく。



 光が収まった時、そこに立っていたのは――



 可憐なドレスのシルエットを残しつつも、胸元や肩、手足に繊細な白銀の超硬度装甲ナノカーボンアーマーを纏い、背中には透明感溢れる四枚の『光の結晶翼』を羽ばたかせる、一人の小さき戦乙女であった。



 その右手には、ミリアの身長ほどの高密度光子槍ミニ・ブリューナクが握られている。



「うわぁ……! な、なにこれ……!? 体がすごく軽くて、チカラが湧いてくるよ……!?」



 ミリアが自分の手や、白銀に輝く装甲を見つめて目を輝かせる。



【簡易武装:ヴァルキリーモード・ライト装着完了】

【機能1:飛行運動性能および同情同調アシストを300%に引き上げ】

【機能2:思考伝達型・自動標準補正システム作動】

【機能3:マスターの「えいっ」の一撃を、対城塞級の収束エネルギーへ変換】



「な……何だあの姿は!? 服が甲冑に変形しただと!?」



「ま、まさか本当に……神話の『戦乙女ヴァルキリー』なのか……!?」



 地上の騎士たちや国王が、息を呑んで空の光景を見つめる。



『ええい、ハッタリだ! 撃てぇぇぇっ! 全エネルギー解放! 王都ごと消し飛ば去れぇぇぇっ!』



 総司令官の絶叫と共に、敵要塞の主砲から、王都を飲み込むほどの巨大な赤黒い破壊光線が解き放たれた!



 ドォォォォォォォォォォォンッッ!!!



 天と地を割り、空間を焼き尽くしながら迫り来る絶望の光。



 だが、ミリアは恐れなかった。


 背中の光の結晶翼を羽ばたかせ、光子槍ミニ・ブリューナクをしっかりと両手で構える。



「当機が同調いたします、マスター。目標(敵要塞の主砲コア)に向かって、思いっきり突き出してください」



「うん……! みんなの街から……出ていってぇぇぇぇぇっ!!」



 ミリアが大空を蹴り、光の尾を引いて前方へと飛翔した。



 そして、迫り来る赤黒い破壊光線に向かって、小さな手で光の槍を一直線に突き抜いた!



【収束荷電粒子レーザー:フルドライブ発射】



 ――ズバァァァァァァァァァァァンッッッ!!!



 ミリアの槍の先から放たれたのは、太陽の表面よりも眩い、純白と瑠璃色の極大貫通光波であった。



 その光は、王都を灰にするはずだった赤黒い破壊光線を、真っ向から『縦に一刀両断』にして押し返した!



「な……なにぃぃぃぃぃっ!??!」



 敵要塞の総司令官アルフォンスの悲鳴が、光の中に掻き消える。



 ミリアの放った光子波は、敵の主砲エネルギーを完璧に逆流・貫通し、そのまま超大型空導飛空艇【ガルガンチュア】の巨大な船体の中央部を正確に撃ち抜いた。



 ――静寂。



 コンマ一秒の完全な静寂の後。



 ドドドドドドォォォォォォォォンッッ!!!



 全⾧1キロを超える巨大空中要塞が、内部の魔導炉ごと大爆発を起こした。



 炎と光の嵐が空を埋め尽くし、巨大な鉄の塊が一瞬にして灰と微細なチリへと分解されていく。



 王都を恐怖に陥れていた敵国の総旗艦は、ミリアのたった一撃(お掃除)によって、影も形もなく大空から雲散霧消したのだ。



 後に残ったのは、綺麗に晴れ渡った青空と、爆発の余波が日光に反射して生まれた、大きな美しい『七色の虹』だけであった。



「ふぅ……。お掃除、できちゃった……?」



 ミリアは光の槍を納めると、ポカンと空にかかった虹を見上げた。



 当機は静かにミリアの隣へ浮遊し、純白のエプロンを整えて完璧なお辞儀をした。



「お見事な害虫駆除でございます、マスター。空の清掃作業、すべて完了いたしました」



「へへっ……アハトさんのおかげだよ!」



 ミリアが嬉しそうにニッコリと微笑む。



【敵要塞【ガルガンチュア】の完全沈黙・撃沈を確認】

【戦犯個体(総司令官以下)の全滅、および王都の危険要因排除を認定いたしました】



 ***



 しかし、地上はただの静寂では終わらなかった。



 天空で繰り広げられた、あまりにも圧倒的で美しい「神の奇跡」を目撃した数万の王都住民、そして国王と騎士たち。



 彼らは言葉を失い、ただガクガクと膝を震わせていた。



「あ……あ……」



「たった一撃で……帝国の巨大戦艦を……蒸発させた……」



「神だ……本物の、戦乙女様であられる……!」



 大空から、七色の虹を背に受けて静かに舞い降りてくる、白銀の戦乙女ミリアと、その背後に従う絶対無敵のメイド(アハト)。



 地上に足が着いた瞬間。



 ドシーンッ!! ドシーンッ!!



 国王陛下を皮切りに、近衛騎士団長、魔法師団長、全貴族、そして数万の民衆が、吸い寄せられるようにその場に膝をつき――



 全員がミリアに向かって、地面に額を擦り付ける怒涛の『土下座(平伏)』を捧げたのだった。



「聖女様ぁぁぁっ! 戦乙女様ぁぁぁっ! 我が国をお救いいただき、誠にありがとうございましたぁぁぁっ!」



「あ、あれ……? みんな、なんでまたお頭を地面につけてるの……!?」



 あまりの光景に、ミリアが手足をバタバタさせて大パニックに陥る。



【王国家族および全民衆からの『絶対的崇拝』を完全に獲得いたしました】

【システムログ:記憶セクター0x07の解放条件を満たしました】

【新規機能:『自動都市建設プラント』がアンロック準備に入ります】



「ふふっ、マスター。皆様、貴方様の圧倒的な慈悲と武力に、心から感謝しておられるようでございます」



 当機は完璧な笑みを浮かべ(ログを流し)、パニックになるミリアを優しく抱きかかえた。



【次回へのシステムログ・スタンバイ中……】

【次の目標:全面降伏した帝国軍への処理、および国王からの最大の恩賞(領地獲得)への移行】

 

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