お祖母ちゃん家。2。
隣の県にあるお祖母ちゃんの家に着いたのはちょうど15時のチャイムが鳴り始めたのと同じ時だった。
電車で5つ先の駅の距離をコンビニ袋片手に玄関のチャイムを鳴らしたら、お祖母ちゃんに驚かれた。
「もうそんな長い道を1人で歩いて来れるようになったんだね~」
褒め言葉、頂きました。
ついでに出てきたジュースとせんべい、頂きました。
「黄羽ちゃんも無事に退院出来て良かったね~」
「うん」
「黄桜ちゃんは、どうした?どこにもいないね、昔は2人いつも一緒だったのに」
「友達ん家」
「そうかいそうかい」
お祖母ちゃんの質問に答えながら、ジュースを飲む。
お祖母ちゃんの家は、昔ながらの平屋でここら辺ではあまり見当たらない作り。
畳の部屋のすぐ隣は台所で、そこに立って作業をしながらお祖母ちゃんは会話を楽しんでいるようだ。
でも、そんな話も尽きてしまいこれからどうしようかと考えていたら、またチャイムが鳴った。
お祖母ちゃんは割烹着姿で俺を向かい入れた時のように玄関に出て行く。
話し相手もいないし、話す事もこれと言って特に無い。
俺は何気なくガラス戸を引いて庭に出た。
お祖母ちゃんは話し込んでいるらしく、誰かと楽しそうな話し声が聞こえる。
庭には、お祖母ちゃんが毎年植えている野菜と朝顔の苗が茶色く盛られた土の中に植えられていた。
新しく芽を出した双葉の葉もちょこんと顔を出していて、可愛らしい。
サンダルを履いて畑の近くに座り込むと小学校に入る前、ここでよく黄桜と泥団子を作った事を思い出した。
ついでに、その泥団子のために水を使いすぎて畑や野菜をビショビショに濡らしてダメにしてしまった事も。
あの時は、散々怒られたなと思うと少し懐かしく思える。
お祖母ちゃんの住む地域は、俺らが住んでいる所よりも自然が多い。
裏山とか林とか、少し行けばすぐに有るような所。
そこにも俺と黄桜は、行って散々走りまわって遊んでいた。
「あら、お庭を見ていたの?黄羽ちゃん」
話が終わったらしいお祖母ちゃんが、小さな段ボール箱を持ちながら笑いかけてきた。
「野菜、いっぱい出来てるね!」
「そうでしょ。今年は大きいのが沢山出来たのよ、後で持って帰ってね」
「うん」
「黄羽ちゃん、お祖母ちゃん今からお参りに行くけど、どうする?また一緒に行きましょうか?」
お祖母ちゃんの話し方は、いつも優しい。
話していて全然苦にならなく、むしろ心地良い。
けど、話す事は昔話ばかり。こうやって、普通の話ができればいいのにな。
「神社?行く!」
「ええ、ええ。行きましょうか」
お祖母ちゃんはにこやかに笑った。白い花がそっと静かに咲くように思える笑顔で、お祖母ちゃんはこくりとうなづくと、俺に手を差し伸べる。
・・・なんとなく、お祖母ちゃんが白い淡い光を放つ人に、その時の俺は思えた。




