↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残念で不幸なぼくを異世界美少女が欲しがる件について  作者: 高安ゆき(ゆきゆき)
第5章:『残念で不幸な僕が、美少女たちに黒歴史を曝される件について』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
90/109

第29話:俺の歴史と、光芒の終焉(第2節)

 雪原に響き渡る悠真の絶叫と、彼の周囲から噴き出す、どす黒く禍々しい極大の不運オーラ。

 魔神すらも警戒して彼の方へ顔を向けるという異常な光景の中、悠真は両手で顔を覆ってうずくまっていた。


「みんな、やめてくれ……僕を見ないでくれえぇ……」


 人生最大の黒歴史を全軍の面前で暴露された悠真の精神は、すでに限界を突破していた。

 そんな悠真の前に、真っ赤な顔をした桜井が、雪の上に膝をついて頭を下げた。


「先輩……ごめんなさい。あの日、花瓶を割ったのは私です。それなのに、正直に謝れなくて……ずっと隠れて見ていただけで、本当にごめんなさい」

「えっ……」


 桜井の言葉に、悠真は顔を上げた。

 彼女は、ピンク色の封筒を両手でギュッと握りしめ、ポロポロと涙をこぼしていた。


「それに……あのラブレターの誤解も、すぐに解くことができなくて……先輩に、辛い思いをさせてしまいました……」


「ち、違う! な、何のことだか、僕は知らない!」


 過去の記憶を無かったことにしたい悠真は、涙目で必死に首を横に振る。


「君とは、異世界に来る直前に図書室で初めて会った。君のことは何も知らない!」


 現実逃避するようにうろたえ続ける悠真に対し、桜井は真っ直ぐに彼を見つめ返した。


「でも……私の代わりに先生に怒られてくれて、私を庇ってくれて……本当にありがとう。あの時からずっと、不器用で優しい先輩が……大好きでした」


 泣きながらの、二度目の真っ直ぐな告白。

 それは、2年間という途方もない時間を超えて、ようやく彼に届けられた本当の気持ちだった。


「僕は……僕は……、何も……」


 だが、それは、悠真にとってあまりにも残酷な、そして同時に甘く痛い真実だった。

 悠真の胸の奥で、羞恥とともに、熱い感情が爆発する。


「おい、ユーマ! 大丈夫か!? なんだその不気味なオーラは!」


 ルナが心配そうに声をかけ、エーテラもおろおろと戸惑っている。


「悠真様、落ち着いてください! 私の光で浄化を……!」

 リーファが彼の肩に触れ、治癒魔法をかけようとした。


バチィィッ!!


「きゃあっ!?」


 だが、リーファの手が触れた瞬間、凄まじい衝撃が彼女の体を弾き飛ばした。


 悠真から溢れ出すのは、もはやただの不運ではない。彼の失恋のトラウマ、極大の羞恥、そして桜井の想いを受け止めた感情の爆発が、規格外のエネルギーとなって渦巻いていたのだ。


