第32話
「そりゃあさっきスキル見せてもらうときに少しステータスを見たが明らかに普通のレベル10のステータスじゃ無かったからな」
「そうなんですか?」
「当たり前だろ……レベル10でステータス合計140を超えているってんのは相当高え。普通ならレベル15くらいの数値だな」
「えっーとじゃあそれと成長の壁になんの関係があるんですか?」
私のステータスが平均よりは高いのは分かったがそれでなんで成長の壁に当たった事が分かるのだろうか?
「そらゃあ成長の壁は条件を満たさないと成長できない分、乗り越えた時には大きくステータスが上がったり新しいスキルが使えるようになったりするんだよ」
なる程。だから私のステータスを見て壁を乗り越えてないとおかしいと思ったと言う事か。
「そういえば神官だか学者だったかは忘れたが成長の壁は神が与えた試練だとか言ってたな。だからどんなに難しい試練でも、その人に不可能な試練は課さないとかなんとか、結局は分からないんだけどな!」
「っと、また話が逸れちまったな」
確かによくよく考えたら【祝福】の説明をして貰っていただけなのに、私が無知なせいもあって盛大にと言うほどではないが話が逸れてしまった。
「すいません。色々」
「良いんだよ好きで説明してるんだから」
「……ありがとうございます」
私が感謝の気持ちを伝えると少し恥ずかしくなったのか頭を掻いていたが、すぐに話を続ける。
「話を戻すぞ。つまり【祝福】のスキルは成長の壁がなくなり楽にって訳じゃないが特に足止めをくらうことなく強くなっていけるってことだな。まあその分壁を乗り越えた時のステータス上昇などが無いわけだが結局相当強くなれるのは間違いないからな」
「じゃあ昔の勇者様が強かったのはやっぱり【祝福】を持っていたからなんですか?」
「違うな。勇者が【祝福】を持っていたんじゃなくて、【祝福】を持っているから勇者になる……らしい」
「らしい?それも手帳に書いてあったんですか?」
「ああ。どうやら【祝福】にはいくつかデメリットがあったみてえだその内の一つが職業が勇者になる事らしい。しかも最高位スキルは基本的には死ぬ以外に消せないから、実質職業の固定だな、歴代の勇者も漏れなく全員持っていたらしい」
「でも最近の勇者様の伝説は聞きませんよね?」
メアが純粋に思ったことを聞くがそれよりも私はその言葉的に気になることがある。
「メア。勇者ってそんな頻繁に現れたり、なったりするモノなの?」
「うーん……分かんない、でもお母さんが今も勇者は居るって言ってた」
「うん?そりゃ勇者像のことじゃねえか?」
(ゆ、勇者像また知らない言葉が、だんだん頭が痛くなってきた気がする)
私は自分の無知に再度頭を悩ませるが勇者像についてはメアも知らなかったみたいだ。少し安心…………やっぱりもう少し頑張ろ。
「勇者像はよく昔話で出てくる勇者が残したアーティファクトだ。勇者が残した言葉によれば新たな危機が大陸を襲った時に真なる機能を発揮するらしいが、今まで一回もそんな事は無かったから嘘なんじゃないかって言われ始めてんだよ」
まあ、発動しないからって何か実害があった訳でもないし、その勇者が活躍したのは本当なことだし何も問題はないんだがな。と言っているが、それなら良いのだろうか?まあ尊敬されているなら別に良いのか。
私は一回見に行ってみたいなと思いつつも話を戻す。
「結局今は生きている勇者は居ないんですか?」
「ああそのはずだ。150年前位には居たってジジイに聞いたことはあるがな、とゆうか最初は【刹那】の話をしてたのに随分と話し込んじまったな」
「仕方ない、取り敢えず今日は武器を買いにきたんだしこの話はまた今度にするか。今日はとにかく絶対に【刹那】の事をバレないようにしとけよって事だけ分かれば良いか」
「ああ、そう言えば私武器を変えに来たんでしたね」
「なんで嬢ちゃんが忘れてんだよ」
ガウンさんに少し呆れられた顔をされる。だがその気持ちはもっともなので何も言い返せない。
いや私だって言い分はある。元を返せば無知な私のせいではあるけど流石に色々な事がいきなり頭に入ってきたから忘れてしまうのもしょうがないと思う。
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「そう言えば予算はどれくらいだ?」
「えーっと40万メルくらいまでですね。生活資金を考えるとここらへんが限界です」
本音を言えば、何かあった時の為に30万メル位は残しておきたいから40万メルは結構ギリギリなので30万メルくらいで済んでくれると有り難い。
「ふむ。それなら取り敢えず魔錬鋼でどうだ?切れ味と魔力の流しやすさではミスリルに一歩及ばないが、耐久性ならミスリルよりも上だ」
「魔錬鋼……」
私は店の中を見渡してそれっぽい物を【鑑定】する。
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[魔錬鋼の斧]
攻撃+140 器用+15
頑丈で壊れにくい。職人の技術によって耐久性を保ちつつ多少軽量化されている。
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何この攻撃の増加、140って何。私の今使ってる剣20なんだけど。それになんか器用も?上がるみたいだし。
「お、嬢ちゃんそこの斧に【鑑定】使ったか?」
「分かります?」
「そりゃあ、そんな驚いた顔をしてたらなあ」
どうやら魔錬鋼の凄さに驚きすぎて顔に出ていたらしい。確かにこれなら魔錬鋼で出来た剣を使えばホーンガルだって普通に切れるかもしれない。
「この斧は何メルですか?」
「これか?40万メルちょいだな。嬢ちゃんの武器の場合片手剣になるだろうから魔錬鋼の量は少なくて済むし、36万メルいかないくらいだな。まあ特別に35万メルまけといてやろう」
「メア良いかな?」
「うん。武器がないと殆ど戦えないし、そもそもこのお金はお姉ちゃんの物なんだから私に確認取らなくていいのに……」
「む、駄目だよ!私とメアはもう一心同体みたいなもんなんだから助け合っていかないと!」
私が反論すると何故だかメアが少し顔を赤らめて顔を逸らす。
「で、嬢ちゃん。結局頼むのか?頼まないのか?」
「あ、お願いします!あと出来ればある程度耐久性は落ちてもいいので少し軽くしてもらえると助かります」
「おう、了解だ。それならもう少し安くなるな、その分少し制作時間が伸びるが・・・構わないよな?」
ふむ?やはり技術的な工程が増えるのだろうか。まあ特に急いでる訳でもないし問題ないか。それに、調べものや図書館に行って知識を付ける為にも少し時間はあった方が良いから都合もいいし。
「大丈夫です。後はお任せします」
「分かった。じゃあ完成は1週間後だからその時に受け取りに来てくれ」
◇
「それにしても、魔錬鋼って凄いですね私の今の剣と比べ物にならないですよ、全然」
「そりゃあそうだろ。この剣は一応上質な鉄で打った剣だが、鋼ですら無いしな」
(鋼製の武器がどれくらいなのか知らない……)
「ちなみにこれが鋼製の片手剣だ」
私の考えてる事が分かっているかのように取り出してきた片手剣を早速【鑑定】する。
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[鋼の片手剣(片刃)]
攻撃+55
刃が片方にだけついており、刃がついてない方は受けるときに使う事ができる。刃に少し工夫がしてあり刺突がしやすくなっている。
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おお、凄い。魔錬鋼には勿論劣るが十分強い。片刃というのは少し独特な感じだけど慣れたら使いやすそうだ。




