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コノハナチル姫

もう、思考が……

さて、コノハナチル姫だよな。攻撃役で、スキルが厄介だし。少しだけ俯いて、こちらを窺っている。


「ふーむ、どうするかな。」


『その命、ここで散らしなさい……』


すると、大きな魔法陣が現れる。そして、桜の樹がざわざわと揺れる。そして、突風とともに桜の花びらが俺達に襲ってきた。しかも、範囲攻撃である。


「いや、普通に断るから。タンク、前に出てアタッカーとサブアタッカーは攻撃準備。魔法職は、詠唱に入ってくれ。俺は、タンクに入る。」


すると、少しだけタンクのメンバーの表情が引き締まる。そして、構えもしっかり確認してスキルを叫んでいる。俺は、これなら大丈夫と内心は思う。


「おぉー、完璧。じゃあ、コンボ稼ごうか。サブアタッカーは、そのまま待機で………


攻撃を見て、俺はとある事に気付いて指示を出す。


撤回、サブアタッカーも魔法攻撃してくれ。」


「え、温存はしないんですか?」


すると、サブアタッカーのメンバーに聞かれる。


「こいつ、物理コンボと魔法コンボが別々だ。ここで、魔法を温存すればコンボを稼ぐのに時間がかかり、たいした魔法ダメージが与えられなくなる。」


すると、全員が驚いている。


だよなー。俺も、ビックリして一瞬だけ思考停止しちゃったよ。それにしても、何か引っ掛け?みたいなのいきなり増えるよな。こっちとしては、心臓に悪いからやめて欲しいんだけどな。


隼人は、優しく笑ってから暢気に言う。


「これは、運営に1本とられたな。まあ、ちゃんと気づけて良かった。後々、皆が大変だし。皆も、何か気づいたら遠慮なく教えてくれよな?」


すると、全員が何かしらの返事をする。


「よしよし、コンボは順調だな。そうだ、今からでも参謀したい人は変わるぞ。大丈夫、俺のサポート付きだから多少のヘマじゃ殺られねぇよ。」


隼人は、暢気に振り返り周りを見渡す。すると、誰も手を上げる人がいない。


えぇ……、何で誰も手を上げないんだ?


「むぅ……、誰も手を上げないか。それとも、俺のサポートが必要ないのだろうか?どっちだ?」


隼人は、冗談っぽく呟く。


「おそらく、未知の敵相手に上手く立ち回れるか不安だからなのでは?それに、隼人さんはさっきから落ち着いてますし。普通に、立ち回っています。」


クリスは、真顔で隼人を見てから言う。


ほーん、それはそれは………。俺だって、一応は緊張してるんだけと。素直に、余り喜べないな。


「は?いやいや、俺だって緊張はするし不安はあるぞ。それに、落ち着いているように見せてるだけだし。参謀が、不安そうだったり緊張していると士気が下がる。それが、悪循環になる事も良くある。」


すると、驚いた表情をするクリス。隼人は、そんなクリスを見て思わず素で笑ってしまう。


「何か、凄く意外です。隼人さんは、いつも笑顔で参謀をしているので。その………」


「絶対に、弱気にならないと思った?あのな、言っとくけど俺だって負ける時は負けるからな?」


隼人は、呆れたようにクリスを見てから笑う。


「じゃあ、何で笑っているんですか?」


「そりゃ、仲間が居るからな。一人なら、とっくに挫けてる。こんな、化け物を相手にはな。」


すると、皆が嬉しそうに笑って一気に士気が上昇する。別に、狙った訳じゃない。俺は、本音を言っているだけ。だからこそ、なんだろうけど。


「なるほど………。」


「クリス、大切な事だから忘れるなよ。参謀ってのは、仲間が居ないと強くはない。強くはなれない。いくら、参謀が強くても1人じゃ絶対に行き詰まってしまう。だから、参謀を目指すなら仲間を大切にするべきだな。まぁ、お前なら心配ないか。」


クリスは、何か胸騒ぎがして隼人を見る。


「隼人さん?」


「ん?」


隼人は、戦況を見ながら暢気に言う。


「隼人さんは、参謀………辞めたりしませんよね?」


「………さあな。いつか、俺が精神的にヤバくなる局面が絶対に来る。これは、避けては通れない。だから、少しでも後釜を育てないととは思ってる。それに、いつまでも俺が参謀をすると思うなよ?」


クリスは、どういう事か聞こうとしてやめた。隼人が、新たに指示を出しだしたからだ。


「よし、バフもデバフをもうちょい上げるか。不死王ノーライフキング。ごめん、頑張ってくれ。タンク、そろそろ次の大きな攻撃が来るぞ!タゲを集めて、防御の準備をしてくれ。出来れば、タメスキルでガードを堅くしてくれると助かるんだが。」


隼人さんは、やはり笑っており暢気に見えます。


『うるさい、散らないなら散らしてあげる!』


「よっしゃ、大きいの来るぞ!」


タンクは、2度もノーダメージで防ぎきる。


「ナイスガード!しかも、2連続ノーダメとか最高だな。これで、次の攻撃に備える時間が増えた。」


隼人の言葉に、嬉しそうだったり照れたりするタンク達。しかし、直ぐに真剣になる。誉められて、直ぐに失敗する訳にはいかないからだ。


隼人は、それを見て思わず笑う。


さて、どーするかね。出来れば、温存はしたいけどな。まずは、目の前の敵を倒す事に集中するか。うん、それから後の事は考えよう。よし……


「ふぅ………。少し、疲れたな。」


隼人は、小さく呟く。勿論、周りに聞こえないように配慮した小さな呟きだ。実際、隣のクリスも気づいてはいない。隼人は、戦況を眺め状況を把握するためにコンボ数やヘイトの上昇しているプレイヤーを確認する。そして、僅かに頷いてから言う。 

 

「そろそろ、大技を解禁しようか。ただし、ヘイトを稼ぎ過ぎるなよ。万が一、ヘイトを稼ぎ過ぎたらタンクがヘイトを集めて引き剥がしてくれ。」


こうして、ヘイトを稼ぎ過ぎてもタンクが引き剥がすという流れで残り1ゲージを切った。


「今回、タンクが大活躍だったな。でも、最後の大仕事が待ってるぜ。タンクは、下がるから攻撃職の諸君……最大にぶっぱなそうぜ。総攻撃開始!」


隼人は、冗談っぽく言って最後の指示を出す。


『嫌だ!嫌だ!嫌だ!まだ、散りたくないのに……』


「よし、各自ポーションとかで回復してくれ。」


隼人は、ポーションの飲んでいると隣に誰か座る。


「それで、何を考えているんだ?」


「リンシャ、そういえばお前も俺の班だったな。」


リンシャは、真剣に隼人を見てからため息。


「……言いたくないのか?」


「まだ、頭がごちゃごちゃしててな。でも、そろそろ後釜を育てないと。俺だって、ログイン率が落ちてるし俺なしで戦えた方が良いからな。」


「ふーん、我らが参謀様は雑念のなか指揮を取っていたと。随分、余裕なようで何よりだ。」


リンシャは、わざと嫌みな感じで言う。


「あのな……。お前って、本当に容赦ないよな?」


「事実だろ?こっちは、必死だってのに………。」


隼人は、苦笑して立ち上がる。少し、言い過ぎただろうか?そう思い、隼人を見るが笑顔を張り付けており本当の表情が分からない。


「さーて、他のメンバーを助けに行くぞ。」


隼人達は、大地達のヘルプに入るのだった。

次回、サマークエスト

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