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青春の楽園  作者: 朝日影
皐月晴れ

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第7話 球技大会〜ドッチボール編〜

 望月家の一件から暫く。

本日…以前から俺を苦しめて来た例の球技大会が来 や が っ た。


〜校門前〜


「――行きたく無いで御座る」


 はい。

いっ君さんは現在、死んだ目をして震えながら立っております。

 来たくは無いけど、出席しないと行けないんでどうしようも無かったんだ。


「……諦めてもらってどうぞ」

「慈悲はねぇのかよ!?」

「素直に諦めた方が良いと思うよ?」


 と、朔夜と廣仁に両手を掴まれ、俺は校舎に入って行く。

 ――まだ死にたくなぁぁぁい!!


 しかし、俺は二人に引きづられながら中に入って行く頃には俺は全てを諦め、球技大会に出場する為に体育着に着替える事にした。

 

「……せめて避けられるようにはしよう」

「哀愁が漂ってて草」

「お前は良いよな、運動能力があってよぉ!?」


 俺は隣にいた彰人に肩を掴んでぐわんぐわん揺らしながら言った。

クソッ!これだから能力がある奴等は良いよな!?

 俺なんてボール投げる以前に色々終わってる人間なんだゾ!?


「うぅ…吐きそう…」

「そもそもいっ君さんは球技大会に参加したく無かったんだゾ」

「……樹、そろそろやめて差し上げろ」

「うぅぇぇぇ…」チーン


 朔夜の注意で意識を取り戻す俺。いつの間にか熱くなってしまっていたようだ。

てか、激しく揺らし過ぎて彰人がダウンしてしまった。やべ…

……あ!因みに言っておくが、俺は悪くねぇからな!!




※ ※ ※ ※ ※




 さて、とうとう来てしまった球技大会(スポーツフェスタ)のお時間です。

 この球技大会では全学年が参加する行事で、ドッチボールやバレー等で毎年かなり盛り上がるイベントの一つらしい。

 俺が参加するドッチボールでは午前中に予選を行い、午後に勝ち上がったクラスがトーナメント式で優勝を決めるルールになっている。


「ボク、球技系は苦手だけど…精一杯頑張って見るよ!」

「嗚呼、癒される…後は球技じゃ無ければ最高だったんだけど」

「……どんだけ球技系に恐怖を持っているんだお前は」


 俺・朔夜・廣仁はクラスの一角で集まっていた。

片やドッチボールにやる気を見せる廣仁、片や死んだ魚のような目をしてグラウンドを眺めている俺氏。

 本当は痛い目に遭いたくは無いが、可愛い廣仁がやる気を見せているので少しは頑張って見る事にしてみた。


「…けどまあ、可愛い廣仁がやる子を出してるんだし?俺だって良い所を見せて褒められたいから?やってやんよ!」

「……本音駄々もねですよ樹さん」


 ――はっ!?思わず本音が漏れてしまった!?

けどやるからには廣仁に良い所を見せ付けてやらぁ!!


 こうして球技大会(スポーツフェスタ)は始まろうとしていた。




※ ※ ※ ※ ※




 さあさあ、まずは我等が1年C組の出番であります。

対する対戦クラスは――


「げっ…まさか最初からC組と当たるなんてな…」

「そう言う君達は…1年E組で合ってるな?」

「あー…そうだな。俺達は1年E組の後半クラスだ。そんで俺はリーダーを務める善積恭將(よしずみきょうすけ)ってもんだ。一応宜しく頼みますわ」


 そう言って1年E組の善積恭將(よしずみきょうすけ)は手を差し出して来た。

 対する俺達も手を差し出して挨拶をしたが、ふと思った。


 1年E組って問題児ばかりが集まってると思ったが、意外と話が通じる奴も居るもんだなと思った。

 やっぱり決めつけてばっかりなのも良く無いな。


 ――さて。

10対10の勝負で上手く連携して行かないとな。


「これより1年C組VS1年E組の試合を開始します」

「「「「宜しくお願いします」」」」


 両チームはコートの中に入ってばらける。

一応、1年C組の前半クラスのリーダーの指揮に従いつつも独自で頑張らないとな…但し、動けるとは言っていない()


「試合開始っ!!」


 ピィッと言う笛の合図と共に試合が開始し、最初のボールは此方となったので、勢い良く身長の高いクラスメイトが投擲した。

 辛うじて当たりはしなかったが、相手チームを混乱させる事には成功したので、リーダー君が指示を出した。


「外野と内野で上手く連携して相手チームを崩すぞ!」

「「「応っ!!」」」


 ボールが外野から内野にパスされる際、相手チームの肩に接触した事で数を減らす事に成功し、相手ボールになる。


「動きが鈍い奴から攻めて行けっ!!強い奴は外野に行かれると面倒になるっ!!」

「「「了解っ!!」」」


 そう言って1年E組は動きが鈍いと認識された人物――何故か俺にボールを投擲して来た。

 ――ふぁ!?


