007
昨日二話投稿は今日までだと言ったな。あれは嘘だ。
冗談ですごめんなさい。明日から一話投稿になります((。・ω・)。_ _))ペコリ
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「ジン、楽しみだね。迷宮都市」
「あぁ、だがその前に近隣の街でCランクまで上げよう。俺とフィーネが組めば一瞬の筈だ。フィーネにもそのくらいの実力はある。迷宮都市だと依頼の取り合いになってランクアップが遅くなるかも知れないし、上位探索者に絡まれた時に対応できない。最低限の装備は揃えてから行くべきだ」
「そうですね。マスターもフィーネさんも装備が貧弱すぎます。これではオークはともかくオーガも危ないでしょう」
ジンとフィーネ、そしてアイリスは村人に見送られながらコマイ村を出た。
フィーネとアイリスはいつの間にか仲良くなっていてアイリスはジンに対してよりもフィーネに対する方が気安く話している。
「も~、アイリスちゃん本当可愛い。っていうか妖精って本当にいるんだね。御伽話の中の存在だと思ってた。でもね、絶対アイリスちゃん狙われるよ。金持ちとか貴族とかに」
「それは大丈夫ですよ、フィーネさん。なぜならアイリスは透明になれる能力があるのです!」
「えぇっ? 凄い。そんな凄い能力が!」
チカチカと透明になったり姿を現せるアイリス。そんな権能を持っているとはジンすら知らなかった。
アイリスは思っていた以上に有能なのだとジンは実感した。と、言うか何ができるか全部聞き出さねばとジンは決意した。今後の行動に影響してくるからだ。
アイリスがアイテムボックスを持っているのでハーラルが過保護にフィーネに渡したアイテム類も全てアイリスのアイテムボックスに入っている。当然ジンの持ち物もだ。
これも当然フィーネがびっくりしていた。仰天していたと言っても良い。
「っていうかアイテムボックスとか伝説の存在だよ。もちろん魔法の鞄はあるけれどね。すっっっごい高いらしいよ。あとコネがないと絶対買えないんだって。お金積めば買える物じゃないんだ~。お兄ちゃんが言ってた。でも上級冒険者になればお金さえ積めば買えるらしいよ。特に迷宮都市はその制限が緩いんだって。だからお兄ちゃんは迷宮都市に行ってるんだ。そこで稼いで、村の為に仕送りしてくれているんだよ」
「へ~、凄いね。いいお兄さんだ」
「えへへ、自慢のお兄ちゃんだよ~。村もお兄ちゃんの仕送りでなんとかなってると言っても過言じゃないんだよ~」
フィーネがブラコンはのはこのセリフだけでわかる。聞いてみると兄が訓練する姿を見て憧れて剣士の道へ進んだらしい。親の制止を振り切って。フィーネも大概お転婆だなとジンはくすりと笑った。
そして小さな村なのにあれほど鉄の武器が揃っていたのかと疑問に思っていたがフィーネの言葉を聞いてジンは納得する。
鉄は高いのだ。もちろん布も高い。食料と比べると鉄や布は割高だ。それはゲーム世界でもそうだったからそうだと思う。ポーションはアホみたいに高い。
と、言うかこの世界は人件費と言う概念がない。人件費なしで、素材とアイテムの値段だけで値付けしている感じだ。
コマイ村でも幾つか買い物をしたが、明らかに安かった。小麦など作るのは大変だろうに、人件費を入れていないだろうと突っ込んでしまいそうになったくらいだ。
「あとちょっとだよ」
「話していると結構すぐに着くな。半日くらい掛かったけどそんな感覚はなかった。フィーネと俺は相性がいいのかな」
「えっ? そ……、そうかもね。そうだといいな……」
最後の方はうまく聞き取れなかったが、フィーネの顔が赤い。
もしかして惚れられたのだろうか。それだとあまりにチョロい。ジンはその可能性を排除した。
「マスター、鈍すぎます」
「うるさい」
ジンとフィーネ、そして姿を消したアイリスは街の門に着いた。そこには門番が二人いて槍を構えている。
(懐かしいな)