「お願いだ……! 僕に構わないでくれ! 放っておいてくれええええ!」


 感情のキャパシティを超えた悠真は、完全に殻に引きこもり、さらに強烈などす黒いオーラを噴出させた。



 その異常な光景を、スレイプニルの車内から窓越しに眺めていたドナとリリアーナは、息を呑んでいた。


「す、すごい……! お兄ちゃんから出てるあの真っ黒なオーラ、一体何なの!? 空間が歪んでるよ!」

「ええ……。極限の精神負荷が引き起こす、文字通りの『底なしの不運』。……あれほどの魔力、見たことがないわ」


 その時、桜井が戦車に向かって力強く叫んだ。


「小春ちゃん、今です!」

「えっ……こはる?」


 突然違う名前で呼ばれ、ドナは一瞬戸惑った。

 だが、すぐにそれが「妹(小春)として悠真の魔力を引き出せ」という桜井の意図であることに気づいた。


「……ああ、任せて!」


 ドナはニヤリと笑い、リリアーナと共に即座にグングニルの再装填と魔力充填を開始した。


「セレスティア王女、ルナさん! 王国軍と傭兵団を魔神から遠ざけてください!」


 桜井の的確な指示に、二人の指揮官が即座に動く。


「王国騎士団、および全軍に命じます! ゆうゆうのオーラの射程から直ちに退避しなさい!」

「「「ハッ! 御意に!」」」

 セレスティアの号令で、ゼノアとライオネルが迅速に軍を後退させる。


「野郎ども! デカブツから離れろ! 巻き込まれるぞ!」

「「「おうっ!!」」」

 ルナの怒号に、ヴァルハラ傭兵団の荒くれ者たちも一斉に距離を取った。


 さらに、桜井は自らヴァネッサの方へ向き直り、大声で叫んだ。


「ヴァネッサ様! 魔王軍も巻き込まれないよう、退避を!」

「……ふふ、優秀な軍師だこと。全軍、速やかに後退しなさい!」


 ヴァネッサの冷徹な号令で、魔王軍も慌ただしく距離を取る。



ガァァァァァァァァァッ……!!


 スレイプニルの主砲『グングニル』が、悠真の極大オーラを吸い上げ、眩い光を放ちながら魔神へとロックオンされた。


『発射まで、残り20秒!』


 ドナの声が車外のスピーカーから響き渡る。


 だが、その強大なパワーが充填されていくのを感じ取った魔神は、完全に悠真とスレイプニルを最大の脅威と見なし、身構えた。


『オォォォォォ……ッ!!』


 魔神の巨体の周囲に、幾何学的な光の輪が回転し、あらゆる攻撃を弾き返す、分厚く強固なバリアが「全面」に展開された。


「何よあれっ!? そ、想定外のバリアだわ!」

 車内のリリアーナが焦りの声を上げる。

「あんなの反則じゃん! あれじゃグングニルの威力が相殺されちゃうよ!」


 桜井の足元で、巨大な神獣――ちくわも絶望に顔を歪めた。

『あのような力を隠し持っていたとは……。これでは、魔王の自爆すらも防がれてしまうぞ……!』


 だが、魔神の背後で自らの命を燃やしている魔王イヴは、止まらなかった。

 全魔力を全身に纏い、赤黒い流星となって、魔神の背後から特攻を仕掛けようと加速していく。


『発射まで、残り10秒!』


 ドナの緊迫した声が戦場に響く。

 だが、魔神の全面を覆うバリアは、絶望的なまでに分厚く光り輝いていた。


(いけないっ! このままでは、グングニルは防がれ、イヴさんの特攻も無駄になってしまう!)

 ピンクの封筒を握りしめる、桜井の両手が汗ばむ。


 無情に進むカウントダウン。

 誰もが息を呑み、最悪の結末だけが眼前に迫っていた。

設定・イメージイラストは、ピクシブに掲載中です。

https://www.pixiv.net/users/119429388

評価・ブックマークして頂けると、とても嬉しいですわ。

毎週、月・金の夜21時30分に最新話をUPしてますの。

是非、お待ちしておりますわ♡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の作品を読んで下さり、ありがとうございました ( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )୨୧
よろしければ、評価&ブックマークをして頂けると、とても嬉しいですわ。

毎週、月・金の夜20時30分に最新話をUPしてますの。
次回も是非、お待ちしておりますわ ♡ (ू•ᴗ•ू❁)୨୧

また、このラノベの設定資料やイメージイラストは、ピクシブに掲載中です。
イラストも是非、ご覧くださいませ ( ⁎>ᴗ<⁎ )୨୧
https://www.pixiv.net/users/119429388
カクヨムにも作品連載中、ぜひご覧ください。
『スイート&ビター・リリィ』~男の娘王女に扮した亡国の王子、帝国の冤罪を解き明かす。はずだったのに、なぜか美少女探偵団で甘くて苦い百合ライフ~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。