第29話
「ここ?」
「そうだね。間違ってなければ」
私はギルドから宿に戻った後メアと一緒にリーリエさんに教えてもらった魔法付与された服が売っているお店に来ていた。
ちなみに今回の予算は龍金貨5枚までと決めた。これは一応他に使う分を考えて相談して決めたのだけど、魔法付与された服は高いと聞いているのでこれで足りるか心配だ……。
「こんにちはー」
「開いてますか?」
私達はお店の扉を開けて店内を見渡した。店内には不思議な雰囲気のする服が沢山置いてあった。取り敢えずお店は間違っていなそうだ。
「あら?随分と可愛いお客さんね。どうしたの?」
お店の人だろうか?珍しい黒髪の女性がカウンターから歩いてきた。私は取り敢えず確認も込めて目的を伝える。
「えーと、魔法付与された服が欲しいんです」
「うーん、魔法付与された服は高いのよ?安いのでも金貨は必要だし、素材や付与の強さによっては、龍金貨が何枚も必要なことだって……」
「大丈夫です。そこそこお金はあると思うので私達二人に合うのを何か見繕ってくれませんか?」
「そうなの?あなた達どこかの貴族の娘だったりする?」
「いえ、違いますけど」
「ふーん。そう、まぁ問題ないなら構わないわちゃんと選んであげる」
そう言って私達を店の奥の方へ案内してくれた。
「じゃあまず聞くけど、予算はどれくらい?」
「一応龍金貨5枚までは………」
「じゃあ4枚までで二人分って感じかしら」
私が使えるギリギリまでの金額を言った事が表情からバレてしまったのかそう返された
「じゃあ先にそっちの、ちっちゃい子。えーと名前は?」
「め、メアです!」
「どうしたのメア、緊張してるの?あ、ついでに私はエリカと言います」
「当たり前だよ!こんな高級そうな服屋なんて入った事無いよ!」
そもそもなんでお姉ちゃんはそんな緊張しないのかおかしいと、返されてしまった。まったく私だって微塵も緊張していない訳ではないんだけど。
「で、メアちゃんの服の事なんだけど、あなた程の年齢に合わせた服は流石にそんなに多くないのよ。エリカちゃんだったかしら?あなたくらいの年齢まで行けば貴族用に結構あるのだけど」
「逆に言えば少しはあるって事ですか?」
「ええ、あるわよ。少し待って頂戴・・・【ボックス】」
店主さんが何か魔術を使うとその手には三着の服が現れた。
「今のは?」
「これは闇魔法の【ボックス】よ生物以外を異空間に仕舞うことが出来てその容量は術者の魔力に依存するの」
「なる程、闇魔法ですか……」
「取り敢えず、この三着から選んで貰っていいかしら?」
「は、はい」
渡された三着はそれぞれ色が違っていて、赤、青、黒となっていて、黒は服というよりローブのように見える。
【鑑定】してみた結果はこんな感じ。
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[赤灯の戦闘服]
攻撃+5 守備+5
魔法付与
火魔法による攻撃が大幅に減少する。
速度+5
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[守護の戦闘服]
守備+15
魔法付与
毒、麻痺、石化に対して抵抗を得る。僅かなものなら無効化する。
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[月夜の魔導服]
魔力+20 守備+5
魔法付与
夜の間魔力が回復する速度が跳ね上がり、装備者に【暗視】を付与する。
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それぞれ凄い。確かにこれなら魔法付与された服が高い理由が分かる。
この内容をメアに伝えた。まぁ選ぶ必要もないと思うけど、そう思っていると、予想通り[月夜の魔導服]を選んだようだ。
「メア、このローブで良いの?」
「うん。」
「どれくらいですか?」
「そうねぇ………そのローブなら大きさとかも考えて金貨6枚ってところかしらね、素材はルナウルフの革などを使っているから結構高いんだけど子供用の大きさだし普通の大きさの半額って感じね」
正直この魔法付与の効果なら龍金貨が必要かもと思ったけど。思ったよりも安かった。
「思っていたより安いですね?」
「確かに、この店の中では相当安いほうね。でもこのローブもあくまで素材代は半額なだけで、金貨6枚中の3枚は魔法付与の分なのよ。まぁそれにこの付与は夜にしか発動しないってゆうデメリットがあるから更に安いってのはあるかしらね?」
確かに探索者とかからしたら護衛の依頼でもない限り基本的に夜に戦う事なんてないしこういう効果はあまり必要とされていないのかもしれないけど、三着の内魔力が上がるのがこれしか無いし間違った選択ではないと思う。
さてメアの服は決まったから次は私な訳だけど。
「エリカちゃんは結構色々あるから選べるのだけど、たくさんの中から見つけるのは大変だと思うし幾つか質問するから答えて貰える?」
「はい」
「じゃあまずは、エリカちゃんの武器は何かしら?」
「剣ですかね?でも魔法も使えますよ?」
「ふむふむ魔法剣士ね、使える魔法属性は?」
「光と土です」
「また随分と変わった組み合わせね」
(変わった組み合わせって何?)
