第19話 少し戻せばいいか、と思った
「……」
私はスマホを見ていた。
残高。
少しだけ、減っている。
「……まあ」
小さくつぶやく。
「……使ったしな」
テーブルの上には、レシート。
少し長めのやつ。
「……」
私はそれを手に取って、軽く見た。
「……うん」
よくわからないけど、納得した。
「……」
少しだけ考える。
「……戻せばいいか」
前は、もう少し悩んでいた気がする。
「……」
私は立ち上がった。
キッチンに向かう。
フライパンを出す。
もやしを入れる。
ジュウウウ、と音がする。
「……おまえは」
小さくつぶやく。
「ほんと、安定してるな」
もやしは、何も言わない。
私は少しだけ笑った。
「……ありがたいな」
炒める。
いつも通り。定番のやつだ。
「……」
ふと、考える。
増やした分。
使った分。
戻す分。
「……まあ」
「ちょっとずつでいいか」
火を止める。
皿に移す。
「……完璧じゃなくていいしな」
私は小さくうなずいた。
スマホを見る。
「……明日、売れればいいし」
根拠はない。
でも、前より少しだけ現実的だ。
「……売れなくても」
少しだけ間を置く。
「……まあ、なんとかなるか」
私は椅子に座った。
「……」
一口食べる。
変わらない味。
でも、少しだけ落ち着く。
「……な」
「戻せるなら、それでいいか」
もやしは、何も言わなかった。
私はうなずいた。
「……いけるな」
納得できたからなのか、妙に安心した。




