エピソード12.
「お待たせ〜」
駅改札前、純恋と椿が待ち合わせ場所に着くと、既に七瀬と西村が携帯をいじりながら待っていた。
「よし、まずは花火買うか!」
そう言って4人は手持ち花火を求めて、スーパーを探し歩く。
町を歩いていると、お洒落な焼き物のお店を見つけた。
「ここ入ってみない?」
「いいよ。」
レトロなステンドグラスの扉を開くと、ドアベルが鳴った。
そうして入ったお店には、色とりどりの焼き物と、木の椅子に座って本を読む店員さんが1人いた。
全員がお店に並ぶ焼き物に目を光らせ、静かに見入っていた。
「私、買ってくるね。」
椿が手に大事そうに抱えていたのは、深い海のような青に、線香花火を散らしたような、そんな焼き物だった。
「お願いします。」
たった1人しかいない店員さんにお会計をお願いする。
「はぁい。」
彼女は、ラウンド型のメガネをつけていた。吊り上がった目尻とジト目に、甘く暖かい笑顔が特徴的で、酔ってしまいそうになるくらいの少し低い声をしていた。
「今日、良いことありましたか?」
椿達が、観光客らしいことを感じ取ったのか、はたまた誰にでも聞いているのか、そんなことを聞いてきた。
椿は、少し考え込んでから口を開いた。
「......はい、この場所に出会えたことです。」
一瞬、店員さんの眉が少しだけ上がったように見えた。
そして、さっきよりも口角を上げて言った。
「私も......私も良いことありました。あなたに出会えたから。........良い1日にしてくださいね。」
彼女は、焼き物を大事に新聞紙で包んで椿に渡した。
「ありがとうございました。」
互いに少しだけ会釈をして、椿達はお店を出た。
「何話してたの?」
歩いていると、純恋が聞いてきた。
「なにも。ただの世間話。」
それが信じられないほどには、椿の表情は、優しく暖かかった。
「腹減ってきたなー。」
「そうだね。私良い感じのお店探してきたんだよね〜。」
前を並んで歩く純恋と西村が、昼食の話で盛り上がっている。
「ここどう?」
純恋が差し出した携帯を4人で覗き込む。そこは、お洒落な喫茶店だった。
「うん、いいね。そこにしよう。」
4人で顔を見合わせて、ワクワクした雰囲気を纏った。
カランカラン
お店に入ってテーブル席に座ると、メニュー表を開いてすぐに店員さんがやってきた。
「ご注文お決まりですか?」
「私野菜カレーにしようかな。」
「私もそうする〜!」
「じゃあ俺はこのオムライスでお願いします。」
「僕は、ナポリタンで。」
「はい、少しお待ちください。」
そう言って、店員さんは厨房に戻っていった。
それぞれが好きなものを食べ、お腹を満たしてお店を出た。




