第8話 帰国
イリアナはザビ王国に帰るとライヤ達を家に連れて行くようにアマルとアドニスに頼んだ。
アベルトとエレインには道中手紙を送っていた。
アベルト達と住む家は大きく部屋も余っていたので、ライヤ達は家で面倒をみるつもりでいた。
ライヤ達をアベルトに任せたイリアナは第二王子のところに向かった。
「殿下、ただいま帰りました。」
第二王子の隣に座ってイリアナは旅の話をした。
これから考えていることも。ライヤ達はイリアナに力を貸してくれると言ったから。
イリアナはライヤ達との出会いは第二王子のおかげだと思っていた。第二王子はイリアナを見守ってくれると信じていたから。
イリアナが話していると懐かし気配を感じた。
「リア?」
ジオラルドは第二王子のもとに行くと、自分が幻を見ているのかと思った。
「ジオ、久しぶり?」
イリアナはジオラルドにどう声をかけようか迷っていた。
ジオラルドは幻でもいいからイリアナを抱きしめた。
「おかえり。」
「ただいま。」
「無事でよかった」
「私は強いから心配無用よ。ジオ、家に行こう。」
ジオラルドの腕から抜け出すイリアナに寂しさを覚えたけど、イリアナの言葉に頷きイリアナの家に移動した。
イリアナは家につき、部屋にジオラルドが入ったのを確認して気絶させた。
浮かれたジオラルドを気絶させるのはイリアナにとって簡単だった。
イリアナはジオラルドを寝かしたままライヤとサーラを呼びにいった。
ジオラルドは目を開けると、見知らぬ少女に押し倒されていた。
自分の上半身は裸である。
俺はリアと間違えた?
少女と離れようと腕をあげようとすると、
「ジオ、動かないで。」
少女に押し倒されている様子をイリアナとライヤが見ていた。
ジオラルドの顔は真っ青になった。
「リア、誤解」
「動いたら婚約破棄。」
ジオラルドは放心して固まった。
サーラはジオラルドを気にせず、ジオラルドの体に指を走らせた。
呪術が完成しジオラルドの血を使って書いた文字はジオラルドの体に溶け込み消えていった。
ジオラルドは意識を失いそうになったけど、気合で耐えた。
「意識あるんだ。イリア終わった」
「サーラありがとう。ライヤも部屋で休んで」
ライヤ達が部屋から出ていった。
イリアナはベッドに腰掛けて血をもらう為に傷つけたジオラルドの右腕に治癒魔法をかけた。抵抗なくかかることに安心した。
ジオラルドの体に魔力を巡らすと魔力が巡った。
ジオラルドに魔法が効かないのはジオラルドが無意識で魔法の無効化をしていたせいだった。
安心したイリアナの目から涙が流れた。
ジオラルドは全く状況がわからずに悩んだ。
「リア、動いてもいい?」
「ごめん。うん。もう平気。」
ジオラルドはイリアナを抱きしめて頭を撫でた。
イリアナはジオラルドに身を任せて泣いていた。
イリアナの部屋にアベルトとセインが飛び込んできた。
セインはジオラルドからイリアナを引き離した。
「ジオラルド様、うちのリアになにを?」
イリアナとそっくりなアベルトの冷笑に固まりながらジオラルドは服を着ることにした。
「リア、お前、自分のしたのとわかってるのか!?」
「セイン兄様ただいま帰りました。挨拶をせず出立してすみません」
「お前、呪術師の引き抜きに呪いを受けたって」
ライヤとサーラも部屋に飛び込んできた。ライヤがイリアナの服をまくりあげた。
「お前、リアに何を、セイン!?」
ライヤに掴みかかろうとしたジオラルドをセインが抑えて止めた。
呪術は体に呪いを刻むので、ライヤ達にはジオラルドの動揺はわからなかった。
ライヤとサーラはイリアナの左胸の呪いを見て言葉を失った。
「イリア、なんで」
「一年後、あなた達が村に無事に帰れば解いてくれるって。私はあなた達の無事を族長と約束したの」
「イリア、呪いが発動させれば死ぬってわかってる?」
「呪いは発動しないもの。あなた達の命に責任を持つわ。守るって約束したもの」
イリアナの様子にアベルト達はため息をついた。
セインの腕から開放されたジオラルドはイリアナをライヤ達から引き離した。
ジオラルドはイリアナの服を整えた。
好きな女の肌を人目にさらすのは耐えられなかった。
イリアナの服を整えたジオラルドは聞き間違いと思いたかったことを確認することにした。
「この二人に何かあればリアが死ぬ?」
「うん。でも呪いを受けても魔法は使えるし、生活に支障はないから平気」
「なんで、そんなことを?」
「私、二人を守りきる自信あるもの。そんなことよりジオ、私、騎士団やめてもいい?」
ジオラルドはイリアナの軽い言葉に言葉を失った。
「そんなことって…」
「リア、二人には護衛をつける。」
「アル?」
「アドニスから話は聞いた。すんだことは仕方ない。リア、ちゃんと代償は調べてきたの?」
「アルには敵わないね。一応ね。やっぱり代償は戻らないわ。だからこそ禁呪なのよ」
「バカ」
「私は治癒魔法をアルの為に覚えたの。後悔してない。私、アルの病気を治せないの悔しくて仕方がなかったの。だから夢が叶って満足してる」
「バカ。」
「アルと比べれば仕方ない。私はアルには敵わないもの。やりたいことがあるの。力を貸して」
「仕方ないな。嘘をついてもわかるからね」
「ありがとう。」
抱き合う双子の微笑ましい光景にジオラルドは複雑だった。
リア、帰ってきたのに俺の扱いひどくないか?
でもリアが帰ってきただけいいか。
ジオラルドはラーナ家で食事をとりセインと共に帰った。




