〜異世界冒険記2〜海を作ってみた1
奴隷たちを開放したワタル達はいつものほのぼのとした生活を送っていた。
「今日も暑いな〜。」
と、僕はいつもの日課の水汲みをしながら呟いた。
(まぁ、日が良く当たるから作物はよく育つから良いんだけどね…)
と僕は水を運びながら家に戻る道を歩いていた。
この村は元々畑が多かったのだが、少し前には村人たちでヒマワリをいっぱい植えたので、畑の周りでは元気にヒマワリが咲いていた。
(まだ、夏の真っ最中だもんね。)
とヒマワリを見ながら思っていると、
「あ、ワタルだ〜!おはよう!」
「おはようございます。」
とマリとシャルが家の方からやってくるのが見えた。
ここで説明をしておく事にした。
僕の名前はワタル。
この世界には勇者として召喚されたが、魔王討伐はしないでほのぼのと生活をしている。
先ほど元気に挨拶をしたのが、マリ。
僕と一緒に来た元気な犬の獣人の女の子である。元々は、普通の犬だったのだがこの世界に来る前に女神のエルに獣人にしてもらった。
丁寧な挨拶をしてくれたのが、シャルロッテ。
本人の希望から僕達は、『シャル』と愛称で呼んでいる。
ちなみに元聖女である。
物覚えも早く、1度聞くとすぐに覚えてしまえる、いわゆる『天才肌』ではあるが、その事を周りには自慢をせずに穏やかな口調で話してくれるため敵は作らないだろう。
元は、聖都で聖女の仕事をしていたが、とあるキッカケでこの村に訪れることになり、そしてとある人のせいで聖都に戻れなくなり、この村に住むことになった。
今は、家で家事全般をしてもらっている。
紹介するべき人はまだ居るのだが、後で紹介することにしよう。
「2人共、おはよう。」
とマリ達に挨拶を返した。
「私達はこれから川に水浴びをしに行くんだけどワタルも一緒にどう?
ちょっと朝のランニングで汗をかいちゃったからね…」
と、マリが誘ってくれた。
2人の持ち物を見ると、タオルがあったので、どうやら川に水浴びに行くのは本当のようだったので、
「あれ?ならクロも一緒に行こうって誘わなかったの?」
と家に居るはずのクロの名前を出した。
クロと言うのは獣人の女の子で、この前まで聖都に奴隷をして捕まっていたところを、とある人物が助けたのだ。 (僕ではない…)
助けた人は、今回は出てこないので次の時に紹介するとしよう。
ちなみに、クロは今は僕達と一緒の家で暮らしている。
だからマリの事だからてっきり誘っていると思っていた。
「ちゃんと誘ったんだけどね…」
と家の方にマリが目線を向けたのでそれを追ってみると、
「暑い…だから川には行きたい、でも川に行くまでが辛い…」
と縁側でバテているクロを見つけた。
クロは奴隷生活が長かったので、来たばかりの頃は、手足も細く筋肉もあまりついていなかったので、走ることも出来なかった。
なので、早朝にマリとランニングを始めていた。
最初の頃はあまり早くは走れなかったが最近は、だいぶ筋肉もつき、体力もついたのでマリについていくことは出来るようになっていた。
一応は、僕も時々は一緒に走っていて、その時には3人で揃って走っていたのだが、
「スピードを考えなかったな?」
とマリに聞いてみたところ、
「ごめん…調子に乗って本気出しちゃった。てへっ!」
と可愛く舌を出して謝っていた。
マリが本気で走ると時速100kmを超えるのでいつも手加減をさせていた。 (ちなみに、僕は80kmぐらいは出せる。クロは60kmぐらいかな。)
「今度からは気をつけてね?」
とマリに注意すると、
「大丈夫だよ!きっと…」
と後半部分をボソッと付け足してたのが聞こえたが聞いていないフリをして、
(僕が気をつけてあげよう…)
と僕は心の中で誓った。
そうして、誓いながら、
「僕は、バケツを家に運ぶから後で合流するよ。
その時に、クロも一緒に連れて行くよ。」
と僕はマリ達に約束をした。
「分かった〜!それじゃあまた後でね!」
「クロさんをよろしくお願いします。」
マリは元気に、そしてシャルはクロを気遣うようにしながら先に川へ向かった。
「さてと、僕も早くバケツを運んでからクロを誘って水浴びをしに行こう!」
と走って家に帰った。
「ただいま〜!」
と、僕が玄関を開けながら元気に帰りの挨拶をした。
「おかえり〜、毎日ご苦労さん。」
とトモコさんが出迎えてくれた。
この家は、元々はトモコさんとマサさんの2人暮らしだった。
しかし、僕達が来てから、マサさんが僕に村長の役割を任せ (無理矢理ではあったが…)旅に出たので、今は僕達5人で一緒に暮らしている。
「マリとシャルが川に水浴びに行ったから僕もクロを連れて水浴びに行ってくるよ!」
