眠れない寝室。3。
なに、この人・・・怒った時と今とではまるで違うんですけど・・・。
てか、なんで猫耳と猫の尻尾を2つ付けてんの、この人?
しかも左右に本物の猫みたいに自由に動かしてるし・・・どういう作りなんだ、それ?
「・・・なに見てんのよ、少年。初対面のお嬢様を見つめる時は膝まつくのがお約束よ」
なにそのお約束・・・
「とりあえず、お黙りなさい。大声出したら、ひっかくから覚悟しなさいよ。いざとなったら、私、手段選ばないお嬢様なんだから」
そんなお嬢様いないよ、てかこの人、自分の事をお嬢様って言う割にはそれらしい服装はしていない。上から下まで黒ジャージ。猫耳と尻尾付けて、ジャージとかどういう事?
お嬢様要素0にも程があるとおもうんだけど・・・。
「ちょっと、ね、ちょっと?大声出すなとは言ったけど、喋るなとは言ってませんけど?少年聞いているの?」
「・・・お黙りって言った」
「そんな事知らないわ。さっそくだけど、うるさくない程度に私の質問に答えなさい。」
「?」
「5円玉はどこにあるの?隠しても無駄よ、この家に有る事はわかっているんですからね!」
「・・・は?5円玉?」
「ええ。そのために、わざわざここまで来たんだから」
5円玉盗みに夜、不法侵入?
ますますこの人の考えてる事がわからん!
「5円玉何か探してたの?」
「そうだって言ってるでしょ。さ、早く出しなさい。それさえ手に入れれば、こんな家に用はないのよ」
信じらんない、なに、この人・・・!
普通5円玉のためにここまでしますか?超すげー。
「はい・・・」
とりあえず、さっさと帰ってほしいので自分の財布から5円玉を出して女の人に渡す。
女の人は、俺の手から奪う様に5円玉を取ると表にしたり裏にしたり横から覗いてみたり穴から目を覗かせたり・・・いろいろと熱心に調べております。
でも・・・電気を付けていない夜の部屋でも、この女の人の事は見失わないだろうな。
5円玉を調べながら目を細めたり開いたりしている中でも、あの黄色い光をその瞳は放っている。
なんでこんなにも人の目が輝いて見えるのかは、また急激に襲ってきた眠気のせいで見間違えている訳ではないと思う。
「ちっがーう!!」
すっかり緊張感の解けた俺が何度目かの欠伸を噛み殺した時、突然女の人は叫んだ。
「違う違う!この5円玉じゃない、他のでしょ。ほら、他にもあるんでしょ?早く出しなさい」
「何が違うって言うんだよ、5円玉は5円玉じゃんかよ」
文句は言うけど、一応もう一度財布の中を探して他の5円玉を出す。
どんなこだわりが5円玉に有るのかは知らないけど、これはすぐに違うと返された。
「ほら、少年が持っているのは知っているんだよ。ちゃんとこの眼で見たんだからね。出しなさい」
「出しなさいって言われたって今のが最後だよ。俺が持っている5円玉は、これで全部」
「嘘、ちゃんと私が探している5円玉を持っているの見たんだから。これ以上隠すと、ひっかくわよ」
嘘も何も本当の事なんだけど・・・。
財布の中身を全部床の上に出して、指を指しながら見せると女の人は1つ1つ手に拾い上げながら確認して行く。




