罪悪感
もー、いーくつねーるとおしょうがつぅー( *´艸`)
明日から、冬休みで放課後の教室は騒がしい。バイトの時間には、まだ早いからスマホを取り出す。
大地は、相変わらずクラスメイトに囲まれてる。
さて、何もないし素材クエストでも行こうかな。そう思ってると、クラスでも人気な橘 雪音がオロオロとこちらを見ておずおずと言う。
「隼人君、その素材クエストに行くなら私も一緒に行って良いかな?そっ、その…なかなか、勝てなくて。めっ、迷惑かな?レベルは31なんだけど…。」
「良いよ。じゃあ、草原のあるカナンの街の転移門で待ち合わせな。俺は、装備変更して行くから。」
すると、少し驚き嬉しそうに笑う。
「あっ、隼人!僕も、行く行くぅー!」
岸田 優も右手を上げて前の席に座りスマホ片手に手を上げたままこっちを見る。
「了解。俺も、雪音さん……じゃなくてユキさんもカナンの街に着いたから急げよ?」
「僕も、カナンの街に着いたよ?」
画面を見ると、確かに居るな。そして、俺の意識は画面に吸い込まれた。さぁ、冒険を始めよう。
まず、俺は二人を見る。雪音さん、もといユキさんは回復職の神官である。そして、優もといテン助は妖術師(ソーサラ―)なので。
前衛職の剣士、中衛職の妖術師(ソーサラ―)と後衛職の神官とメンバー的には問題ない。
「そう言えば、二人はクランに入っているのか?」
モンスターを、倒しながら余裕ありげに言う。
実は、白銀の刃には回復職が少なく人も少ない。草原での、二人の動きは戦闘なれしてなかった。だから、スカウトして鍛えてみようかと思ったのだ。
「いいえ、私はその所属してないです。」
「同じく!だって、どこに入れば良いかわからないんだもん。それに、レベル40になってからスカウトが酷くてさ。更に、混乱しちゃって。」
ふむ、スカウトラッシュは怖いよな。
「あのさ、まだわからないけど。白銀の刃に、入ってみる気ないか?気に入らなかったら、抜けても構わないからさ。なんか、宝の持ち腐れに見えてさ。スカウトされるの、嫌いなの承知だから断っても構わない。無理強いは、嫌いだしな。」
「「‥‥‥‥。」」
あれ?二人は、目を輝かせている。あれか?大地のクランだから、入れて嬉しい的なやつだろうか?
「隼人君の居るクラン。とっても、嬉しいです!」
「隼人の指示は、分かりやすくて楽しいからね。」
ふむ、良く分からないけどまぁいっか。
「とりあえず、二人ともフレンド登録しとこう。俺も、大地に二人を入れて良いか聞いてみるから。」
素材を集めて、割り振りを話し合い3人でログアウトする。ハッとして、スマホの時間を見る。
うん、まだバイトの時間には早いな。
「あの、隼人君。ヒールとキュアの、違いって何ですか?私、ずっとヒールしか使ってなくて。」
「どちらも、回復系の技だな。ただ、ヒールはだなHP(体力)を回復させるだけ。キュアは、異常状態回復の回復系魔法だ。それと、マナヒールを覚えとくとMP(魔力)も回復出来るし良いと思うぞ。」
すると、なるほどと頷いてステータスを見る雪音。
「あのさ、スキルについて相談が有るんだけど?」
困った声で、俺を呼ぶ優にキョトンとしてから画面を見て苦笑して頷く。良くあるやつだ。
「どれどれ?あー、分かる悩むよな。」
「そうなんだよ。同じスキルだけど、属性が火と雷なんだよね。どっちが、良いのかなぁ?」
系統が、同じで性質も似たようなものだしな。
「まずは、ステータスに戻ってくれ。」
「うん、なんで?」
「職業は、最初の鍛え方で自分の得意属性が決められる。ステータスの下に、自分のスキルと魔法属性相性の数字が出るんだ。これを見て、属性のあるスキルや魔法を決めると良いと思うぞ。ちなみに、優の場合は雷属性とは相性が悪く数字もゼロだ。」
あれ、何か周りが静かになったな。まぁいっか。
「なるほど、と言う事は火属性が良いのか。」
「みたいだな。まぁ、頑張ってレベルをあげれば前衛の支援に使えるぞ。頑張れ!」
「うん、頑張るよ!ありがとう。あっ、ごめん。もう帰らないと、またクエストしようね!」
「おう、またな。」
少し笑って、手を振る。雪音も、ハッとして時計を見て立ち上がりこちらをみる。