とトモコさんに1言伝え、
「気をつけて行ってらっしゃい〜」
とキッチンに戻り、昼ごはんの準備に戻っていった。
「さてと、僕も準備をしよう。」
と言って着替えとタオルを持ってから、クロが居る縁側に向かった。
「クロ〜。おはよう。」
僕は縁側でヘバッているクロに挨拶をした。
「あ、ワタルさん。おはようございます…」
と声に元気がなかったが、返事を返してくれた。
「僕も誘われて、川に行く事にしたんだけど、クロも一緒に行かない?」
とマリが誘ったのは知っていたけれど、もう1度聞いてみた。
「マリさんにも誘われましたが、ちょっと動けそうもなくて…
でも、汗は流したいんですよね〜?」
と僕の方をちらりと見ながら言ったので、
「はいはい、僕が抱っこをして連れて行くよ…」
と言ったら、
「やった!」
と元気に立ち上がったので、
「やっぱり疲れていたと言うのは演技だったのか…」
とクロに言うと、
「やっぱりワタルさんにはバレましたか…」
と、確信犯だったらしくそんな事を言ってきた。
クロはたまに、こうして僕に甘えてくるようになっていた。
クロはこの家に住む時に、
「ワタルさんの事が好きになりました。
どうか同じ家に住まわせてください!」
と言って住み始めた。
しかし、僕はもうマリとシャルで女性の付き合い方が変わってしまっていたので、
「多分、『恋愛感情の好き』は無くなると思うよ?」
と、住む前には事前に注意はしておいた。
「え?どうしてです?」
とクロが聞いてきたので、
「まぁ、すぐに分かるよ…」
と言ってクロと生活を始めた初日の日、
「ワタル〜!一緒にお風呂入ろ〜!」
とマリが誘ってきたので、
「分かったよ。」
と言ってマリと2人で風呂に向かおうとすると、
「え?2人って付き合っているんですか?」
とクロが動揺していたが、
「え?ここに住み始めてからは、ほとんど毎日一緒に入っているよ?
寝るときも、ワタルと私とシャルの3人で一緒だし!」
と、マリが当然の様に答えていたので、
「おかしいですよ!」
と声を荒げていたが、
「う〜ん、この家ではそれがもう普通になってるからね…
私達は1つの家族として暮らしているから、正直恥ずかしいって感情はわかないんだよね〜。」
とマリが説明したのでクロは、
「本当…何ですか?」
と言葉に詰まっていたが、
「そうなんだよね。家族としての構成に当てはめるなら、
トモコさんが、お母さん。
シャルが、お姉さん。
僕とマリは、シャルの弟と妹みたいな感じかな?」
と説明したので、
「へぇ…、そう…なん…ですね…」
とクロは少し後悔をしそうになっていたが、
「クロちゃんは、年齢的にはワタルの妹になるのかねぇ〜。」
とトモコさんが言ったので、
「そうですね、分かりました。
それでは、私は今日からワタルさんの妹になります!」
と気持ちを切り替えたらしく、みんなに甘えるようになっていた。
僕には特に甘えてきて、みんなが居なくなると、
すぐに身体をくっつけてきた。
初めの方は、まだ僕に恋愛感情を持っていた感じだったが、僕が恥ずかしがる事をしなかったので、
「ワタルさんって、変わってますよね?
何だか、私、冷めてきちゃって、恋の好きってものが無くなりました…」
と僕が言ったことが現実になったので、
「だから、事前に注意したんだよ…」
と僕は返したが、
「でも、代わりに家族としての好きが出来たので良かったです!
これからもよろしくお願いします!」
と吹っ切れたらしく、そこからは割と遠慮なくひっついてきたりして、まるで二代目のマリが誕生したかのようだった。
(まぁ、少し前までは甘える事なんか出来なかっただろう…
だから、別に好きにさせてあげよう。)
と僕もすでにマリ達で慣れているのでクロの好きにさせていた。
今回の様に、甘えるためにマリやシャルに嘘をつくことも何回かあったので僕はすぐに気づいていた。
「あんまり、嘘は良くないよ?」
とクロに言ってみるも、
「だって、ワタルさんに抱っこして欲しかったんだもん!」
と正直に自分の気持ちを言ったので、
「はぁ…分かったよ…」
と言って抱こうとしたがやめた。
「ワタルさん?」
と首を傾げながら、クロが聞いてきた。
(たまには、仕返しでもしてみようかな。)
と思い、
「抱っこじゃなくて、僕はおんぶの方が良いかな?」
とクロに言ってみた。
クロはマリに似ていて、スタイルも良くて、胸もマリと同じぐらいある。
なので、おんぶをすれば胸が背中に当たるので少しくらいは、恥ずかしがって嫌がるかなと思って言ってみた。
しかし、
「そうなの?
