第30話 このくらいの広さで、ちょうどいい気がする
「……」
部屋を見る。
ダンボール。
レシート。
小さな瓶。
コーヒーの機械。
「……」
少しだけ、増えている。
「……」
私はしばらく見ていた。
「……まあ」
悪くはない。
「……」
でも。
「……」
少しだけ、考える。
「……このくらいか」
理由はない。
でも、そんな気がした。
「……」
キッチンに向かう。
もやしを見る。
「……」
いつも通り。
「……」
手に取る。
「……」
少しだけ、軽い。
「……」
フライパンを出す。
火をつける。
ジュウウウ、と音がする。
「……」
もやしを入れる。
「……」
卵を取る。
少しだけ止まる。
「……」
棚を見る。
小さな瓶。
「……」
しばらく見て、
「……」
「……いいか」
戻る。
卵を割る。そのまま。
「……」
混ぜない。
いつもの形。
「……」
少しだけ、落ち着く。
火を止める。
皿に移す。
座る。
「……」
ひと口。
「……」
「……これだな」
私は小さくうなずいた。
「……」
もうひと口。
「……」
特に変わらない。
でも。
「……」
悪くはない。
「……」
私は箸を置いた。
「……」
スマホを見る。
残高。
「……」
多くはない。
でも。
「……」
なくもない。
「……」
ポケットに戻す。
「……」
部屋を見る。
少し増えたもの。変わらないもの。
「……」
私は小さく息を吐いた。
「……」
「……このくらいで、いいか」
言葉にしてみる。
「……」
少しだけ、しっくりくる。
「……」
もやしを見る。
「……おまえは」
少しだけ笑う。
「……変わらないな」
もやしは、何も言わない。
私はうなずいた。
「……」
「……まあ」
少しだけ間を置く。
「……いけるか」
さらに、少しだけ。
「……たぶん」
私は小さく笑った。
部屋は静かだった。
でも。
「……」
「……続くな」
私はそう思った。
現代と平安時代、行ったり来たりしています。




