第31話 少しだけ、外のことを考える
「……」
部屋にいる。
「……」
静か。
窓の外を見る。
少し曇っている。
「……」
人が歩いている。
遠い。
「……」
でも、見えている。
私はしばらく窓の外を見ていた。
「……」
スマホを見る。
通知が来ている。
『ありがとうございます』
短い文章。
「……」
しばらく見る。
返すかどうか、少しだけ考える。
「……」
でも、決めない。
画面を閉じる。
窓の外を見る。
車の音。誰かの話し声。
遠くで何かが落ちる音。
「……」
外は動いている。
私はそのまま座っている。
「……」
少しだけ、不思議な気がした。
前は、外のことをあまり考えていなかった。
見えてはいた。
でも、見てはいなかった気がする。
「……まあ」
小さくつぶやく。
立ち上がる。
キッチンに向かう。もやしを見る。
「……」
ある。
袋を持つ。
少ししなっとしている。
「……」
昨日のほうが元気だった気がする。
でも、まあいいかと思う。
フライパンを出す。
火をつける。
ジュウウウ、と音がする。
もやしを入れる。
湯気が少し上がる。
箸で動かす。
考えていない。
手が勝手に動く。
「……」
窓の外を見る。
少しだけ暗くなっている。
外では、まだ音がしている。
車。
足音。話し声。
「……」
少しだけ遠い。
でも、嫌ではない。
火を止める。
皿に移す。
テーブルに運ぶ。
座る。
一口食べる。
「……」
同じ味。
もう一口。
「……」
変わらない。
でも、少しだけ落ち着く。
「……」
外のことを考える。
部屋のこと。
もやしのこと。
「……」
全部、ちゃんとある。
前からあったはずなのに。
スマホを見る。
通知は、そのまま。
「……」
返していない。
でも、前ほど気にならない。
「……まあ」
小さくつぶやく。
箸を置く。
少しだけ満足している。
立ち上がる。
皿を流しに持っていく。
水を流す。
一定の音がする。
私は少しだけ、その音を聞いていた。
外の音も、まだ聞こえている。
「……」
少しだけ距離がある。
それでいい気がした。
水を止める。
部屋に戻る。
椅子に座る。
窓の外を見る。
人が歩いている。
「……」
遠い。
でも、見えている。
少しだけ間を置く。
「……まあ、歩いてるな」
私は小さく笑った。