なら、おんぶで良いや。お願いね!」
と普通に返されてしまったので、
「え?本当に良いの?」
と断られると思っていたのでクロに質問をしてみると、
「別に問題ないと思うけど…何か問題ってある?」
と返してきたので、
「おんぶだと、僕の背中にクロの胸が当たることになるんだけど…」
と、クロの胸を指差しながら言ってみたが、
「ここに来たばかりなら、恥ずかしいって気持ちは生まれたと思うけど、今は…ね?」
と、諦めた表情になったので、
「あ…、そう…だよね…」
と自分の行動を振り返ってみた。
クロも毎日、一緒に風呂に入ったり、一緒に寝たりしているのだが、初めは、
「一緒に入るなんておかしいよ!」
と抵抗していたが、
「平気だよ!ワタルは別に何もしないから!」
「そうですね。これまでも一緒に入っていて問題も起きませんでしたから、大丈夫ですよ。」
とマリはともかく、常識人っぽいシャルまで一緒に入っているので、
「分かりました…」
と諦めたように一緒に入ることになり、次第にクロも慣れていった。
寝る方は、流石に4人で1つの布団は無理があったので、クロはここぞとばかりに、
「流石に寝るときは別々にしましょうよ!
布団も狭いですし、4人では無理ですよ!」
とクロが言うものの、
「なら、布団を大きくすれば良いじゃん!」
と言ってマリが布団を広くして、4人でも寝られる大きさにしてしまい、
「これで寝られるよ!」
とマリが元気よく言ったので、
「ははっ…そうですね…」
と奴隷だった時とは、違った意味で瞳から光が失われていった。
回想が終わると、
「ちょっと前までは、年頃の女の子って感じだったのにね〜。」
と思い出したのでクロに言ってみると、
「そうですね…あの頃の私はまだ純真でしたね…」
と、何だか遠い目をしていた。
「そうだね…」
と僕も少し遠い目をした。
(僕もこっちに来たばかりはね、クロと同じ気持ちを持っていたんだけどね…
マリって意外と頑固だからね…)
と思いにふけっていたが、
「まぁ、そのおかげでこうして気軽にワタルさんと触れ合うことも出来るようになりましたからね!
結果オーライですよ!」
と僕に抱きつきながらそう言った。
「まぁ、クロがそう言うなら良いんだけどね…」
とクロの頭を撫でながら答えていると、
「ただいま!」
「ただいまです…」
とマリとシャルが家に戻ってきた。
(あれ?水浴びをするんじゃなかったのかな?)
と思っていると、
「ワタル〜!水が冷たくない!」
「そうですね…水浴びにはちょっと温度が高いですね…」
と2人が言った。
クロは、
「そうなんだ…」
と残念がりながら、僕から離れた。
「ワタル〜、何か作れない?」
とマリが頼んできたので、少し考えてみた。
(う〜ん、最近、小さい子達も増えたからな〜
だから、みんなが楽しめるものといえば…)
と最近増えた子達の事も考えた。
つい最近、聖都に行って奴隷を開放したので、村に獣人の子達が増えていた。
来たばかりは、クロと同じでみんな体力もなく、走ったりする事は出来なかったが、最近はみんな元気よく村を走っている。
(小さい子達も遊べるにはあれがいいな…)
と僕は考えて、
「海を作ろう!」
とみんなに提案した。
この世界にも海はあるらしく、
「それは、良いかもしれませんね。
最近は、この村にも若い獣人の子達も増えたので遊べる場所があるのは良いでしょうね。」
「海か〜。確か、水が辛いんだよね…
本で読んだことはあるけど、見たことはないな〜。」
とシャルとクロが言った。
「私もテレビで見たことしか無いけど、何か楽しそうな感じだった!」
とマリも元気に言っていたのでみんなどうやら賛成の様なので、
「それじゃあ、海を作ってくるよ!
すぐに戻ってくるから、待っててね〜。」
とみんなに伝えて、
「頑張ってね!」
「頑張ってください。」
「行ってらっしゃい〜!」
と3人もそれぞれ伝えてくれたので、僕は張り切って海を作ろうと決意した。
続く
今回から章タイトルを2としました〜。
ちょっと中途半端になっているかもしれませんがこれからもよろしくですm(_ _)m
それでは!




