霊感と家族を見つけました。2。
牛乳を買った帰り道。
ブラブラとコンビニ袋を揺らしながら、近道の公園を抜けた先に見覚えのある背中を見つけた。
「お姉さん!?」
「むっ!・・・何よ、昨日の少年じゃないの。驚かさないでよね」
フリルのついたワンピースを着たお姉さんは、昨日会った時とは大分雰囲気が違った。
ジャージじゃなくて、こうしっかりと服を着こんでいるとお嬢様ってのも頷けるかもしれない。・・・しれないんだけど、お姉さん猫耳と猫の尻尾今も付けてるんだ。
コスプレとかそういうの抜きにして、こう堂々とつけているのを見ると自然に見えるから怖い。
今も通り過ぎて行く人たちは、普通で猫耳付けているお姉さんの事を見る人はいない。
「あ、ごめん・・・て、お姉さん俺の金返してよ」
「金・・・あ~はい」
そう言って渡されたのは、肉まん。
「お姉さん・・・これ?」
「ん。食べなさい。それ少年のお金で買ったし、もうお腹いっぱいで余ってたのよね。冷めちゃったけど食べれなくはないわ。」
うん・・・使っちゃったのね。
これはもう諦めようと思いました。黄桜と同じでいつまでもブツブツ言いたくないし。
「てか、お姉さん猫耳昼間もつけてるんだね」
肉まんをかじりながら言ってみた。
冷めた肉まんは、あまり美味しくはない。
「猫耳・・・少年、ちょっと昨日から不思議に思ってたんだけど1つ質問に答えてくれる?」
「いいけど・・・なに?」
「霊感あるの?」
「・・・ない、と思う。幽霊とか1度も見た事ないし、居るのかどうかも分かんないし」
「じゃ、今通り過ぎた男はどんな服を着てるの?」
通り過ぎた男・・・?
公園を出てすぐの通り。俺とお姉さんの横をよれたスーツを着た男の人がゆっくりと通り過ぎて行った。
「スーツ着てる」
見たままを答えたら、もっとよく見ろと返された。
ん~・・・ちょっとスーツが古いかなってぐらいなんだけど・・・・あ、あれ?
「あの人、首の所黒くない?それに左足の靴履いてないみたい・・・?」
全身黒いスーツだったから気付かなかったのか、よく見たらちょっとスーツもすれているみたい。首の右側が黒いのはアザか何かなんだろうか。
「あの男は、私達がここで話してから3回通り過ぎているわ」
「ふ~ん・・・え、3回?」
3回も通り過ぎてるって・・・なんで?
まさか、リストラされたヤツってことなのかな。
頭の中で公園で時間を潰すサラリーマンが自然と浮かんでくる。
「角を曲がったらすぐに後ろを見てみなさい。すぐに角から歩いてくるから」
2本の黒い尻尾をゆっくり揺らしながらお姉さんは、男の人を凝視する。
何か真剣に見ているみたいだから、俺も言われたとおりに男の人を見る事にした。
男の人が角を曲がったのを確認すると、すぐに振り返って角を見る。
公園をぐるっと回ってこないといけないから、そんなにすぐには戻ってこないだろうと思っていたのだが・・・
男の人はすぐに角から顔をだしてまた俺たちの横を通り過ぎて行く。
「早くない?あの人・・・」
「霊を見た事がないって少年は言ったわね。・・・でもアナタは普通に見えているじゃない、こんなにもはっきりと。」
どういう事・・・?
「全然分かってないって顔ね。それだと急に開花した能力って訳ね」
「開花した能力って・・・お姉さん何言ってるの?」
「少年には、霊を見る力が有るってことよ。いわゆる霊感ってやつね」
「・・・俺、霊感ないはずだけど・・・」
「生きてると言う事は色んな事が起こるって事よ。常に日常は変化し続けるんだから、少年に急に霊感がつくって事もあり得ない話ではないわ」
ふ~ん・・・?
よく分からないけど、俺は知らないうちに幽霊を見れるようになったんだな・・・。
「でも、今まで霊感が無かったって事は何かが原因で霊感が目覚めたって事かしら・・・。少年、最近何かすごい事でも起きた?」
「すごい事・・・?」
「そうよ、霊感が目覚めるなら・・・1度生死の狭間を彷徨ったり、死者と対話した事があったり・・・とりあえず、そんなすごい事」
生死の狭間、ね。
おもっきり彷徨ってきたと思うな、それは。
とりあえず俺は、黄桜に殺されかけたって事以外の交通事故を話してみた。
お姉さんは話を聞くとよくある事ね、ご愁傷様と、笑った。




