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所持金15万円で一人暮らししてるけど、たぶんなんとかなる ―もやしとフリマで続いていく、ゆるい生活―  作者: 春凪とおる


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第6話 所持金15万円生活、そろそろ本気でやばい気がする

「……やばいかもしれない」


スマホの画面を見ながら、私はつぶやいた。


残高。

見慣れてきたはずの数字が、今日はやけに現実味を帯びている。


「……いや、まだ大丈夫」


そう言って、画面を閉じる。

見なければ、減っていないのと同じだ。


たぶん。

________________________________________

テーブルの上には、レシートが数枚。

その横には、空になったペットボトル。


そして、もやし。


「……食費、か」


私は冷蔵庫を開ける。

中は、だいぶシンプルになっていた。


もやし。

卵。

あと、よくわからない調味料。


「……いける」


何がとは言わない。

でも、たぶんいける。

________________________________________

数分後。


私は外に出ていた。


「……ちょっとだけなら」


節約には、メリハリも大事だ。

全部を我慢すると、反動が来る。


たぶん。

________________________________________

コンビニ。


自動ドアが開く。


明るい店内。

整然と並んだ商品。


「……強いな」


何がとは言わない。

でも、誘惑が強い。

________________________________________

私は棚の前に立つ。


おにぎり。

サンドイッチ。

お弁当。


どれも、それなりの値段がする。


「……いや、今日は」


私は視線をずらした。


ドリンクコーナー。

安めのペットボトル。


「……これでいいか」


これ“で”いいのかはわからない。

________________________________________

レジに向かう。

店員が顔を上げる。


「いらっしゃいませ」


私は商品を差し出した。

ピッ、と音がする。


「温めますか?」

「……あ」


少し考える。


温めるほどのものではない。

でも、聞かれると迷う。


「……大丈夫です」


「かしこまりました」

________________________________________


「袋はご利用になりますか?」

「……いらないです」


答える。


商品を受け取る。

手がふさがる。

歩きにくい。


「……」


私は少しだけ考えて、


「……やっぱり、ください」

と言った。


店員は、無言で袋を差し出した。

有料だった。

________________________________________

外に出る。

少しだけ冷たい空気。


私は袋の中を見た。

ペットボトルが一本。


「……これでよかったのか」


わからない。

でも、もう買った。

________________________________________

家に戻る。


ドアを開ける。

静かな部屋。


ダンボール。

レシート。

もやし。


全部そのままだった。

________________________________________

私はテーブルに座って、スマホを取り出した。

もう一度、残高を見る。


「……」


さっきより減っている。


当然だ。

さっき使ったから。

________________________________________


「……まあ」


私は小さく息を吐いた。


「まだ、なんとかなる」


根拠はない。

でも今までも、そうだった。

________________________________________

キッチンに向かう。


フライパンを出す。

もやしを入れる。


ジュウウウ、と音がする。

________________________________________


「……節約って、こういうことだよな」


何が正解かはわからない。

でも、間違ってはいない気がする。


たぶん。

________________________________________

食べながら、私は思った。


「……明日は、もう少しちゃんと考えよう」


今日は、とりあえず乗り切った。

それで十分だ。

________________________________________

スマホの画面が、静かに光る。

残高は、相変わらずそこにある。


「……いける」


私はそうつぶやいた。

根拠はない。


でも、たぶんなんとかなる。


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