「あでしっ!?」

「「「樹ぃぃぃ!?」」」


  ――ボールは俺の顔面を当て、俺は痛みで倒れてしまった。


 ……ドッチボールのルール上、顔面や頭部はセーフである。

と言うか普通は偶然とは言え、故意的に当てるのは禁止である。

当ててしまった場合、此方のボールになってしまうからね。


「うぅ…痛い目にあった…」

「……ドンマイ。アウトにならなかっただけマシだろ」

「……うん」


 ボールは俺の足元にあり、俺が投げる事になったのだが――


 ――ぴゅーん…


 俺の握力が弱過ぎて前方に少し行った所で転がってしまった。

 えぇ……俺って弱過ぎね?(困惑)


 両チームともに俺の弱過ぎるボールに呆然となってしまい、そのまま善積恭將が手に取り、笛の合図と共に相手ボールになる。

 そのまま善積恭將は勢い良く朔夜の方向に目掛けて投擲した。


「っ!?危ねぇ!?」

「チッ…不意の一撃なら当たるかと思ったんだがな…?」


 ボールはそのまま相手の外野に渡された。

相手チームは外野と内野で上手く連携して此方の廣仁にボールが当たるように執拗に投擲を繰り返す。


「うわっ!?」

「廣仁っ!!」


 廣仁が回避するのに精一杯で、ふとした時に転倒してしまった。

相手チームはそこを逃さず、ボールを廣仁に投擲したのだが…


 咄嗟に俺が盾になり、ボールは俺の頭にぶつかって転がった。


「痛ってぇ…けど廣仁を守れたからヨシ!」

「ええっと…助けてくれて有難う…だけど本当に大丈夫?」

「だ、だだだだだだ大丈夫だ問題無い」

「……大問題しかねぇんだけど」


 朔夜はそう突っ込みながらも、ボールを回収すると笛の合図と共に凄まじい速さで投擲し、相手チームの二人をダブルキルした。

 ――わお、朔夜って実は凄い能力の持ち主だったんだ…


 この時点で外野を除くと9対6と言った所か。


 味方チームと相手チームがせめぎ合って、攻めては守りに入る。相手のボームで味方が落ちては、その逆に攻めで相手を落とす。

 そうして試合時間は残り1分を切って5対3となっていた。


「ぐぬぬ…少ししか落とせないとは流石に格上には敵わないか…」

「逆にいっ君さんからしたらほぼ互角なんだから凄いとしか思わない件について」

「ほう?いっ君さんと言ったか…格上のクラスにも関わらず、俺を褒めるとは…気分が良いからお前は最後に取ってやらぁ!!」


 そう言いつつ、善積恭將はボールを1年C組のリーダー君に目掛けて投擲し、ボールを拾い損ねたリーダー君がダウンしてしまう。


「なっ!?」

「よっしゃ!!このままのペースで引き分けに持って行く!!」


 残り30秒で熱が入った善積恭將は覚醒し、残った俺達を狙おうとしていた。

 

「ぐっ…僕が落ちたのは不味い…君達、時間まで避けてくれ!」


 リーダー君がそう言うが、俺達は緊張してそれどころでは無かった。


 ――避けるか、攻めるか。


 気が弱い俺や廣仁はただひたすらに避ける方に専念し、逆に運動能力があるが慎重になっている朔夜は相手を警戒していた。

 そして…ボールが投擲されたが、そのボールはこれまでと段違いで凄まじいスピードで攻めて来た。

 

 まるでそのボールは目の前にある障害を破壊するが如く、強い風を纏っているかに錯覚させた。


 流石にこれを回収できるとは思わず、俺達は一斉にボールを避ける事で精一杯となり、微かに俺の耳を掠ってボールは飛んで行った。


「うおおおおおお!?耳を掠ったって!?やっばぁい!?」


 そうしてボールが返って来る頃になって試合時間が0秒となる。

試合が終了し、俺達は生存した人数を数えられる為、体育座りになって先生の確認作業が終了するまで待機する。

 そうして――


「ええ、4対3で1年C組の勝利とする!」


 外野から勝利の雄叫びが聞こえ、俺達は漸く勝利したのだと実感して少し力が抜ける感覚がした。

 両チームはコートの中央に集合し、


「「「有り難う御座いました!!」」」


 互いにスポーツマンシップに則って手を握り合ってから別れた。

別れ際、善積恭將から声を掛けられ…


「いっ君さんだったか?お互いに良い試合が出来て光栄だった」

「おう。お前さんの最後のボールが凄かったのが印象に残ったゾ」

「ハハハ!!褒めてくれる奴なんて高校ではお前が初だわ!気に入ったわ!運動音痴のようだが、この後の試合も頑張れよ!」

「はは…最初の試合でもう疲れて帰りたい()」


 善積恭將との試合で疲れたんで、もう帰っても良いっすか?

……え?駄目なの?許してヒヤシンス。

読んで頂き、有難う御座います。

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