3
3
「リーナ嬢。初めて会うな」
「は、はい...あっ...大変失礼いたしました。このような状態で申し訳ありませんが、わたくしサントーロ辺境伯家のリーナ・サントーロと申します」
貴族界のルールでは下の者が先に名乗るしきたりとなっている。
「ああ。私は...知っているかとは思うがマッティア・レオナルド・ロッソ。このロッソ王国の第1王子だ。よろしく」
「はい...」
「しかし、まさかこんな出会いになるとはな...」
王太子殿下は顔をしかめた。
「私は先程このサントーロ辺境伯領近くの別邸に着いたところなのだ」
「そうなのですね...」
「だから情報も先程聞いたばかりのものになる」
「!」
「落ち着いて聞いて欲しい。難しいかもしれないが...」
難しい
その一言でもう悟ってしまった。
「サントーロ辺境伯邸は全焼。生き残りは君だけだ」
「え...?」
わたしだけ、?
「い、いや、あの、メイドや執事達は」
「サントーロ辺境伯をはじめ、君の家族や召使い達、全て死亡が確認された。生き残りは君だけだ。」
「そ、そん、な...」
あの時隣にいたメイドも?
「あの!意識を失う前に隣にメイドがいたんです!」
「君の隣にいたメイドは煙を吸いすぎてもう息絶えていた。君が助かったのは奇跡のようなものだよ」
奇跡?
「衛兵が駆けつけたところ、君だけ息があったんだ。そしてこの別邸に運んだというわけ...」
「そんな奇跡いらない!!!!!!!!神よ、なんという...こんな、こんな...」
涙があふれる
泣いたのなんて何年ぶりだろうか
「.........」
「.........」
「私、死にます」
「何を言っているんだ」
「ここから飛び降りてっ...」
ベッドを出て窓に駆け寄る
「ここは1階だぞ」
「っ!」
外が暗かったのでよく見えなかったが確かにここは1階だ。
「それなら...」
近くにあった花瓶に手を伸ばし掴んで叩き割った。
「これでっ...」
「やめろ!」
そう言って王太子殿下がこちらに手を伸ばす。
体が動かなくなった。
「...王家の者だけが使える赤魔法だ」
花瓶の破片をつまみ取られ、床に投げ捨てられる。
そして肩を掴まれた。
「落ち着け。乱心するのはわかる。だが今は落ち着いて体を休めてくれ。死のうとしても俺が魔法で止めるぞ」
「うっ...私だけが生き残りなんて...そんな...そんな......うあぁああああ!!!!」
思わず王太子殿下の胸に潜り込んだ。
すると抱きしめられる。
「好きなだけ泣くといい。今は不敬罪も無しだ」
「ぁああああ!!!うあああああああ!!!!」
こんなの人生初めてだ。
あぁ、神様。
死んでください。




