第四話
ワイズと、ぶち抜いた壁の穴を進んでいく。
遠くの土煙の奥から詠唱が聞こえる。
土煙の奥から影が見える。
たった数十分があまりにも長く感じた。ただ、二人が生きていてよかった。
二人が見える。こちらを向いて攻撃態勢をとっている。
「おいおい、仲間にそんな攻撃しなくていいだろ」
「カイルド!」
俺は飛んできた闇の弾丸を消しながら歩み寄る。
「悪いな、遅くなった」
「二人とも、大丈夫か?」
ワイズも言葉をかける。
「あぁ、余裕だぜ!」
随分と元気な声で返すロイドだが、その体にはいくらかの傷が見かけられ、剣は刃折れだった。
「いや大丈夫じゃないだろ、それ。しかし、何があったんだ?」
俺が原因について問いかけると、グラネルは答える。
「それがね、巨黒石竜子に遭遇して戦いになって、ロイドがいなかったら危なかったわ」
「で、どっちが倒したんだ?そいつは」
「それは私」
まぁ、だろうな。巨大な魔力が放出された感じだったし。
「しかし、まぁ、何はともあれ無事でよかった」
「おう!てか、カイルドたちを大丈夫だったか?」
ロイドは自分たちも相当な危険にあったというのに俺たち二人の心配をする。
ホントにいいやつだよ。
「あぁ、こっちは大丈夫だった。魔獣にも一匹たりとも遭遇してないんだ」
「マジ!?」
「それ、本当?」
ワイズが答えると、グラネルとロイドは驚きを隠せないようだ。
確かに、潜ってから30分余り。それなのに一匹たりとも遭遇しないのはあまりにも不自然すぎる。
「このダンジョン、普通じゃないぞ」
「あぁ、気を付けて行こう」
俺が告げると、気を引き締めた表情でロイドがうなずく。
俺たちはさらに深くへと歩き出した。
◇◇◇
バギッ バゴッ
タンク役のワイズが敵を粉砕していく。さすがは、ギルド最強のパワー型。
だけどな、
「おい、俺たちの仕事は?」
「大丈夫だ、この程度の雑魚なら殴れば消し飛ぶ」
いや、雑魚って言っても一応C級とかだぞ、それ。
「しかし、結構魔獣の数も増えてきたわね」
グラネルがふとつぶやく。
確かにそうだな。かなり増えてきてる。目の前にも20匹以上いるし。
「こりゃ異常だぞ。このダンジョンやはり何かあるんじゃないか?」
「もしかしたら、あれじゃないか?」
ロイドが満面の笑みでこっちを向く。
「あれとは?」
俺が聞き返すとロイドは自慢げに答える。
「もう忘れたのかい、カイルド君。昨日話したじゃないか。最近ダンジョンで多発しているランクアップだよ。」
なるほど。一理あるな。
「だが、だとすると危険じゃないか?」
ワイズは敵をつぶしながら、話に入ってくる。
猛者だ。
「ん?どういうことだ?」
ロイドは理解できていないようだ。
「あのなぁ、このダンジョンはS級だろ。それがランクアップとなるとS+とかだろ。
そうなると俺たちだけじゃ危ないよなってことだろ」
「そういうことだ」
俺が解説するとワイズはうなずく。
「そうねぇ、確かにそうなると4人だけじゃまずい気はするわね」
グラネルも同調する。
「いや、俺たちならいけるっしょ」
ロイドだけは違うようだ。
もともとこういうやつなんだよ。仕方ない。
「まぁ、わかった。先に進むか」
「まぁ、ロイドがいる以上、仕方のないことね」
グラネルも同意する。
「ん、ちょっと待て」
俺たちが進もうとするとワイズがそれを手で制する。
「どうした、ワイズ」
「なにかいる。恐ろしい圧を感じる」
なんかやべーのがいるらしい。
「近づいてくる。相当強い」
「えぇ、そうみたいね」
グラネルも感知したようだ。
「この魔力は...金剛の騎士!」
金剛の騎士か。S級だな。巨黒石竜子を優に超える硬さに加え、超速の動きと剣技。そして何より、空洞の鎧の中で核が自由自在に動き回る厄介さ。
近接系最強とまで言われるレベルの化け物だ。
「おい、カイルド。こいつどうする?」
ワイズが尋ねる。
「まぁ、そうだな。やるしかねぇだろ!」
「当たり前だ!」
ロイドが元気よく言う。
「やるしかないのなら、やるわ」
グラネルも本気だ。
「俺も承知だ」
ワイズもやる気満々。
「よぉし。やるぞ、金剛の騎士討伐!」
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