第七話後編 旅
イリアナ達は観光と魔法を調べながらザビ王国を目指していると行き倒れの青年を見つけた。
イリアナが治癒魔法をかけると青年の腕が光った。
突然の光に驚いていると目を開けた青年はイリアナに掴みかかった。
「魔道士!?」
驚いていたイリアナは反射で頷いた。
アドニスが側にいれば安心なので、ライヤ達の勧誘に成功したイリアナは気が抜けていた。
「ほしい!!」
アマルが青年を引き離した。
アマルにはイリアナが男に迫られてるように見えていた。
アドニスは逞しくなったアマルに満足そうに頷いていた。
アマルは青年とイリアナの間に入った。
「イリアに近づかないで」
「アマル、きっと事情があるのよ。殺気がなかったし危険はないわ。」
「私は魔道士を探していたんです。今まで一緒にいた魔道士には捨てられました」
アドニスはイリアナが厄介な人物を引き寄せることをよく知っていた。
必死な男に呆気にとられたイリアナは話を聞くことにした。
ロートは発明家だった。
魔道具の発明を手がけていた。ロートは魔力がなかったので、魔道士に協力をしてもらっていた。
ある朝、目覚めと魔道士と魔道具が消えていた。
ロートは寝食を忘れて新しい魔道士を探しているうちにいき倒れてしまった。
ロートは発明だけをしていたい人間だった。
「魔力を提供したら、私の欲しいもの作ってくれる?」
「もちろん!!」
「あなたの発明品をたくさんほしいと言ったら?」
「私は新しいものを発明したいので、設計図を譲ります」
イリアナは固まった。
発明家は隠したがる。設計図を他人に譲るなんてありえない。
この人ある意味バカかもしれない。でも嫌いじゃないタイプのバカな人。
もし優れた発明家ならお抱えにするのもありかな・・。アルが喜びそう。
「それで商売してもいい?」
「魔力を提供してくれるなら、できたものは好きにしてください」
「私、この国の人間じゃないけど」
「やっと出会った魔道士です。どこまでもついてきます」
「イリア、これ大丈夫?」
「アマル、私はこんな男に負けないわ」
「俺がしっかりしてれば大丈夫かな。」
アマルはロートが危ない人物に見えていた。
長期任務から帰り表情が豊かになったら、余計に危なっかしくなったイリアナにアマルの心配はたえなかった。
「魔力をください。作りたいものがあるんです」
「先に私の欲しい物を作るのが条件よ。できる?」
「私に作れない物はありません」
「イリアナ様、帰国してからにしましょう。ここで時間をとられるわけにはいきません。」
「私の頭には設計図が描かれている。これで作れる」
「本当にこれを連れて帰るんですか・・」
「発明家なんてアルが喜ぶわ。あの子、最近暇なのか商売にも目を向けてるから。アルが不要ならうちの隊長に預けるわ。あの人も魔道具の研究をしてるから。」
「わかりました。怒られてもしりませんよ」
「きっと勝手に旅立ったことで怒られるわ。ロートを献上して機嫌がとれたらいいんだけど・・。」
「仕方がないから兄上は俺が引き受けますよ。アベルト様のお説教は諦めてください」
アドニスの言葉にイリアナはため息をつくしかできなかった。
きっと怒られるなら考えても仕方ないわ。
イリアナはもう少しゆっくりしたかったけど、ロートに急かされて帰国を急いだ。
イリアナはレオナルドと期限が切れる前日にザビ王国に辿り着いた。
もう少し旅を楽しみたかったが約束があるから仕方ない。
イリアナは旅の最中にレオナルドが姿を表さないことが不思議だった。
ザビ王国の国境にレオナルドが現れた。
「おかえり」
「レオ様、ただいま戻りました」
イリアナはレオナルドの前に跪いた。
タイミングよく現れたレオナルドを見て、陰で見られていたことに気づいた。
「それはお土産?」
レオナルドがライヤ達に視線を向けた。イリアナは笑顔で流すことにした。
3人をレオ様の臣下という名の駒に差し出す気はなかった。
「友人です。きっとレオ様は気に入ると思いますよ」
「報告は明日聞くよ。成果はあった?」
「はい。明日報告書をお渡しします。レオ様に満足いただけると思います」
「イリアナの探したい物は見つかった?」
代償を取り戻す方法は見つからなかった。
ライヤ達がどこまで協力してくれるかもわからなかった。
「わかりません。でもお時間をいただけたことは感謝しております」
「その三人はラーナ家預かりでいいの?」
「手続きしてくださるんですか?」
「私は臣下に優しいからね。笑わせてくれるイリアナがいなかったから寂しかったよ」
イリアナは曖昧に笑みを浮かべるしかなかった。
三人の受け入れ許可をレオナルドにもらいラーナ家を目指すことにした。
「アド、みんなをラーナ家まで送ってくれる?」
「イリアナ様?」
「先によりたい場所があるの」
「わかりました。今日はちゃんと帰ってきますか?」
「挨拶するだけよ。」
「わかりました」
ラーナ家に近づいたのでアドニスに護衛を任せて、イリアナは別行動した。
イリアナがこの国に帰って一番に会いたい相手は決まっていた。




