第20話 続いていく生活、きっと
「……」
私はスマホを見ていた。
残高。
「……」
少しだけ、増えている。
「……増えてるな」
大きくはない。
でも、減ってはいない。
「……」
私は小さく息を吐いた。
「……まあ」
「悪くないか」
テーブルの上。
レシート。
ダンボール。
少し減った気もするし、
変わっていない気もする。
「……」
私は立ち上がった。
キッチンに向かう。
もやしを手に取る。
「……おまえ」
小さくつぶやく。
「結局、おまえなんだよな」
もやしは、何も言わない。
フライパンを出す。
火をつける。
ジュウウウ、と音がする。
「……」
私は少しだけ考えた。
最初の頃。
どうなるか、よくわからなかった。
今も、そんなに変わらない。
「……」
でも、前より少しだけ、
わかってきた気がする。
「……まあ」
「なんとかする感じで、いいか」
私は小さくうなずいた。
卵をひとつ手に取る。
今日は、普通のやつ。
「……それでいいな」
もやしの上に落とす。
「……」
しばらく見つめる。
変わらない景色。
でも、少しだけ違う気もする。
火を止める。
皿に移す。
テーブルに運ぶ。
座る。
「……」
一口食べる。
「……うん」
私は小さく笑った。
「……これでいいな」
スマホが静かに光っている。
残高は、そこにある。
多くはない。
でも、なくもない。
「……」
私はそれを見て、
目を細めた。
「……完璧じゃないけど」
小さくつぶやく。
「……まあ、いける」
私はもう一口食べた。
部屋は静かだった。
ダンボール。
レシート。
もやし。
変わらない。
でも、
「……続くな」
私はそう思った。
「……いや、きっと」
私は、小さくうなずいた。




