エピソード11.
「そろそろ終わりか〜。楽しかったねー!」
純恋は、片付けを始めた屋台を見て少し寂しい気持ちになった。
「うん。」
「だな。また来たいね。」
椿と西村は純恋の言葉にすぐに反応した。
「七瀬君も楽しかった?」
七瀬の声が聞こえなかったので、心配になって椿が聞く。
「...もちろん。」
こちらも思い出に浸っているようだったので安心した。
「じゃあ帰ろっか!」
「そやね。」
駅への道を四人で並んで歩いていると、純恋が思い立ったように口を開いた。
「そうだ!今度は花火やらない?」
唐突な提案に、つい椿の頭に疑問が浮かんだ。
「どこでやるの?」
「えー公園とか?」
「それ大丈夫なの?」
「うーーん。」
純恋の微妙な返答に全員が頭を悩ませる。
「....花火やるなら、海が良いんじゃない...?」
七瀬の言葉に、純恋は未来の自分たちを想像してつい口角が上がる。
「あ、海か!たしかに。じゃあまた日程決めよ!」
「うん。」
純恋のスピード感について行くのはなかなか至難の業なので、ここでは椿しか返事ができなかった。
駅に着いて改札を通ると、その先はバラバラだった。
「じゃあね〜」
「また。」
「うん。」
「ばいばい!」
別れの挨拶も三者三様。椿と純恋は同じ電車に乗り込む。
二人は窓際に立っていた。
「楽しかったね。」
「そうだね。」
反対側の窓から見える、夜空がキラキラと輝いて、屋台の明かりが思い出される。
「てか、次も来てくれるんだ〜。」
「楽しかったから、思ってたより。」
前を向いていた純恋の視線が、一瞬で椿に集中する。
純恋が目をまん丸くしていた。
「今日は珍しく素直じゃん。」
「私はいつも素直でしょ。」
「.....そうかもね。」
純恋は少し考えてから答えた。
改札を出て階段を降りる。
「じゃあね。」
「ばいばーい。椿も気をつけてねん。」
お互いが、自宅への道を辿る。
「グループ作った方が便利かなと思って作っといたよー!」
メンバーは純恋、椿、西村、七瀬の四人だ。純恋はクラスのグループから西村と七瀬の名前を見つけ出してきたらしい。
「おお!ありがとー!」
早速西村が反応する。
「ありがとう」
続いて七瀬が既読をつけてすぐに反応する。
「早速だけどいつ行くー?」
ここまでで、グループを作って2分もかかっていなかった。
「俺はいつも暇だよ」
「僕も基本的に暇」
そうして一時的に会話が途切れた。
その約50分後、ようやく椿が気づいて、会話に参加する。
「グループ作ってくれたんだありがとう」
「どういたまして」
「じゃあ23日とかどう?」
相変わらず、純恋の反応はピカイチで早い。
「空いてる」
「大丈夫」
「俺も行ける」
3人が続いて返信をした。
「よし!23日の17時に駅集合で!!」
「おっけー」
「了解」
「了解です」
こうして、この四人の、この夏の思い出が、また一つ増えるのだった。