すると私の疑問に答えるかのように店主が説明してくれる。
「魔法にはある程度属性の相性のいい悪いがあるのよ。例えば相性のいい属性だと火と水とか、風と土とかね。光と火も結構相性が良いらしいわ。逆に相性の悪い属性は火と土とか風と水ね。特に光と闇を2つとも使える人は国でも5人居ないくらい相性が悪くて覚える人がいないのよ」
なる程。じゃあつまり火魔法を使える人は土魔法を使うことが出来る可能性が低いと。
「まぁ。それで土と光なんだけどこの2つは相性が悪くないし良くもないから同時に使える人は少ない方ね。そもそもそこまで魔法士が居ないし」
「話を戻しましょうか。じゃあ次の質問なんだけど、服は軽めの方がいいかしら?」
「そうですね、動きを阻害しないのであればある程度重くても大丈夫ですよ」
「それならこれかしらね」
そう言って取り出した物は正直いって凄いものだった。パッと見ただけでも上位の服であることは間違いなかった。
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[光樹の魔闘服]
魔力+10 体力+10 攻撃+10 守備+20
魔法付与
光、土、水の魔法の効力が上がり魔力操作に補正がかかる。
壊れても時間経過で修復されていく。
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「す、すごい。」
「……うん」
「そうでしょう。正直言って自信作の内の一つよ」
「い、いくらですか?」
お金が足りるかどうか心配でつい聞いてしまった。
「安心しなさい予算内よ龍金貨2枚と金貨5枚でどうかしら?」
ニヤッと笑っているが絶対にこの服はそんなに安くないと確信している。少なくとも龍金貨3以上、もしかしたら倍以上の値段しれない。
「絶対そんな安くないですよね。なんでこんなに安いんですか?」
「あら、やっぱりわかるかしら。そうねぇ、安くなった理由は2つあるわまず一つ目が素材に光樹を使ったから光の適正を持ってる人しか使えないと言うこと、二つ目は魔力操作が上がるから慣れるまでに相当時間が掛かるのよ。」
「それで安くなったんですか」
「そうよ?それで買う?買わない?」
その言葉に私は少し考えてすぐに結論に至る。
「買います。ここまで凄い魔法付与なんてそうそうありませんしね」
「そう。じゃあ2つ合わせて金貨31枚よ」
私は龍金貨4枚を取り出して手渡す。正直これ程の物が手に入るとは思わなかったから嬉しい誤算だった。
「じゃあ、お釣りで金貨9枚ね確認して頂戴」
私はしっかりと金貨が9枚あるのを確認して麻袋に仕舞う。そしてそのまま渡された服を私とメアは着た。
「いいじゃない似合ってるわよ」
「そうですかね?」
「うん。お姉ちゃん凄い似合ってるよ!」
「メアにまで言われると何か照れるね……」
私は小声でそう呟きながら少し恥ずかしくなって早歩きで入り口に向かった。
「ありがとうございました。ってそういえば、名前聞いてませんでした」
「私の名前〜?そうねぇ。今は秘密って事にしときましょうかしら」
てな感じて魔法付与された服を買いに行ったけど、そこにはちょっぴり不思議な女性の居る店だった。
プロローグを最初の方を少しだけ書き直しました。ストーリーには殆ど影響ない程度ので読み直さくても結構です。




