眠れない寝室。1。
夕方になって母さんが車で迎えに来てくれた。
それで俺はお祖母ちゃんに礼を言うと車に乗り込んで帰って行った。
そして今は、朝方4時を時計の針はきっかり指している。
寝付きは良い方で1度寝たらなかなか起きないのが、いつもの俺なんだけど、今は何故かパッチリ目が覚めてしまっている。
毎度、寝れない時や夜中に起きてしまった時とかによくやるトイレに行くという行動を起こしたいのだが、俺は体を起こすよりも寝返りを打つ事すら今は悩んでいる。
なぜってどうしてだが、俺の背後で何かがトコトコ歩くような音がするな~と思ってたらガサリとあさる音までしてきてるんだもん。
なぜってこっちが聞きたい。
今俺は、目が覚めたままの状態。・・・つまり、壁と隣り合わせで置かれているベッドに壁の方を向きながら横に寝ている状態。
そんな状態から後ろの自分の部屋を全体的に眺めるためには、必ずしも体を動かさなければならない。
壁に鏡が付いている訳でもないのだし、さっきから音がするのが気になってもう1度寝る事が出来ないでいるし・・・・かといって、振り向く勇気が後少し足りなかったりもするし・・・・・。
どうする?やっぱ、振り向いた方がいいよね?
もしかしたら、母さんか黄桜が探し物でもしに来ているだけかもしれないし・・・それなら、朝やれって言ってやりたいけど。
仕方がない。音が無くなるのを待っていても埒が明かないし、いつまでたっても寝付けない。ついでに、なんか怖いし。
俺はゆっくりになんて振り向かない。そうするって決めたら、行動は早いんだ!
体を起して、薄暗い部屋を俺は睨みつけた。
目を凝らして、さっきまで物音のしていたと思われる方向を睨みつける。
うっすらと白い足のようなものが見えた。
その足をたどって視線を上にあげると、パチリと黄色に光り輝く目と視線が合った。
明らかに、黄桜でも母さんでもないんですけど・・・!?
誰!?と叫びそうになる前に、黄色に輝く目は左右に揺れたかと思うといきなり俺に向かって飛びかかってきた。
「うわああぁぁぁ!?」
ガリって言った!
飛びかかって来た良く分からない者を避けた拍子にベッドから落ちて派手に腰を打って痛かったけど、そんなの気にならないくらいビックリするほどの大きな切り裂かれた音がベッドの上からした。それがガリと言う音。
「なになになに・・・ッ!?」
ベッドの上なんて覗きたくねー!!
今覗いたら、恐ろしいもんが目に入りそうで超怖いんですけどっ!?
ガサゴソと音するし、絶対何か探してる。俺、なんかしたっけ?
1人で困惑しているとベッドの上から音が聞こえなくなっていた事に気付くのに少し遅れてしまった。
あれっと思って顔を上げたら、バッチリまた黄色い目と合いました。
「ニ”ャ”――――ッ!!!」
「ぎゃああぁぁぁ!?!?」
逃げろ、俺!!
訳も分からず飛びかかってこられたら、人は反射的に本気で逃げれるもんだと初めて実感した気がする・・・。
慌てながらも廊下に脱出する事が出来た俺は、部屋の扉を急いで閉めて背中で押さえる。
バタンと閉めたのと同時にドンと強く何かが扉にぶつかる感触を背中に感じながら、なんとか開かない様に抑えつけておくのが今の俺にできる精一杯の努力であった。
「ちょっと、兄ぃ。」
「うぉ!?」
隣の部屋で寝ているはずの黄桜に声がした事にも、俺はビビッて変な声を出してしまった。
悲鳴も物音も相当大きな音だったんだろうな。
黄桜は、半分眠たそうな眼をシバシバさせながら、黄桜の部屋の前で腕を組んで仁王立ちしている。
「今何時だと思ってんの?プロレスでもしてんの?また必殺技でもかけてやろうか?」
「黄桜!いや、よくわかんねーけど、俺の部屋に誰かいんだよ!」
「いるでしょ、そりゃアンタが」
「俺じゃなくて、俺以外の誰か!!ちゃんと頭起きてんのか、お前」
「起きてる訳無いじゃん。眠くて死にそうよ!誰かさんが夜中にポロレスなんか始めるから、頭に血が溜まってますー!」
ポロレスってなんだよ、プロレスだろ。
ダメだ、黄桜はまだ完全に起きてる訳じゃないみたい。
「てか、兄ぃ・・・なんで、そんなに必死に扉にくっついてんのよ?」
「だから、誰かが俺の部屋に居るんだよ!襲いかかってくるから、出て来れない様にしてんの!なんか、抑えるモンとか無いのかよ、そこらへんに」
「有る訳ないでよ。」
ないでよ・・・!?
