第15話 安いのを選んだはずなのに、なんだか損した気がする
「……」
私はコンビニの前で立ち止まっていた。
中に入るかどうか、少しだけ迷う。
「……」
自動ドアが開く。
そのまま入る。
明るい。
ちょっとあったかい。
「……」
なんとなく、棚を見る。
おにぎり。
パン。
デザート。
「……」
私は一つ手に取った。
おにぎり。
少しだけ、いいやつ。
「……」
値段を見る。
戻す。
隣の、少し安いやつを見る。
「……」
手に取る。
「……まあ」
小さくつぶやく。
「これでいいか」
レジに持っていく。
会計を済ませる。
外に出る。
袋の中に、さっきのおにぎり。
「……」
歩きながら、少しだけ考える。
「……安い方にしたしな」
それでいいはずだ。
家に帰る。
ドアを開ける。
ダンボール。
レシート。
もやし。
「……」
私はテーブルに座った。
袋を開ける。
おにぎりを出す。
「……」
少しだけ見つめる。
「……普通だな」
開ける。
一口食べる。
「……」
味は、普通だ。
問題はない。
もう一口。
「……」
私は少しだけ首をかしげた。
「……」
もう一口。
「……なんか」
言葉を探す。
「……こんなもんか」
私はおにぎりを見た。
「……」
少しだけ考える。
「……さっきのほう」
頭に浮かぶ。
戻したほう。
「……」
私は小さく息を吐いた。
「……あっちのほうが、よかったのかもな」
でも、もうない。
「……」
もう一口食べる。
「……別に」
まずくはない。
「……でもな」
私は少しだけ笑った。
「……一番損してるの、たぶん気分だな」
理由はよくわからない。
「……」
私はスマホを手に取った。
残高を見る。
減っていないわけではない。
でも、さっきよりは減っていない。
「……」
少しだけ考える。
「……これでよかったのか」
答えは出ない。
「……まあ」
私はおにぎりを食べ終わった。
「……次は」
少しだけ考えて、
「……気分で決めるか」
ルールみたいなものを考えて、
少し面倒になった。
「……」
私は立ち上がる。
「……おまえ」
キッチンの方を見る。
「やっぱり、おまえはわかりやすいな」
もやしは、何も言わない。
私は小さくうなずいた。
「……まあ、次はちゃんと選ぶか」




