16.食堂にて、黒百合の開花
今回、その名も通り、黒百合の開花、と参りましょう。
「…あ、」
私は今最悪な場面に遭遇してしまった…。こんなついてないことない。だって今目の前にはヒロインと生徒会のみなさん……そして私は今完全ポニーテール。
私は面倒ごとだとか真面目に取り組む仕事の時はポニーテールをするタイプの人でしかも眼鏡もかける。するといつもの雰囲気とは全く違ってくるからみんなにあんた誰?って言われるレベルまで人相が変わるらしい。
それで、前あったときヒロインは私のこの顔見てたんだよなぁ…と思いだしたらもうなんか悲しくなってきた。
「あのときの会計補佐の子…」
ヒロインちゃんがに何か呟いているけど私の知ったことか、私はさっき思いっきり気づいて声を上げてしまったのでしらばっくれることもできない…あ、詰んだ。
「歌ちゃん、珍しいね学食なの?」
でも耶蘇川くんと乃崎ちゃんいないけど…と真琴君が言う。私はええと言いながら手に持っていた食事を近くの机においた。ここは生徒会専用の席から結構離れているし人も寄りつかない隠れた穴場だったんだけど…なぜ気づいたのかしら。私がそう思っていると生徒会長様が言った。
「生徒会専用席からはここが見えるんだよ。」
「なるほど…」
私が言えば生徒会長様は満足そうに笑った。
「うた…さんっていうの?」
首を傾げながら言うヒロインに私は笑顔でええ、まぁといった。私は苦笑いをしながら言った。麻織君はどうやら私のことを居ないものとしてみているようでやはりヒロインのせいで世界が補正されたことがわかる。麻琴君が私側についたことが意外だけど。
「‥……真琴君、私の昼御飯食べて貰える?まだ暖かいし、口も付けてないから」
「良いよ~、やっぱり体調悪いんだね?保健室まで行ける?」
私がそういえば麻琴君は私に近づいてきて任せてとにっこりと笑った。
「ええ、少し保健室に寄らせていただきますわ」
私はそう言って食堂を後にしようとした。
「調子が悪いなら俺が送っていこう。」
そう言いだした生徒会長様に私は唖然とした。
こいつバカだ。
麻琴君がせっかく作ってくれたチャンスをこいつのせいで潰された。
「おや?皐弥。珍しいですねあなたがそういうなんて」
副会長が笑えば生徒会長様は副会長を睨みつけた。
私は呆れしか出てこない。どうしてやるか。誰も見てなさそうだし猫被らなくてもいいよね?
「…はぁ。おいそろそろ茶番劇も終えてくれないか?」
いつもよりワントーン低い声で言えば生徒会長様はびっくりしたように私を見た。
「吐き気がしてるんだ。さすがの私も我慢ならない。」
失礼、と言ってひるを返せばだれも私についてこうなかった。
次回は完全にポニーテールの黒百合です