ダメだ、うなだれながら頭をかく黄桜は本気で使えない!!
意味は何となく通じるが、ちょくちょくと何か間違えてやがる。
「とにかく、黄桜!お前、ここ抑えてろ!!」
「なんで~、めんどくさい。ウチは寝るの」
「いいから、俺が抑えられる物持ってくるまでここに居ろってば」
「はぁ!?なんで、そこまでしなくちゃいけないのよ。だいたい、兄ぃ以外に誰がいるって言うのよ。兄ぃ襲うとか、マジ神経疑うわ。頭可笑しいんじゃないの?どうせ襲うならアイドルとか超美人のウチとかでしょ、普通」
どうせ、モテませんよッ!!てか、こんなモテ方したくないけど・・・って!
聞き逃しそうになったけど、お前、どんだけ自分に自信持ってんだ!?
兄貴として俺が疑うし、断言する!
双子の俺と瓜二つの顔を持ってるお前も、モテねー!てか、モテるな!!←
「今は、そんな話どうでもいいんだよ!とにかく、ここ抑えろ、黄桜」
「・・・じゃ、兄ぃが退きなさいよ」
お・・・?抑えてくれんの?ちょっと嬉しい。また変な事グチグチ言われるかと思った。
俺の安心もその一時の物であった。
俺が退いて、黄桜が素直に抑えてくれる訳がない。
黄桜は普通に俺の部屋の扉を全開に開けやがった。
「おい!黄桜、何してんだよ!?抑えろって言ったじゃんか!」
「誰がいるって~?部屋には誰も無いじゃんかよ、兄ぃ」
「え?」
恐る恐る黄桜の後ろから肩越しに覗きこむ。
ほんとだ。誰もいないし、先ほどまでの騒ぎが嘘のように静まり返っている。
「い、いや、どっかに隠れてるのかも。隠れる時間は十分にあった訳だし」
「疑い深い男ね~。兄ぃは絶対モテないわ、てかモテんな」
「うっせ」
文句を言いながらも、さっさと部屋の中に入って掛け布団もタンスの中も勉強机の下も全部、勝手に見回ってくれた。
「なんもないじゃない!夢でも見てんじゃないの、兄ぃ」
「そんな訳・・・」
「ないでしょ!」
「うっ・・・」
俺が部屋の入り口から覗きこんでも何も無いし、部屋の中を歩き回ってくれた黄桜も欠伸をしながら無事廊下に帰ってくる。
あれ、夢だったのかな?
ベッドの方を見ても、ガリって大きな音が聞こえた割には普通どおりで何にもない。
うん~、リアルすぎる夢でなんか別の意味で怖くなってくる。
「それじゃ、ウチまた寝るから」
「あ、黄桜―――」
「怖いとか言わせないから」
「・・・おやすみ」
バタンと黄桜は、自分の部屋に戻って行ってしまった。
有無を言わせないのは、母さん譲りか・・・。
う~、なんか兄としての威厳とかプライドが全然俺には無いけど、おやすみと言った以上は部屋に戻って1人で寝てやる!
それくらいの意地はある。
別に怖いので1人で寝れないかもとか、不安になってなんかないもんねッ!
切れ目が分からなくなって、ここだけ凄く長くなってしまいました・・・((・・;))




