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その後私は泣き疲れてようやく王太子殿下から体を離した。
「申し訳ありませんでした...こんな...」
「いや、いい。私が良いと言ったのだから良いのだ」
「私、これからどうなるのですか」
「君が辺境伯家を継ぐか、親類が継いで君は養子になるか、サントーロ辺境伯領を他の貴族に明け渡すかのどれかだろうな。最後の選択肢の場合、君は平民へ落ちることになる」
ああ、なるほどな、そういうことか、
神は私を平民に落として孤児にさせたいわけか。
というかもう孤児のようなものか。
「...一時的に家督を受け継ぎ、次の貴族へ領地をお任せしたいと思います。親類には絶対に任せられませんし、養子にもなりません」
「君は平民に落ちる道を選ぶのか?」
「.........それしか道はありません。親類の悪評は王太子殿下のお耳にも届いているものかと存じます」
「...そうだな」
「私は領民にまで苦しい生活をさせたくありません」
「新たに領地を運営する貴族はこちらで取り計らおう」
「ありがたきお言葉です」
「それにしても君はすごいな。まだ14だというのに。先程まであれほど泣いていたのに、もうこんなにも冷静な判断が下せるとは」
「...王太子殿下も私と2つしか変わらない16歳であらせられると思うのですが」
「そうだな」
「.........」
「というか、君みたいな貴族の令嬢が平民に落ちてどう生活するのだ?」
「それはまた後々考えます」
「そうか。そうだな、それがいい。今日はもう休め」
「そうですね。私、そろそろ寝ようかと思います」
「ああ」
「.........王太子殿下は神を信じますか?」
「それはどういう意味だ?」
「神を信仰しますか、という意味です」
つい、なんとなく、この人に聞いてみたくなった。
「神は居る。赤魔法を使えるのがその証だ。赤の神がいるからだ。しかし...信仰は、どうだろうな。父王は表では言えぬ魔法の使い方をしていることもある。神様がいるとしても良い神とは言えないのかもしれないな」
「そんなことを私にお話してしまってよろしいのですか?」
「問題ない。人払いは済ませてある」
「いや、そういう意味ではなく...」
「君にならいいと思ったのだ。理由はそれだけだ」
「はぁ...そういうものですか」
「そういうものだ」
この人になら話してもいいだろうか
頭のおかしな女だと思われ...いやもう思われているか。
良くて気が狂った、悪かったら殺されればいい。
もうどっちでもいい。
「あの、王太子殿下」
「マッティアでいい」
「マッティア殿下。
お時間はまだありますでしょうか」




