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所持金15万円で一人暮らししてるけど、たぶんなんとかなる ―もやしとフリマで続いていく、ゆるい生活―  作者: 春凪とおる


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第33話 セルフレジはあるけど、今日は少しだけ人のいる方に並ぶ」


「……」


店にいる。

少し明るい。


音が多い。

レジの方を見る。


セルフレジ。

有人レジ。


どちらも空いている。


「……」


少しだけ止まる。


前なら、あまり考えなかった気がする。

空いている方。

早い方。


でも、今日は少しだけ迷う。


「……」


セルフレジを見る。


画面。

機械の声。

電子音。


同じ動き。

同じ音。


「……」


少しだけ、疲れそうな気がする。

理由はない。


有人レジを見る。


店員がいる。

袋を渡している。

何か話している。


内容は聞こえない。


「……」


少しだけ、そっちを見る。


私は有人レジに並ぶ。


前に一人いる。

カゴの中身が多い。


「……」


待つ。


店員の声が聞こえる。

やわらかい。


「……」


少しだけ聞く。

内容は残らない。


順番が来る。

私はカゴを置く。


もやし。

卵。

あと、少し。


店員が商品を通す。


ピッ、という音。

一定のリズム。


「……」


私はその音を少しだけ聞いている。


「袋はお使いになりますか?」

「……お願いします」


自分の声が少し遅れる。

店員が袋を取る。


「ありがとうございます。」

「……」


私は小さくうなずく。

会計をする。


財布を戻す。

袋を受け取る。


「ありがとうございました。」


「……」


少しだけ間を置く。


「……どうも。」


小さく返す。

店を出る。


外の空気。

少しだけ涼しい。


袋を持つ。

軽い


歩く。


前を人が通る。

後ろでも話し声がする。


「……」


少しだけ、人がいる。

でも、遠い。


それでいい気がする。

歩きながら、少しだけ考える。


セルフレジでもよかった。

たぶん。


でも、今日はこれでよかった気がする。

理由はない。


「……」


「……まあ」

小さくつぶやく。


部屋に戻る。


ドアを開ける。

中に入る。


静か。

さっきまでの音が、少しだけ遠くなる。


靴を脱ぐ。

袋を置く。


中身を出す。


もやし。

卵。

いつもの。


「……」


変わらない。

でも、少しだけ違う気がする。


レジの声。

電子音。


「ありがとうございました。」

少しだけ残っている。


キッチンに向かう。


フライパンを出す。

火をつける。


ジュウウウ、と音がする。


私は少しだけ、その音を聞いていた。


「……いいか」

小さくつぶやく。


外には人がいる。

音もある。


でも、少しだけ距離がある。


そのくらいで、ちょうどよかった。


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