アビスゲート・オンラインでもそうだった。ヤナイの街。最初の街とも呼ばれる城塞都市。
しっかりとした城壁があり、櫓も各角に立っている。そこには弓を持った兵士が見張っている。
「来るまでにホーンラビットを数体狩れたのは良かったな。これで一日くらい泊まれるだろう」
「そうね、それにしてもジンは本当に凄いわね。動きが見えなかったわ」
「このくらいきちんと訓練すればできる。フィーネもいつかできるよ。多分三年くらい掛かるけれどね」
門には結構な人数が並んでいる。意外なことにきちんと並んでいて横入りなどはないようだ。
「乱暴な奴らが横入りとかすると思ったんだけれどな」
「そんなことしたら出禁になるわよ。兵士はしっかり見てるんだから」
「それもそうか。あっちが貴族や商人の入口か。いつか商売もしてみたいな」
フィーネは不思議な表情をしてジンを見た。
「なにか売れる物があるの?」
「ポーションが作れる」
「えっ!? ジンは薬師なの」
「いや、薬師の資格は持っていないが作り方は知っている。多分作れると思う。ジョブに就かなければうまくできない可能性もあるけれどな」
フィーネは更に驚いた。
ジンの見た目はフィーネより少し年がいっているくらいだ。それなのに薬師の秘伝とも言えるポーションを作れると言う。普通は薬師に弟子入りし、丁稚奉公し、何年も掛けて師匠の技を盗むのだ。
そして薬師の試験を受けてようやくポーションが作れるようになる。
(この人本当に何者なのかしら)
フィーネはジンの生い立ちを考えたが全く理解できなかった。
あの剣技。それだけで一廉の人物と言える。それなのにポーションも作れ、アイリスと言う希少な妖精も使役している。
有り得ない。
そう思ったが現実に眼の前に居るのだ。
(凄い。こんな人が居るんだ。お兄ちゃんも凄かったけど比べ物にならないわ)
フィーネの兄は剣技は天才的だったがジンには敵わない。教養はなんとかと言うところだ。それでも冒険者としてきちんとやれている。
だがジンは違う。ポーションも作れ、もしかしたら魔法も使えるかも知れない。何でもできる。そう思わせる。
それに自信だ。ジンは自分の能力を過小評価も過大評価もしていないように見える。それでいて尊大でもなく、卑屈でもない。
(こんな人初めて見た。村にどころじゃないわ、おそらく街にも居ない。それでいて迷宮都市に向かわないと言う慎重さもある。何者なの?)
そう思ったがフィーネはジンにそれを尋ねられなかった。尋ねられる雰囲気ではなかったのだ。
いつか聞いてみたい。でもそれは今ではない。ジンの信頼を得、いつか話してくれることを祈るのみだ。
「村人か?」
「あぁ、コマイ村から来た。冒険者になりたい」
「わかった。銀貨二枚だ」
ハーラルからコマイ村の者であると言う証明書を二枚発行して貰っている。これはジンが根無し草でジンの居た村の証明書を持っていないと聞いてお礼に書いた物だ。これがないと街には入れない。
ジンは銀貨を三枚払った。兵士はニヤリと笑った。
「わかってるじゃないか。お前は大成するぞ。行ってよし」
兵士は嬉しそうに銀貨を一枚懐にしまった。
フィーネは賄賂を送ると言うことをすっかり忘れていた。ハーラルに絶対に多めに払えを言われていたのにジンとの会話が楽しすぎて忘れていたのだ。
だがジンは覚えていた。しっかりと銀貨を一枚多く払っていた。
「どこかいい宿はあるか。女一人でも泊まれる宿で飯が美味い所がいい」
「それなら陸の鯨亭がおすすめだ。真っすぐ勧めば冒険者ギルドがある。そして冒険者ギルドから先に進んで二つ先の路地を右に曲がればある。鯨のマークが書いてあるからわかるだろう」
「感謝する」
そう行ってジンはもう一枚銀貨をピンと弾いた。
兵士は笑ってすぐさまジンとフィーネを通してくれた。
「やっと着いたな。落ち着けるように先に宿を取ろう。それから冒険者ギルドだがそれは明日でいいと思う。今日は休もう」
「えぇ、わかったわ」
フィーネはそうジンに答え、ジンの如才のなさに舌を巻くのであった。




