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2チュートリアル


少しの眩暈と浮遊感、しばらくして身体にかかる重みと足裏の感触、ちょっと冷たい

感覚としては急に水の中に落ちて直ぐに地面に立つとかいう現実では起きない体験

正直気分はあまり良くない、これから何度も体験すれば慣れるんだろうか?


「うーん?何というか…………違和感がないのが違和感?というか…………」


手足の感覚はあるし、埃の匂いもする、自分の声が聞こえ、景色が見える

周囲を見渡すと自分が円状の祭壇のような場所に立っているのが分かる


「これは確かチュートリアルで、三つの扉にそれぞれ入ればいいんだっけ?」


どうせやらないと思ってあんまり深く調べてなかったけど、いろいろ歩き回っても何にも反応が無い

最近のゲームには珍しい不親切設計


「どれにしよう…………まあ赤の扉で」


取っ手を掴んで引っ張る

赤の扉は『魔法』に関するチュートリアル

ゲーム内では一番人気、というよりあるかないかで根本的なキャラクター方針がひっくり返る代物

正直バランス悪くない?って思った



ーーーーーーーーーー


「…………なるほど」


三つの扉内でチュートリアルを終え、最初の部屋へ戻ってみると一部が変わっていた

部屋の天井の一部分が円状に切り取られ最初にあった円状の祭壇にぴったりとはまるように螺旋階段が現れていた


「そういえばたしかもう一つ…………まあいいか」


疑問は残るが示された通り階段を登っていく

天井辺りまで到達し少し経った辺りで景色が大きく変わる

白い雲と地平線に落ちる太陽で赤みがかった空

階段から顔を出して上を見ても先はまったく見えず延々と続くだけ

下を見ても雲しか見えず、さっきの部屋はどこにも見当たらない


「はー………………………………こんなのゲームの中でしかできない光景だよなぁ」


天を貫く空中螺旋階段

こんなもの現実で作ろうものなら事故多発ですぐさま計画は頓挫するだろうし、仮に作れたとしても風が強すぎて誰も登りきることなんてできないだろう


「というか、いつまで登ればいいんだこれ…………ん?」


変わらない景色に飽き飽きしてきた辺りでどこからか声が聞こえてきた

男とも女とも、子供のようにも老人のようにも聞こえる


『かつて世界は混沌にあふれていた』

『互いに争い、奪い合い、弱者は虐げられる』

『この世に生を授かった日から存在する、本質的な空白を埋めるために』

『終わらない闘争は、神の心に悲哀を与えた』

『神は思う』

『人々の目に罪深い灰の景色しか映らないというのなら、他者を慈しむための色彩を与えようと』


世界感の説明

全てを聞いた後、要約すると

昔の世界はとてもひどい状態で、それを哀れんだ神が世界に力を司る神の獣を派遣した

それぞれ『赤』『青』『緑』で、元々存在したものと合わせて四柱の神獣が世界に君臨し秩序を制定

けれど大地から噴き出した怪物たちが各所に現れ始め、世界がまた混沌とするところだったが、神が己を七つの欠片へと切り分け世界へばらまき怪物を封印した

そしてこの世界で稀人と呼ばれるプレイヤーが各所の封印を巡り世界の果てで神の意志を知って欲しいというもの


「意志とか世界の果てとか、あんまり考えすぎてもよくないか…………お」


階段を登り続けていると急に景色が切り替わった

正方形の小さな小部屋で、中央に天蓋付きのベットがあるだけでその他には一切ものが見当たらない

内部を覗いてみると自分が横たわっていた


「…………なんで?」


恐る恐る触れてみると空中に透明なウィンドウが表示される

見てみるとどうやらキャラクタークリエイト画面のようだ

髪型や体格を操作してみるとベットの上の自分も画面と同じように切り替わる


「…………髪色はランダムなんだ…………体格はそのまま…………髪型くらいは…………あとはこれか」


最後に残ったのはこのゲームの醍醐味の一つでさっきの扉のチュートリアルで確認したもの

画面に表示されるのは、円の内側を上下左右二本の線で区切ったもので名前を『クロス・フラグメント』という

この区切った四つの中に『赤』『青』『緑』『白』から好きなものを好きな数選んで埋めることでそれぞれの恩恵を受けられるようになる

同じ色だけで埋め尽くせばその分特化されていくが他の要素は一切受けることができず、だからといって中途半端に選べば大きく不利になってしまう

一年半も経ってはいるが今のところ途中から色を変える方法が発見されたという報告はない


「うーん」


まあ正直変に特化するのは前のゲームでやってたし今回は最初に決めてたものにしよう

決定ボタンを押す

すると目の前が真っ暗になり、力が抜ける

柔らかいものに包まれるような感覚、ゆっくりと意識が遠のいていく

最後に、声が聞こえた気がした


『お■■■■■い』





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