「すみません、わたしも習い事があるので帰りますね。また、一緒にクエストしてくださいね。」
「おう、お疲れ様。」
二人が帰ったので、スマホに目を戻す。俺の属性相性は全てMax状態だ。封力の指輪でステータスを半分に落としているにもかかわらず。
大地が立ち上がり、こちらに向かってくる。ステータスを消して、大地を見る。大地は、さっき優が座ってた俺の前の席に座って笑いながら言う。
「お前が、俺いがいと話してるの珍しいな?」
「そうか?話題があえば、基本は誰とでも話すけどな。基本は、ゲームの話だけどな。」
「なるほど。それで、二人はどうだった?」
「レベル上げは、してるけど経験不足かな。だから、スカウトしたんだけど良いか?」
暢気に、大地を見て言う。
「勿論、良いけど。経験不足なんだろ?」
「レベルはそれなりにあるし、鍛えればかなりの戦力になる。ちなみに、ほぼ確定だ。」
「へぇー、それは嬉しいな。でっ、お前が鍛えるのか?それとも、誰か助っ人を呼ぶのか?」
「最初は、俺が鍛えてその後は専門職の人に頼む予定だ。基本を教えて、後は専門の事は専門職にきけだ。その方が、あいつらもやりやすいだろうし。」
その言葉に、大地は少し考える。
「なぁ、実はさ白銀の刃のレベル20以下のプレイヤーをパワーレベリングさせる予定なんだけど。変更してさ、その鍛練に参加させても良いか?」
「は?いやいや、さすがに全員はみれないぞ?」
「おう、だから2つの班に別れて1班はダンジョンでパワーレベリング。2班は、お前の鍛練。暫くしてから、2つの班をチェンジすれば良い。そして、最後の数日は専門職の人にお任せだ。」
なるほど、悪くない考えだ。
「分かった。ちなみに、カレンに助っ人の件は話すつもりだ。あいつら、化け物並みに最強だしな。」
「それを、お前が言うな!!」
「何故だ!?」
と言って、二人で笑う。さて、そろそろバイトに行かないとな。立ち上がると、鞄をもって大地に帰るとつげて歩き出す。大地は、クラスメイトに呼ばれて戻って行った。まったく、気をつかう必要は無いのにな。まぁ、嬉しいんだけとさ。
「なぁ、何で大地は隼人に気遣うんだ?」
皆は、俺を心配そうに見てる。何か、こいつらは勘違いをしているのではないか?
「俺さ、小学校の時に酷いイジメを受けてたんだ。先生は見て見ぬふりだし、助けてくれる人はあいつしかいなかった。学年が変わっても、クラスが変わってもあいつはいつも助けてくれた。けどさ、中学生になってあいつがイジメられてた。けど、臆病者の俺は見捨てたんだ。見て見ぬふりをした。」
クラスメイト達が、ざわめいたのが分かる。
「その時からかな、あいつから笑顔が減った。高校が、同じだって知った時は少し嬉しかった。だからさ、気遣うのは昔の罪悪感からなんだよな。あいつは、なにも悪くないよ。勘違いするな?」
「でもさ、ずっと罪悪感で気遣われても隼人も迷惑なんじゃない?まぁ、隼人と話したこと無いし分からないけど。あいつは、怒ってないだろ?」
クラスメイトの、一人が暢気に言う。
「そうだな。あいつは、怒らなかった。だから、尚更に辛いんだよ。まぁ、自業自得だけどな。」
なるほど、とクラスメイトは苦笑する。
「最近、隼人の奴が笑うようになったよな。」
「ん?あぁ、ゲームをまたやり始めたからかもなぁー。何気に、凄腕プレイヤーだし。」
すると、クラスメイト達はさっきの会話を思い出してなるほどと頷く。大地は、ため息をこぼす。
「よし、こんな時は隼人のバイト先でコーヒーでも飲もうかな。誰か、一緒に行くか?」
「その前に、隼人ってバイトしてたのか?」
暢気に、聞き返す。
「おう、木漏れ日喫茶って所だ。」
「じゃあ、皆で行こうぜ!」
『おー!』
その頃、隼人は……
「ん?何だか、寒気が……。気のせい……かな?」
「体調が、悪いのかい?」
心配そうに、店長が言う。
「いえ、違います。大丈夫です。」
ニコッと、笑ってケーキを運ぶのだった。
次回:仲良くしようぜ!
隼人「何か、嫌な予感がするなぁー。」
店長「隼人くん、次の席に紅茶とモンブランを。」
大地「お邪魔しまーす!」
隼人「…………。」




