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お祖母ちゃん家。3。


お祖母ちゃんの家から歩いて5分くらいの所。


石畳をお祖母ちゃんと手をつないで登っていく。

これも昔よくやっていた。お祖母ちゃんの左手に俺で右手に黄桜。

お祖母ちゃんの日課に付き合って、神社の賽銭箱に5円玉を投げ入れるのが好きだった。

『これから自分で叶えたいって思っている事を神様に報告するのよ。そうすれば、神様が後ろで見ていて応援してくれるから。神様が応援してくれたら、黄羽ちゃんも黄桜ちゃんも何でも出来ちゃうもんね。』

石畳を登りきって、お祖母ちゃんからいつものように5円玉をもらおうとした時、ふと昔お祖母ちゃんが言った事を思い出した。

「黄羽ちゃん、ほら、5円玉」

お祖母ちゃんの手から差し出された5円玉は、少し黒くよどんでいた。

「お祖母ちゃん、俺、5円玉持ってるよ!」

来る前にコンビニに寄っておつりとして貰った5円玉を1つポケットから取り出してお祖母ちゃんに見せる。そうすると、お祖母ちゃんは目を丸くして驚いた。

「何を言っているんだい?ほら、5円玉はこれだよ。」

ちゃんと5円玉を自分から出したのにお祖母ちゃんに5円玉を渡された。

よく見比べても俺が出したのもお祖母ちゃんから渡された方も同じ5円玉。

唯一違うと言えば、刻まれている年号だけだけど。

・・・なんで?賽銭箱に入れる5円玉って古い方じゃなきゃダメなのかな?

とりあえずお祖母ちゃんからもらった5円玉を賽銭箱に投げ入れ、俺が持っていた5円玉は上着のポケットの中に押し込んでおく。

「神様が、黄羽ちゃんを応援してくれるよ。だって、黄羽ちゃんは沢山頑張ったんだもんね」

手を叩いて御祈りをした後、お祖母ちゃんがそう言ってくれた。

俺は特に祈る事も無くて適当に来年こそは夏にキャンプ!なんて思ったけど、お祖母ちゃんにそう言われると、なんだか、本当に叶いそうな気がしてくるから不思議だ。

うん!と、元気に笑い返したら後ろの方でカサカサと草が揺れる音がした。

気になって振り向くと背の低い植え木との間に、黒い猫が枝をくわえてこちらをジッと見ている。

「・・・・・」

ザッと枝の根元から揺らすような大きな風が、その瞬間ふいた。

前髪が目にかかり目を1度つぶってしまったけど、もう1度見た時には、植え木の間に黒い猫はもういなかった。

「黄羽ちゃん、帰るよ」

「・・・うん」

手を引かれてお祖母ちゃんにくっついて、また石畳を降りて行ったけど、なんとなくあの黒猫が気になった。

いや、違う。“黒猫”というよりは、黒猫のあの黄色い目に轢かれた気がする。

ずっと昔に1度、どこかで有ったような気がしたのだ。


前にも同じような物を見た様な・・・そんな感じだった。




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