第26話 いいものを選んだはずなのに、よくわからなくなる
「……」
売り場に立っている。
「……」
同じような瓶が並んでいる。
「……多いな」
手に取る。
「……」
ラベルを見る。
「……」
戻す。
隣を見る。
「……」
また似ている。
「……違うのか?」
もう一度、手に取る。
「……」
よくわからない。
「……」
少しだけ、場所を変える。
同じ棚。
同じような色。
「……」
別のを取る。
「……」
少し高い。
「……」
戻す。
「……」
また最初のを見る。
「……同じじゃないのか」
少しだけ、考える。
「……違うんだろうな」
でも、
「……どこがだ」
わからない。
「……」
少し歩く。
戻る。
「……」
また見る。
「……」
手に取る。
戻す。
「……」
「……」
「……なんで来たんだっけ」
少しだけ止まる。
「……」
思い出せない。
「……まあ」
もう一度、棚を見る。
「……」
全部同じに見える。
「……」
私は小さく息を吐いた。
「……」
手を引く。
「……やめとくか」
そのまま歩く。
レジには行かない。
出口に向かう。
「……」
外に出る。
少しだけ、軽い。
「……」
何も買っていない。
「……まあ」
「……困ってないしな」
家に帰る。
ドアを開ける。
ダンボール。
レシート。
もやし。
「……」
私はうなずいた。
キッチンに向かう。
もやしを手に取る。
「……おまえは」
少しだけ見る。
「……わかりやすいな」
もやしは、何も言わない。
私は小さく笑った。
「……それでいいか」
フライパンを出す。
火をつける。
ジュウウウ、と音がする。
「……いけるな」
相棒、という言葉が頭をよぎった。




