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所持金15万円で一人暮らししてるけど、たぶんなんとかなる ―もやしとフリマで続いていく、ゆるい生活―  作者: 春凪とおる


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第3話 低気圧のせいにしているけど、たぶんもやしのせい

「……なんか、調子が悪い」


朝、目が覚めた瞬間にそう思った。


体が重い。

というか、起き上がる気力が、いつもより少ない。


私はしばらく天井を見つめた。

うっすらとしたシミが、今日はなんだかやけにくっきり見える。


「……あれか」


ゆっくりとスマホに手を伸ばす。


天気予報。

画面には、曇りマーク。


「低気圧」


私は納得した。


たしか、そういうのがある。

天気が悪いと体調も悪くなるやつ。

名前はよく知らないけど、たぶんそれだ。


「……じゃあ仕方ないか」


原因がわかると、人は安心する。

________________________________________

なんとか起き上がって、キッチンに向かう。


冷蔵庫を開ける。

中には、もやしがあった。


一袋。

二袋。

三袋。


「……安かったし」


言い訳ではない。事実だ。

私はもやしを一袋取り出して、フライパンに入れる。


ジュウウウ、と音がする。

ぼんやりとそれを眺めながら、ふと思った。


……そういえば、ここ数日。

ほぼ、もやししか食べていない気がする。


「いや」


私は首を振った。


「関係ないな」


即座に否定する。

根拠はない。


でも、たぶん違う。

________________________________________

食べ終わって、少しだけ横になる。


少しだけのつもりだった。

気がついたら、二時間経っていた。


「……寝すぎた」


体は、さっきより少しだけ軽い。


「ほら、やっぱり天気のやつだ」


ちゃんと休めば回復する。

つまりこれは、そういうことだ。


たぶん。

________________________________________

昼過ぎ。


私はもう一度スマホを手に取った。


「……病院、行くべきかな」


検索画面を開く。


“体がだるい 原因”


いくつかの候補が出てくる。

睡眠不足。

ストレス。

栄養不足。


「……」


私はそっとスマホを閉じた。


「まあ、大丈夫でしょ」


全部に心当たりがある気がしたが、気のせいということにした。

________________________________________

夕方。


外はまだ曇っている。

私は窓の外を見ながら、小さく息を吐いた。


「……今日は無理しない日」


そう決めることにした。

無理をしないのは大事だ。


昨日もたしか、無理をしていない。

一昨日も、していない気がする。


「……継続って大事だな」


何の継続かはよくわからない。

________________________________________

夜。


もう一度、もやしを炒める。

味付けを少し変えてみた。


気持ちの問題だ。

食べながら、私は思った。


「……なんか、ちょっと元気かも」


朝よりは、明らかにマシだ。

これは回復している。


間違いない。

________________________________________

寝る前。


私はもう一度、天気予報を確認した。

明日は、晴れ。


「ほら」


私は小さくうなずいた。


「やっぱり天気だった」


安心して、布団に入る。

________________________________________

翌朝。


目が覚める。

カーテンの隙間から、光が差し込んでいる。


「……晴れてる」


私はゆっくりと起き上がった。


体は——


「……あれ?」


少し、だるい。昨日よりはいい。

でも、万全ではない。


私はしばらく考えた。

そして、結論を出す。


「……まあ、まだちょっと、低気圧の余韻か」


外は晴れている。

でも、そういうこともある。


たぶん。

________________________________________

キッチンに向かう。


冷蔵庫を開ける。

もやしが、まだ二袋あった。


「……今日もいける」


私はフライパンを手に取った。


根拠はない。

でも、たぶんなんとかなる。


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