買い出し
ほのぼのしてます。あの人、再登場です。
さて、皆が居ないと静かだな。俺は、静かなギルドで昔を思い出す。一人になった、ハピクロ時代を。あいつらは、帰って来るよな?俺を、一人にしないよな?不安になる……。でも、信じてる……。
「ご主人は、一人じゃない二ャ。絶対、吾輩がいるの二ャ。そんな、悲しい表情をしちゃ駄目二ャ。」
「クロは、可愛いなぁ。」
ワシャワシャッと、少し乱暴に頭を撫でる。
「うにゃーあ!」
「こんにちは、隼人と黒猫さん。」
忍は、笑顔で入って来る。
「吾輩は、黒猫じゃないの二ャ!クロなの二ャ!」
「師匠、こんにちは。今日は、早いログインですけどどうしました?いつもは、もう少し遅いのに。」
クロは、右前足を上げて後ろ足で器用に立ち招き猫みたいになる。隼人は、首を傾げてキョトンとしてからクロをのずれたリボンをなおしてから立ち上がる。そして、ポーションやアイテムのリストを手に取り見てから考える仕草をする。
「少しだけ、隼人が心配だったので。それと、隼人は敬語禁止でしょ?それと、師匠と呼ぶのも禁止します。私は、貴方に負けたんですから。」
「俺にとって、師匠は師匠でしかねぇよ?」
リストから、視線を外して優しく笑う。
「そうですか。なら、勝手にどうぞ。」
忍は、困ったように笑って椅子に座る。
「クロ、ハイポーションの在庫は?」
「260本だ二ャ!」
「少ないな……。よし、買いたすか。」
隼人は、メモに羽ペンで書き込みリストに視線を戻す。クロは、羽ペンの羽がちょこまか動くのが気になるのか目で追っている。
隼人は、横目で見ながら思わず笑いだす。そして、リストとメモを机の端に置いてから羽ペンを猫じゃらしのように使って遊びだす。
勿論、ノリノリで羽ペンの羽に猫パンチをくり出すクロ。忍は、それをのんびり見ている。
「クロに、猫じゃらしを買おう。うん。」
隼人は、そう言うとリストに猫じゃらしと書く。それから、10分くらい消耗品の確認と買い物の確認をしてハッとして忍に紅茶をだす。
ちなみに、隼人が確認をしている間は忍がはたきを使ってクロと遊んでた。うん、癒されるな。
隼人は、紅茶を飲み干してからクロを見る。
「今から、買い物に行くけど……(行く二ャ!)……分かった。師匠は、どうすんの?」
「そうですね。良ければ、ご一緒しても?」
「うん、良いよ。クロ、鞄取って。」
すると、クロは四本足でタッタッタッと鞄の前に走り鞄に近づく。前足で、器用に持ち手つかみ後ろ足で立つと勢いよく隼人に投げる。
隼人は、右手で持ち手をつかみ忍を見る。
「さて、買い出しに行きますか。」
街はいつもの事ながら、賑やかで道行く人達はほとんど皆が笑顔である。俺達は、射手座のマークのお店に入る。すると、姉御はだのお姉さんがこちらを見る。そして、いきなりのクイズ……
「ケイローンとは?」
「ギリシャ神話に、出てくる半人半馬のケンタウロス属の賢者の事だよな?だから、ケイローンは知恵の象徴だし。それで、話を聞いてくれ。」
「まだだ。では、何故このクランは戦闘クランでも無いのに射手座のマークだろうか。答えてみな。」
隼人は、面倒になったのか早口で言う。
「ケイローンは、洞窟で薬草を栽培しながら病人を助けて暮らしていた。だがしかし、ヘラクレスとケンタウロスたちとの争いに巻き込まれヘラクレスの放った毒矢がうっかりケイローンの膝に命中してしまう。不死身のケイローンは、苦しみと痛みから逃れるためにゼウスに頼み込んで不死身の能力をプロメテウスに譲った後に死を選んだ。その死を惜しんだゼウスは、ケイローンの姿を星にかたどり射手座にしたらしい。この話から、このクランは射手座のマークをクランのマークとしている。何せ商業クランで、最も質が良く多くの薬品のバリエーションを揃える薬品クランでもあるからな。満足か?」
これは、インターネット調べなので確証はない。
「満足さ。悪いね、ここの商品の好きなの取っていきな。今回は、無料でくれてやる。ご贔屓に、ジョブマスター殿って事さね。あははははっ!」
豪快に笑いながら、隼人のメモを奪うと部下を呼び机に商品を並べていく。ちなみに、猫じゃらしも。
使い魔を売る、ペットショップに有るのは知っていたけど……。良くみれば、部下達が外から帰って来て商品を置いてるのを確認する。
「もしかして、わざわざ他の店まで買って来てくれてるのか!?おいおい、しなくて良いからな?」
「気にするな、今回は姉御のせいで不愉快にさせちまったからな。それに、さっきジコルからお前さんの事を聞いたよ。正直、気に入った!」
すると、隼人は照れたのか顔をそむける。
「姉御、揃いましたぜ!」
「それで、お会計は?」
隼人は、鞄から慌てて袋を出す。
「よーう、若旦那。」
「ジコル!久しぶりだな、どうかしたのか?」
明るい声音で、親しげに笑いかける。
「ちょいと、仕事で近くまで来てたんだ。若旦那は、買い物の途中か。少し、良いか?」
「ん?良いけど、お会計をしてからな。」
すると、ジコルは苦笑して隼人の右腕を掴むとスタスタと歩き出す。驚いて、袋を落としそのまま外に連れ出される隼人。忍は袋を拾い、会計をしようとレジに行くと要らないと断られる。
「隼人、報酬泥棒の蓮太を覚えてるか?」
「おう、覚えてるけど?また、何かしたのか?」
隼人は、真剣にジコルを見ると困ったように言う。
「そもそも、ログイン出来なくなったのは蓮太のサブアバターでホンアバターは無傷だ。そして、蓮太はこのゲームにいる。あいつ、ハピクロを次は狙うらしい。リーダーは、若旦那の兄貴なんだろ?」
「あぁ……。まぁ、兄貴ならすぐに気付くだろうけどな。何せ、俺でさえ兄貴の勘には勝てんし。」
すると、ジコルは驚いてから笑う。
「さすが、若旦那の兄貴さんだな。」
「若旦那は、いい加減に止めれ!」
隼人は、不機嫌そうにムッとする。
「二ャ~ン♪ニャン♪」
クロ声で、ハッとして店に戻る。
「すまん、師匠!忘れてた!」
「良いですよ。それで、話しは終わりました?」
「おう。あっ、ジコル!ハピクロの、副リーダーの忍さんだ。俺の、師匠でもあるベテランプレイヤーなんだ。さっきの、師匠にも話してくれ。」
「分かった。」
ジコルは、ゆっくり説明するのであった。
次回 蓮太とドンパチ
隼人「ジコル、お久しぶり!」
ジコル「おいら、参上!よろしくな!」
忍「はじめまして!」




